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【社労士】労働編第3章 労災保険法:株式会社あおば製作所「ケガをした後に、誰がどう助けるか」の物語

埼玉県桶川市にある、株式会社あおば製作所。

第1章の労働基準法では、
青葉源太郎社長が佐藤まことさんを働かせすぎないように、
南さくらさんが労基法で止めました。

第2章の労働安全衛生法では、
工場でケガが起きる前に、
安西まもるさん、清水えいこさん、日高こころ先生が予防に動きました。

でも、どれだけ気をつけても、
事故が起きることはあります。

機械に手を挟む。
通勤中に自転車で転ぶ。
長時間労働で病気になる。
障害が残る。
最悪の場合、亡くなる。

そのときに出てくるのが、労災保険法です。

労災保険法の合言葉は、

「仕事や通勤で傷ついた労働者と家族を、国の保険で守る」

です。

登場人物は、次のとおりです。

事業主:
株式会社あおば製作所

社長:
青葉源太郎社長

総務課長:
南さくらさん

労働者:
佐藤まことさん

パート社員:
木下ほのかさん

労働基準監督署長:
黒田ただし署長

労災病院の医師:
白石なお先生

年金・給付に詳しい職員:
給付係の栗原さん

判例先生:
業務上・通勤災害・過労疾病の判例を説明する先生

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第1話 労災保険は「事故後」の法律

テーマ:労災保険法の目的
重要度:★★★★★

ある日、あおば製作所の工場で、まことさんが部品を運んでいました。

床に落ちていた油に気づかず、足を滑らせて転倒。
腰を強く打ってしまいました。

青葉社長は青ざめます。

「大変だ。病院代はどうなるんだ?
休んでいる間の生活費はどうなるんだ?」

南さくらさんが落ち着いて言いました。

「社長、ここで労災保険法が出てきます。」

まことさんは、労災病院に運ばれました。

白石なお先生が診察しながら言います。

「仕事中のケガなら、労災保険の対象になる可能性があります。」

ここで大事なのは、労災保険法と労働安全衛生法の違いです。

労働安全衛生法:
事故が起きる前に防ぐ法律。

労災保険法:
事故が起きた後に補償する法律。

まことさんは思いました。

「安衛法はフェンス。
労災保険は救急車と生活保障なんだ。」

【試験ポイント】
労災保険法は、業務災害、複数業務要因災害、通勤災害について保険給付を行う。
あわせて、社会復帰促進等事業も行う。

【覚え方】
安衛法は「転ばないように床を直す」。
労災保険法は「転んだ後、治療と生活を支える」。

【ひっかけ】
「労災保険法は、労働災害を未然に防止するための安全衛生管理体制を定める法律である」
→ 誤り。

予防の中心は安衛法。
補償の中心は労災保険法。

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第2話 労災保険を運営するのは誰か

テーマ:政府管掌
重要度:★★★★☆

青葉社長が言いました。

「労災保険って、うちの会社が保険会社と契約しているんだっけ?」

南さんは答えました。

「違います。労災保険は政府が管掌します。」

まことさんは聞きました。

「つまり、民間の保険会社ではないんですね?」

南さんはうなずきました。

「そうです。労災保険は、政府が行う公的保険です。
窓口として重要なのが、労働基準監督署長です。」

あおば製作所の事件では、
黒田ただし署長が、労災の支給・不支給の判断をする役になります。

【試験ポイント】
労災保険は政府が管掌する。
給付の請求先・決定権者として、所轄労働基準監督署長が重要。

【覚え方】
民間保険の担当者ではなく、
黒田署長が登場する。

【ひっかけ】
「労災保険の保険者は、健康保険組合である」
→ 誤り。

労災保険は政府管掌。

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第3話 労災は正社員だけのものではない

テーマ:適用労働者
重要度:★★★★★

木下ほのかさんが不安そうに聞きました。

「私はパートですが、労災保険の対象になりますか?」

青葉社長も言いました。

「正社員じゃないから、労災は関係ないんじゃない?」

南さんは即答しました。

「社長、それは違います。
労災保険は、正社員だけの制度ではありません。」

労災保険では、労働者であれば、
正社員、パート、アルバイトなどの名称にかかわらず対象になります。

ほのかさんは安心しました。

「パートでも、仕事中にケガをしたら守られるんですね。」

【試験ポイント】
労災保険は、労働者を使用する事業に広く適用される。
正社員、パート、アルバイトという名称で切らない。
労働者性が大事。

【覚え方】
あおば製作所の作業服を着て、会社の指揮命令で働く人は、
名前が正社員でもパートでも、労災の世界に入る。

【ひっかけ】
「労災保険は、正社員だけを対象とし、パートタイム労働者には適用されない」
→ 誤り。

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第4話 社長は労災保険料を払うが、労働者は払わない

テーマ:労災保険料
重要度:★★★★☆

まことさんが給与明細を見ました。

「健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料は引かれている。
でも、労災保険料は引かれていないですね。」

