書店を無くさないための新しい提案
「フランクな付き合い」と「堅い契約」と……
私は浮気性だと思う。
一途に思い続けることができない。
ずっと一人を追い続けることができない。
一人に夢中になっていても、他の人にも目が向いてしまう。
その兆候は、古本屋で顕著に現れる。
新刊よりも、古本として出会う本には、“日常使いしている本”として“特別感の薄い”存在としての本という、ある種、日用品のような感覚が顕著であるように思う。
つまり、「フランクな付き合い」になるのだ。
新刊本を書店で買うといった、結婚や恋人としての『固い契約』を結ぶこともない。
「ちょっと火遊び」程度の「一夜限りの付き合い」のような感覚である。
その中で私は、多くの相手と、「フランクな付き合い」を望むことが多い。
つい今し方も、多くの相手を「おもちえり」してきた。
滞在時間40分ほどで、数字にして“10”もの相手を、お持ち帰りしてきたのである。
とんだ浮気者である。
「不倫は文化です」などの発言で物議を醸したトレンディ俳優も吃驚である。
しかし、こうした「一夜限りの相手」とだからこそ、得られるメリットというものもある。堅苦しい契約を交わした相手とは違って、「最後まで添い遂げなくてはいけない」などのルールがない。
これは大きなメリットである。
「一夜限り」である以上、忘れてしまっても、名前すら思い出せなくても、誰からもクレームは来ない。だからと言って、気に入った相手となれば、その後何度も会うことも可能だ。新刊本を書店で買い求めるといった、“堅い契約を結ぶ”ことも可能である。
つまり、一度しか会わない相手でもいい。
何度も会うことになってもいい。
何なら堅苦しい関係に発展しても良いのだ。
これほど自由な相手はいない。
こんな相手が、ぞろぞろと軒を連ねている場所こそ、古本屋なのだ。
多くの人にとって、「フランクに付き合える相手」というのは、都合がいい存在だろう。だからか、いつ行っても、古本屋には人が多い。ごった返している。
夏休みである現在、古本屋には、芋洗いのように人が大勢いる。
それなのに、最近、家から一番近い古本屋がつぶれてしまった。
人がごった返しているのに、なぜつぶれるのか疑問ではあるのだが、当然儲かっていないからだろう。
それは、「一夜限りのフランクな付き合い」ができることとは比例していないはずだ。なぜかといえば、「フランクな付き合い」である以上、「気軽にお持ち帰りできる」はずだからである。
“持ち帰り”が増えるほど、儲かるしくみになっているはずだからだ。
私など、今日の「お持ち帰り」によって3718円もの金額を支払った。のべ10冊。
流通しているのに、儲からないのはおかしい。
そう考えると、おそらくごった返している人々のほとんどは、「持ち帰り」をしていないのではないかと思うのだ。
つまり、“一夜限りの関係”すら持たない。
もちろん、結婚なんてしないだろうと予想できる。
それらを全て考えてみると、どうやら「結婚願望がない」人が増えたのかも知れない。
それに、「恋愛体質」の人も減ったのだろう。
だから、「フランクな付き合い」も「堅い契約」も、どちらにも興味がないのだ。
そして、そうした世間の流れによって、『本屋』そのものが、どんどんとなくなっていく。
本当に寂しい限りである。
私は、恋愛体質であり、結婚願望も強い。
気に入った作家の作品は、「フランクな付き合い」ではなく「堅い契約」になることがわかりきっているため、新刊本を書店で求めることに決めている。決して古本では買わないことにしているのだ。
「絶対に、この作家の作品は、新刊本を買う」
そのように決める、ということは、逆に「そのほかの作品とは、フランクでいい」と考えることと等しい。
簡単にいうと、その他の作品は、中古で十分だと思ってしまうのだ。
そう考えると、私の思想も、本屋を潰している原因の一つであると言えるような気がしてくる。
私にとって本というのは、人生そのものである。
どのような付き合いになろうとも、本無しの生活はありえない。
それなのに、本屋は無くなっていく。衰退の一途を辿っているのは明らかである。
不本意であるのに、この下降線を止めることができない。
私一人の力では、などということではなく、画期的なアイデアすらない。
出版業界において、中古の本を販売すること自体が、下り坂への入口なのかも知れない。しかし、もはや古本屋をなくすことはできないし、本が処分されることを考えると、中古販売も社会貢献になっていると言えなくもない。
それならば、どうしたものだろうか。
「フランクな付き合い」でも「堅い契約」でもない、【新しい付き合い方の提案】が必要な時期に来ているのではないだろうか。
私は【新しい付き合い方】として、Book café&BARを提案していこうと思っている。
今や、本を読むこと自体が、ファッションの一部になっている。
カフェが併設されている書店では、本を読みながらカフェ時間を楽しむ女子に溢れているのだ。そこでは、優雅に時間を過ごすことへの“憧れ”が見え隠れする。
そして、そんな“オシャレな空間”を提供するだけではなく、そこで開かれる『勉強会』や『読書会』によって【新しい本との付き合い方】を学ぶのである。
そこで、「読書や本を所有する喜び」を享受するのだ。
本を所有することによって、自分に起こる変化を楽しむ。
自分が成長することに対して、後ろ向きである人でも、もっと自分への信頼関係を築くことができる。そんな明るい未来を提供することが、私たちにできる最良の方法であるように思うのだ。
私は、お店を開いて、未来の人々に【新しい本と築く関係】を提供するつもりだ。
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