南さんが言いました。

「いいところに気づきました。
労災保険料は、全額事業主負担です。」

青葉社長は苦笑いしました。

「つまり、会社が払うんだね。」

南さんは言います。

「そうです。労災保険は、労働者から保険料を徴収しません。」

【試験ポイント】
労災保険料は全額事業主負担。
雇用保険料と混同しない。

【覚え方】
労災保険料は、青葉社長の財布から出る。
まことさんの給与明細からは引かれない。

【ひっかけ】
「労災保険料は、事業主と労働者が折半して負担する」
→ 誤り。

折半のイメージは健康保険・厚生年金。
労災は全額事業主負担。

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第5話 業務災害とは何か

テーマ:業務災害
重要度:★★★★★

まことさんが工場で転倒してケガをしました。

青葉社長は言います。

「仕事中にケガしたんだから、全部労災でしょ?」

南さんは言いました。

「基本的には業務災害を考えます。
ただし、試験では“仕事中かどうか”だけで雑に判断しないことが大切です。」

業務災害では、主に次の2つを考えます。

業務遂行性:
労働者が事業主の支配・管理下にあったか。

業務起因性:
業務とケガ・病気との間に相当因果関係があるか。

まことさんはメモしました。

「業務中に起きたか」
だけではなく、

「業務に内在する危険が現実化したか」
を見るんだ。

【試験ポイント】
業務災害は、
業務遂行性
業務起因性
を意識する。

【覚え方】
業務遂行性は「会社の支配下にいたか」。
業務起因性は「仕事の危険が原因になったか」。

【ひっかけ】
「勤務時間中に発生した負傷は、原因を問わず常に業務災害となる」
→ 誤り。

勤務時間中でも、私的行為などでは問題になる。

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第6話 昼休みのケガはどうなる?

テーマ:休憩中の災害
重要度:★★★★☆

お昼休み。

まことさんは社員食堂に向かう途中、階段で転びました。

青葉社長は言います。

「休憩中だから労災じゃないよね?」

南さんは答えました。

「休憩中でも、事業場施設の欠陥や管理状況によっては、業務災害が問題になることがあります。」

休憩中は、原則として労働から離れています。

しかし、会社の施設内にいて、
階段が壊れていた、
床がぬれていた、
照明が切れていた、
など、事業場施設の管理上の危険が原因なら、業務災害となる可能性があります。

【試験ポイント】
休憩中だから必ず業務外、とは限らない。
事業場施設の欠陥・管理状況が原因なら業務災害が問題になる。

【覚え方】
昼休みでも、会社の壊れた階段で転んだら、
会社施設の危険が現実化している。

【ひっかけ】
「休憩時間中の災害は、いかなる場合も業務災害とならない」
→ 誤り。

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第7話 出張中の事故はどうなる?

テーマ:出張中の災害
重要度:★★★★☆

まことさんは、青葉社長の指示で名古屋へ出張しました。

出張先のホテルから取引先へ向かう途中、
交通事故に遭ってしまいました。

青葉社長は言いました。

「会社の外だから労災ではない?」

南さんは言いました。

「出張中は、通常の通勤とは違います。
出張全体が事業主の支配下にあると評価されることがあります。」

出張中の移動、宿泊、食事などは、
業務との関連が強い場合があります。

もちろん、出張中でも完全な私的行為中の事故なら別です。

【試験ポイント】
出張中の災害は、業務災害として問題になりやすい。
ただし、積極的な私的行為・恣意的行為は別に考える。

【覚え方】
出張中のまことさんは、
会社の用事を背負って移動している。

【ひっかけ】
「出張先での災害は、事業場外で発生しているため、業務災害とはならない」
→ 誤り方向。

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第8話 過労で病気になったら

テーマ:業務上疾病・脳心疾患
重要度:★★★★★
判例:横浜南労基署長事件

繁忙期が続き、まことさんは長時間労働をしていました。

ある日、強い頭痛で倒れ、病院に運ばれました。

青葉社長は言います。

「病気は本人の体質もあるから、仕事とは関係ないんじゃない?」

判例先生が登場します。

「横浜南労基署長事件を覚えましょう。」

この事件では、自動車運転手のくも膜下出血について、過重な業務と発症との業務起因性が争われました。

ポイントは、
病気が単に職場で起きたかではなく、
業務による過重な負荷が発症に影響したかです。

南さんは言いました。

「労災は、機械でケガをした場合だけではありません。
長時間労働による脳・心臓疾患、精神障害も重要です。」

【試験ポイント】
業務上疾病では、業務起因性が重要。
脳・心臓疾患では、長時間労働や過重負荷が問題になる。

【判例・裁判例】
横浜南労基署長事件
→ 運転手のくも膜下出血と業務起因性が争われた事件。

【覚え方】
機械で手を挟むだけが労災ではない。
働きすぎで体が壊れることも、労災の世界に入る。

【ひっかけ】
「業務災害は、業務中の突発的事故による負傷に限られ、疾病は含まれない」
→ 誤り。

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第9話 精神障害・過労自殺も労災で問題になる

テーマ:精神障害・過労自殺
重要度:★★★★☆

まことさんの後輩、田中ゆうたさんは、
長時間労働と強い叱責が続き、心身ともに追い込まれていました。

日高こころ先生が言います。

「メンタル不調も、労災では重要です。」

判例先生が言いました。

「ここでは電通事件も思い出しておきましょう。」

電通事件は、安全配慮義務の章でも出ましたが、
長時間労働と過労自殺を考えるうえで非常に重要です。

労災保険法では、
精神障害が業務によって発病したか、
自殺との関係をどう見るか、
という問題が出てきます。

【試験ポイント】
精神障害も労災で問題になる。
長時間労働、強い心理的負荷、業務起因性が重要。

【覚え方】
労災は、骨折だけではない。
心が折れたときも問題になる。

【ひっかけ】
「労災保険の対象となる疾病は、身体的な疾病に限られ、精神障害は含まれない」
→ 誤り。

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第10話 通勤災害とは何か

テーマ:通勤災害
重要度:★★★★★

ある朝、木下ほのかさんが自転車で出勤していました。

家からあおば製作所へ向かう途中、
交差点で転倒してケガをしました。

青葉社長は言います。

「会社に着く前だから、労災じゃないよね?」

南さんは答えました。

「通勤災害として労災保険の対象になる可能性があります。」

通勤災害は、業務災害とは違います。

業務災害:
仕事が原因。

通勤災害:
就業に関する移動が原因。

通勤とは、ざっくり言うと、
住居と就業場所との往復などを、
合理的な経路・方法で行うことです。

【試験ポイント】
通勤災害は、
就業に関する移動
合理的な経路・方法
業務の性質を有しないこと
が重要。

【覚え方】
家から会社への一本道。
その上で転んだら、通勤災害の可能性。

【ひっかけ】
「通勤災害は、使用者の支配下で発生した災害でなければならない」
→ 誤り。

通勤災害は、業務災害とは違う。
会社の支配下そのものではなく、就業に関する移動を見る。

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第11話 合理的な経路・方法

テーマ:合理的経路・合理的方法
重要度:★★★★★

ほのかさんは、普段は自転車で会社に来ています。

ある日は雨だったので、バスで出勤しました。

青葉社長は言いました。

「いつもと違う方法だから、通勤中にはならない?」

南さんは言います。

「そんなことはありません。
合理的な方法であれば、普段使っている方法でなくても通勤になり得ます。」

合理的な経路とは、
一般に労働者が用いると認められる経路です。

合理的な方法とは、
電車、バス、自転車、徒歩、自動車など、
通常用いられる交通方法です。

ただし、理由もなく著しく遠回りする場合などは、
合理的な経路とは言いにくくなります。

【試験ポイント】
合理的な経路・方法は、普段のルート1つだけではない。
複数の合理的経路があり得る。

【覚え方】
雨の日のバス通勤も、合理的なら通勤ルート。

【ひっかけ】
「通勤災害でいう合理的な経路は、労働者が普段使用している1つの経路に限られる」
→ 誤り。

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第12話 帰り道にスーパーへ寄ったら?

テーマ:逸脱・中断
重要度:★★★★★

ほのかさんは、仕事帰りにスーパーへ寄りました。

夕飯の材料を買い、また自宅に向かって自転車を走らせました。

その途中で転倒しました。

青葉社長は言いました。

「寄り道したから、もう絶対に通勤災害じゃないね。」

南さんは言いました。

「そこは丁寧に見ます。
通勤経路からの逸脱・中断があると、原則としてその後は通勤ではなくなります。
ただし、日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により最小限度で行う場合などは、経路に戻った後に通勤性が復活することがあります。」

まことさんはメモしました。

逸脱:
通勤経路を外れること。

中断:
通勤と関係ない行為で移動を中止すること。

原則:
逸脱・中断中と、その後は通勤ではない。

例外:
日常生活上必要な行為を、やむを得ない事由により、最小限度で行った場合は、逸脱・中断中を除き、合理的経路に戻った後は通勤に戻る。

【試験ポイント】
逸脱・中断は超頻出。
原則と例外をセットで覚える。

【覚え方】
寄り道すると、通勤の糸が切れる。
でも、日用品購入などの小さな寄り道なら、
道に戻った後に糸が結び直されることがある。

【ひっかけ】
「通勤経路から逸脱した場合、その後いかなる場合も通勤災害となる余地はない」
→ 誤り。

例外を押さえる。

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第13話 親族の介護で寄り道したら

テーマ:通勤災害・逸脱中断の例外
重要度:★★★★☆
裁判例:国・羽曳野労基署長事件

木下ほのかさんの同僚、村上りょうさんは、
仕事帰りに義父の介護のため義父宅に立ち寄りました。

その後、自宅へ向かう途中で交通事故に遭いました。

青葉社長は言います。

「寄り道だから通勤災害ではないんじゃない?」

判例先生が登場します。

「国・羽曳野労基署長事件を見ておきましょう。」

この事件では、
会社からの帰路、義父宅に立ち寄った後の交通事故について、
通勤災害に当たるかが争われました。

通勤災害では、
就業に関する移動か、
合理的な経路・方法か、
逸脱・中断の扱いをどう見るか、
が重要になります。

【試験ポイント】
通勤災害では、介護・日用品購入・診療などの日常生活上必要な行為が問題になる。
逸脱・中断の例外はよく狙われる。

【裁判例】
国・羽曳野労基署長事件
→ 会社帰りに義父宅へ介護のため立ち寄った後の事故が問題になった。

【覚え方】
通勤の道から外れても、
生活上どうしても必要な小さな寄り道なら、
戻った後に通勤の糸がつながることがある。

【ひっかけ】
「介護や日用品購入のための立ち寄りは、どんな時間・距離であっても常に通勤災害の対象となる」
→ 誤り。

最小限度か、合理的か、戻った後かを見る。

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第14話 業務災害と通勤災害で名前が違う

テーマ:給付名称
重要度:★★★★★

まことさんは業務中にケガをしました。
ほのかさんは通勤中にケガをしました。

給付係の栗原さんが言いました。

「2人とも労災保険の世界ですが、給付の名前が少し違います。」

業務災害では、

  • 療養補償給付

  • 休業補償給付

  • 障害補償給付

  • 遺族補償給付

  • 葬祭料

  • 傷病補償年金

  • 介護補償給付

通勤災害では、

  • 療養給付

  • 休業給付

  • 障害給付

  • 遺族給付

  • 葬祭給付

  • 傷病年金

  • 介護給付

つまり、業務災害には「補償」という言葉が入ります。
通勤災害には、原則として「補償」という言葉が入りません。

まことさんは言いました。

「業務災害は会社の災害補償を保険で肩代わりするから“補償”がつく。
通勤災害は会社の責任とは違うから“補償”がつかないんですね。」

南さんはうなずきました。

【試験ポイント】
業務災害は「補償」がつく。
通勤災害は「補償」がつかない。
複数業務要因災害では「複数事業労働者〇〇給付」という名前が出る。

【覚え方】
業務中のまことさんには「補償」の札。
通勤中のほのかさんには「補償なし」の札。

【ひっかけ】
「通勤災害の場合には、休業補償給付が支給される」
→ 誤り。

通勤災害は「休業給付」。

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第15話 療養補償給付・療養給付

テーマ:療養の給付
重要度:★★★★★

まことさんは、労災指定病院で治療を受けました。

白石なお先生が言います。

「労災指定医療機関であれば、原則として窓口で治療費を払わずに療養を受ける形になります。」

療養補償給付・療養給付には、
現物給付としての「療養の給付」と、
いったん費用を支払った後に請求する「療養の費用の支給」があります。

まことさんは思いました。

「指定病院なら、治療そのものを受ける。
指定外なら、いったん払って後から請求するイメージなんだ。」

【試験ポイント】
療養補償給付・療養給付は、
労災指定医療機関等で受ける療養の給付
指定外で受けた場合の療養の費用の支給
を区別する。

【覚え方】
指定病院なら「治療をそのまま受ける」。
指定外なら「一度払って、後から返してもらう」。

【ひっかけ】
「労災指定医療機関で療養を受ける場合でも、労働者は必ず医療費を全額立て替えなければならない」
→ 誤り。

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第16話 通勤災害の一部負担金

テーマ:通勤災害の一部負担金
重要度:★★★☆☆

ほのかさんは通勤中にケガをして、療養給付を受けました。

給付係の栗原さんが言いました。

「通勤災害では、一部負担金という細かい論点があります。」

まことさんは聞きました。

「業務災害にはないんですか?」

栗原さんは答えました。

「通勤災害特有の論点です。」

通勤災害では、原則として一部負担金が問題になります。
金額は原則200円です。
健康保険の日雇特例被保険者の場合は100円です。

実務上は、休業給付から控除される形で処理されることがあります。

【試験ポイント】
通勤災害の一部負担金。
原則200円。
日雇特例被保険者は100円。

【覚え方】
通勤災害には、小さな200円札がついてくる。

【ひっかけ】
「業務災害の療養補償給付についても、労働者から一部負担金200円を徴収する」
→ 誤り。

一部負担金は通勤災害の論点。

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第17話 休業補償給付・休業給付

テーマ:休業関係給付
重要度:★★★★★

まことさんは、腰のケガでしばらく働けなくなりました。

まことさんが聞きます。

「休んでいる間、生活費はどうなりますか?」

栗原さんが説明します。

「療養のため労働することができず、賃金を受けない場合、
休業4日目から休業補償給付が問題になります。」

休業補償給付の基本は、

業務災害または通勤災害などによる傷病の療養のため、
労働することができない。
賃金を受けない。
休業4日目から。
給付基礎日額の60%。

さらに、
休業特別支給金として20%相当額が支給されます。

つまり、試験上は、

60%
プラス
20%

のイメージで覚えます。

【試験ポイント】
休業4日目から。
保険給付は給付基礎日額の60%。
休業特別支給金20%。
合計イメージは80%。

【覚え方】
まことさんが4日目から、60%の給付カードと20%の特別カードを受け取る。

【ひっかけ】
「休業補償給付は、休業初日から労災保険により支給される」
→ 誤り。

労災保険からは4日目から。

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第18話 最初の3日間はどうなる?

テーマ:待期期間・労基法の休業補償
重要度:★★★★★

まことさんが聞きました。

「4日目からということは、最初の3日間は何もないんですか?」

南さんは答えました。

「業務災害の場合、最初の3日間は労基法上の使用者の休業補償が問題になります。」

青葉社長が驚きます。

「そこは会社が払うの?」

南さんは言いました。

「はい。業務災害なら、最初の3日間は事業主の休業補償です。」

ただし、通勤災害は使用者の労基法上の災害補償責任とは別です。
そのため、通勤災害の場合、最初の3日間について使用者の休業補償義務はありません。

【試験ポイント】
休業補償給付は4日目から。
業務災害の最初の3日間は、労基法上の休業補償。
通勤災害の最初の3日間は、使用者に労基法上の休業補償義務はない。

【覚え方】
業務災害:
1日目から3日目は青葉社長。
4日目から黒田署長。

通勤災害:
会社責任ではないので、最初の3日間の労基法補償はない。

【ひっかけ】
「通勤災害の場合も、休業初日から3日目までは使用者が労基法上の休業補償を行う」
→ 誤り。

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第19話 給付基礎日額というものさし

テーマ:給付基礎日額
重要度:★★★★☆

栗原さんが言いました。

「休業補償給付や障害補償給付では、給付基礎日額が大事です。」

まことさんは言いました。

「また日額ですか。労基法の平均賃金みたいですね。」

南さんは言います。

「よく気づきました。
給付基礎日額は、原則として労基法の平均賃金に相当する額です。」

給付基礎日額は、
労災保険給付を計算するためのものさしです。

休業補償給付
障害補償給付
遺族補償給付
傷病補償年金

などで登場します。

【試験ポイント】
給付基礎日額は、原則として労基法の平均賃金に相当する。
労災保険給付の計算の基礎。

【覚え方】
労基法の平均賃金が、労災の世界では給付基礎日額という名前で働く。

【ひっかけ】
「給付基礎日額は、労働者が任意に選んだ1か月の賃金を30で割って計算する」
→ 誤り方向。

原則は平均賃金相当。

==================================================
第20話 傷病補償年金・傷病年金

テーマ:傷病関係給付
重要度:★★★★☆

まことさんのケガは長引きました。

療養開始後、かなりの期間が経っても治らず、
障害の程度も重い状態です。

栗原さんが言いました。

「この場合、傷病補償年金が問題になることがあります。」

まことさんは聞きました。

「障害補償給付とは違うんですか?」

栗原さんは説明しました。

「障害補償給付は、傷病が治った後に障害が残った場合。
傷病補償年金は、療養中で、まだ治っていないが、重い状態が続いている場合です。」

ここで大事なのは、

治っていない重い状態:
傷病補償年金。

治った後に障害が残った:
障害補償給付。

です。

【試験ポイント】
傷病補償年金は、療養開始後1年6か月を経過しても治っておらず、一定の傷病等級に該当する場合に問題になる。
労働基準監督署長の職権により支給決定される点も重要。

【覚え方】
まだ治っていない重症状態なら、傷病補償年金。
治った後の後遺障害なら、障害補償給付。

【ひっかけ】
「傷病補償年金は、労働者の請求によってのみ支給される」
→ 誤り。

職権での支給決定が重要。

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第21話 障害が残ったら

テーマ:障害補償給付・障害給付
重要度:★★★★★

治療の結果、まことさんは仕事に復帰できました。

しかし、腰に後遺障害が残りました。

栗原さんが言います。

「傷病が治った後に障害が残った場合、障害補償給付が問題になります。」

障害補償給付には、

障害補償年金
障害補償一時金

があります。

障害等級が重い場合は年金。
比較的軽い場合は一時金。

大まかには、

1級から7級:
年金。

8級から14級:
一時金。

として覚えます。

【試験ポイント】
障害補償給付は、治癒後に障害が残った場合。
1級から7級は年金。
8級から14級は一時金。

【覚え方】
重い障害は長く支える年金。
軽い障害はまとめて一時金。

【ひっかけ】
「障害補償給付は、傷病がまだ治っていない療養中に支給される」
→ 誤り。

治った後の障害が対象。

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第22話 家族を残して亡くなったら

テーマ:遺族補償給付・遺族給付
重要度:★★★★★

もし、まことさんが業務災害で亡くなったら。

南さんは、重い表情で言います。

「その場合、残された家族に遺族補償給付が問題になります。」

まことさんの妻、佐藤ゆいさん。
子ども。
両親。

誰が遺族補償年金を受けられるのか。
生計維持関係があるのか。
順位はどうなるのか。

ここが試験で狙われます。

遺族補償給付には、

遺族補償年金
遺族補償一時金

があります。

原則として、遺族補償年金が中心です。
年金を受ける遺族がいない場合などに、一時金が問題になります。

【試験ポイント】
遺族補償給付は、死亡した場合。
遺族補償年金と遺族補償一時金。
受給資格者、順位、生計維持関係が重要。

【覚え方】
まことさん本人だけでなく、
残されたゆいさんと子どもを支える。

【ひっかけ】
「遺族補償一時金は、常に遺族補償年金と同時に支給される」
→ 誤り。

年金と一時金の関係を区別する。

==================================================
第23話 葬祭料・葬祭給付

テーマ:葬祭関係
重要度:★★★☆☆

まことさんが亡くなった場合、
葬儀を行う人にも給付があります。

栗原さんが言いました。

「業務災害なら葬祭料。
通勤災害なら葬祭給付です。」

青葉社長は言いました。

「ここでも“補償”とは言わないんですね。」

南さんは答えました。

「はい。名称の違いに注意です。」

業務災害:
葬祭料。

通勤災害:
葬祭給付。

【試験ポイント】
葬祭料・葬祭給付の名称。
時効は2年。

【覚え方】
死亡後の葬儀費用を支える給付。

【ひっかけ】
「葬祭料の請求権は、被災労働者が死亡した日の翌日から5年で時効消滅する」
→ 誤り。

葬祭料等は2年。

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第24話 介護が必要になったら

テーマ:介護補償給付・介護給付
重要度:★★★★☆

まことさんに重い障害が残り、常時介護が必要になりました。

ゆいさんは不安そうに言いました。

「介護費用もかかります。」

栗原さんは言いました。

「一定の場合、介護補償給付が問題になります。」

介護補償給付は、
障害補償年金または傷病補償年金を受ける一定の重い障害の人が、
実際に介護を受けている場合などに問題になります。

【試験ポイント】
介護補償給付は、
障害補償年金・傷病補償年金とのつながりで覚える。
常時介護・随時介護の区別も重要。

【覚え方】
重い障害で、生活に人の手が必要になったら、介護補償給付。

【ひっかけ】
「介護補償給付は、労災による障害の有無にかかわらず、介護保険の要介護認定を受ければ当然に支給される」
→ 誤り。

労災保険上の要件を見る。

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第25話 二次健康診断等給付

テーマ:二次健康診断等給付
重要度:★★★★☆

定期健康診断で、まことさんに異常所見が見つかりました。

血圧。
血中脂質。
血糖。
腹囲またはBMI。

日高こころ先生が言いました。

「脳・心臓疾患を防ぐため、二次健康診断等給付が問題になることがあります。」

青葉社長は言いました。

「労災って、事故が起きた後だけじゃないんですか?」

南さんは言いました。

「基本は事故後の補償ですが、二次健康診断等給付は予防的な色合いがあります。」

二次健康診断等給付は、
一次健康診断で一定の異常所見がある労働者に対し、
二次健康診断と特定保健指導を行うものです。

【試験ポイント】
二次健康診断等給付は、脳血管疾患・心臓疾患の予防とつながる。
一次健康診断の一定項目の異常所見。
請求期限は、一次健康診断の受診日から3か月以内。

【覚え方】
健康診断で赤信号が4つそろったら、
脳・心臓疾患を防ぐために二次チェック。

【ひっかけ】
「二次健康診断等給付は、労働者が労災事故で負傷した後に限り支給される」
→ 誤り。

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第26話 複数の会社で働いている人

テーマ:複数事業労働者
重要度:★★★★☆

あおば製作所で働く木下ほのかさんは、
夜に別の会社でも働いていました。

南さんが言いました。

「近年は、副業・兼業も増えています。
労災保険では、複数事業労働者の扱いが重要です。」

複数の事業で働いている労働者については、
給付基礎日額を複数の就業先の賃金を合算して考える場面や、
複数業務要因災害が問題になります。

複数業務要因災害とは、
2以上の事業の業務を要因とする負荷により、
疾病などが生じる場合です。

たとえば、
昼はあおば製作所。
夜は別会社。
それぞれ単独では過重でなくても、
合計すると長時間労働になり、病気になった場合です。

【試験ポイント】
複数事業労働者。
給付基礎日額の合算。
複数業務要因災害。
給付名称は「複数事業労働者〇〇給付」。

【覚え方】
昼のあおば製作所と、夜の別会社。
2つの職場の負荷を合わせて見る。

【ひっかけ】
「複数の事業場で働く労働者について、労災保険給付は災害が発生した事業場の賃金だけを基礎として常に計算する」
→ 誤り。

複数事業労働者の合算が問題になる。

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第27話 特別支給金は保険給付ではない

テーマ:特別支給金
重要度:★★★★★

まことさんは、休業補償給付60%に加えて、
休業特別支給金20%を受けました。

まことさんが聞きました。

「この20%も保険給付ですか?」

栗原さんは答えました。

「ここは試験で大事です。
特別支給金は、労災保険の保険給付そのものではなく、社会復帰促進等事業として支給されるものです。」

まことさんはメモしました。

保険給付:
休業補償給付60%。

特別支給金:
休業特別支給金20%。

両方セットで覚えるが、性質は違う。

【試験ポイント】
特別支給金は保険給付ではない。
社会復帰促進等事業として支給される。
ただし、休業では60%+20%で出題されやすい。

【覚え方】
60%は本体。
20%は応援金。

【ひっかけ】
「休業特別支給金は、労災保険法上の保険給付である」
→ 誤り。

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第28話 第三者行為災害

テーマ:第三者行為災害・求償・控除
重要度:★★★★☆

ほのかさんは通勤中、
信号無視の車にはねられました。

加害者がいる交通事故です。

青葉社長は言いました。

「加害者がいるなら、労災は関係ないんじゃない?」

南さんは言いました。

「いいえ。第三者行為災害として、労災保険と損害賠償の調整が問題になります。」

第三者行為災害では、
被災労働者は、
第三者に対する損害賠償請求権と、
労災保険給付請求権の両方を持つことがあります。

ただし、二重取りはできません。

政府が先に労災給付をした場合:
政府が第三者に求償する。

第三者から先に損害賠償を受けた場合:
政府はその価額の限度で労災給付をしないことができる。

【試験ポイント】
第三者行為災害。
求償。
控除。
二重てん補の防止。

【覚え方】
加害者がいる事故では、
労災保険と損害賠償の交通整理が必要。

【ひっかけ】
「第三者行為災害では、第三者に損害賠償請求できるため、労災保険給付を請求することはできない」
→ 誤り。

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第29話 わざとケガをしたら?

テーマ:支給制限
重要度:★★★☆☆

青葉社長が冗談で言いました。

「わざとケガをして労災をもらう人がいたらどうするんだ?」

南さんは言いました。

「その場合、支給制限の問題になります。」

労働者が故意に負傷、疾病、障害、死亡またはその原因となった事故を生じさせたときは、保険給付は行われません。

また、故意の犯罪行為や重大な過失などによる場合には、
給付の全部または一部が制限されることがあります。

【試験ポイント】
故意の場合は支給しない。
故意の犯罪行為・重大な過失では、全部または一部制限が問題になる。

【覚え方】
労災保険は、本当に災害にあった人を守る制度。
わざと作った事故は守らない。

【ひっかけ】
「労働者が故意に負傷した場合でも、業務時間中であれば必ず保険給付が行われる」
→ 誤り。

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第30話 事業主が証明しないと労災申請できない?

テーマ:労災請求と事業主証明
重要度:★★★★☆

まことさんは労災請求をしようとしました。

ところが青葉社長が言いました。

「労災にすると会社のイメージが悪いから、証明欄にはハンコを押したくないな。」

まことさんは不安になります。

「会社が証明してくれないと、請求できないんですか?」

南さんは言いました。

「事業主証明は重要ですが、会社が協力しないからといって、労働者の請求権が消えるわけではありません。」

労災保険の請求は、労働者や遺族が行います。
事業主は、事実関係の証明などに協力すべき立場です。

労災かどうかを最終的に判断するのは、
会社ではなく、労働基準監督署長です。

【試験ポイント】
労災認定をするのは会社ではない。
労働基準監督署長が支給・不支給を判断する。
事業主証明と労災認定を混同しない。

【覚え方】
青葉社長は事実を証明する人。
黒田署長が認定する人。

【ひっかけ】
「事業主が労災ではないと判断した場合、労働者は労災保険給付を請求することができない」
→ 誤り。

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第31話 労災かくし

テーマ:労働者死傷病報告・労災かくし
重要度:★★★★☆

青葉社長は小声で言いました。

「軽いケガなら、労基署に報告しなくてもいいかな。
労災が多い会社と思われたくないし。」

南さんの顔が厳しくなりました。

「社長、それは労災かくしにつながります。」

労働災害で労働者が死亡・休業した場合、
事業者には労働者死傷病報告を提出する義務があります。

これは安衛法の章でも出ました。

労災保険の請求と、
労働者死傷病報告は別です。

労災保険の請求:
まことさんへの給付。

労働者死傷病報告:
黒田監督官への事故報告。

【試験ポイント】
労災保険給付の請求と、労働者死傷病報告は別。
労災かくしは重大。

【覚え方】
給付はまことさんのため。
報告は事故を隠さないため。

【ひっかけ】
「労災保険給付の請求を行えば、労働者死傷病報告を提出する必要はない」
→ 誤り。

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第32話 時効は2年と5年で分ける

テーマ:時効
重要度:★★★★★

栗原さんが言いました。

「労災保険は、請求期限も重要です。」

まことさんは聞きました。

「どれくらいで時効になるんですか?」

栗原さんはホワイトボードに書きました。

2年:
療養補償給付の費用請求
休業補償給付
葬祭料
介護補償給付
など

5年:
障害補償給付
遺族補償給付
など

二次健康診断等給付:
一次健康診断の受診日から3か月以内

傷病補償年金:
監督署長の職権で移行するため、請求時効という形では出にくい。

【試験ポイント】
短期給付は2年。
長期給付は5年。
葬祭料は死亡関係だが2年なので注意。
二次健康診断等給付は3か月以内。

【覚え方】
すぐ使う給付は2年。
長く支える障害・遺族は5年。
葬祭は死亡関係だけど2年のひっかけ。

【ひっかけ】
「葬祭料の請求権は、遺族補償給付と同じく5年で時効消滅する」
→ 誤り。

葬祭料は2年。

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第33話 不支給決定に納得できない

テーマ:不服申立て
重要度:★★★★☆

まことさんの病気について、
黒田署長が不支給決定をしました。

まことさんは納得できません。

「仕事のせいだと思うのに、不支給なんですか?」

南さんは言いました。

「その場合、不服申立ての制度があります。」

労災保険給付に関する決定に不服がある場合、
まず労働者災害補償保険審査官への審査請求が問題になります。

さらに、労働保険審査会への再審査請求が問題になります。

【試験ポイント】
労災保険の不服申立ては、
労働者災害補償保険審査官
労働保険審査会
の流れで覚える。

【覚え方】
黒田署長の決定に納得できない。
次に、労災審査官。
さらに、労働保険審査会。

【ひっかけ】
「労災保険給付の不支給決定に不服がある場合、最初に社会保険審査官へ審査請求する」
→ 誤り。

社会保険審査官ではない。
労災は労働者災害補償保険審査官。

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第34話 特別加入者

テーマ:特別加入
重要度:★★★★★

あおば製作所の近くに、一人で電気工事をしている職人、
橋本げんさんがいました。

橋本さんは言いました。

「私は会社員ではないけど、現場でケガをする危険は会社員と同じです。
労災には入れないんですか?」

南さんは言いました。

「そこで特別加入制度があります。」

労災保険は、本来は労働者のための制度です。

しかし、労働者ではなくても、
業務の実態や災害リスクが労働者に近い人がいます。

たとえば、

中小事業主等
一人親方等
特定作業従事者
海外派遣者

こうした人たちは、一定の要件のもとで特別加入できる場合があります。

【試験ポイント】
労災保険は本来、労働者の制度。
ただし、特別加入により労働者でない人も保護されることがある。
中小事業主等、一人親方等、海外派遣者は頻出。

【覚え方】
労働者ではないけれど、現場で危険を背負う人に、
特別な労災の傘をさす。

【ひっかけ】
「労災保険には、労働者でない者が加入できる制度は一切存在しない」
→ 誤り。

特別加入がある。

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労災保険法・重要判例・裁判例まとめ

1 横浜南労基署長事件
テーマ:業務起因性・脳血管疾患
覚え方:運転手がくも膜下出血を発症
ポイント:過重な業務と疾病発症との相当因果関係が問題になる

2 国・羽曳野労基署長事件
テーマ:通勤災害・逸脱中断
覚え方:会社帰りに義父宅へ介護で立ち寄り、その後事故
ポイント:就業に関する移動、合理的経路、逸脱・中断の扱いが問題になる

3 電通事件
テーマ:過労自殺・安全配慮義務・精神障害
覚え方:長時間労働で心が壊れた
ポイント:労災保険法そのものの給付事件としてだけでなく、過労・精神障害・安全配慮義務を横断的に理解するため重要

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労災保険法・超重要暗記フレーズ

労災保険法は、
仕事や通勤で傷ついた労働者と家族を守る法律。

安衛法は、
事故が起きる前に防ぐ法律。

労災保険法は、
事故が起きた後に補償する法律。

労災保険は、
政府が管掌する。

労災保険料は、
全額事業主負担。

正社員だけでなく、
パート・アルバイトも労働者なら対象。

業務災害は、
業務遂行性と業務起因性で考える。

業務遂行性は、
会社の支配管理下にあったか。

業務起因性は、
仕事とケガ・病気に相当因果関係があるか。

通勤災害は、
就業に関する移動を、
合理的な経路・方法で行うこと。

通勤では、
逸脱・中断が超重要。

業務災害は、
「補償」がつく。

通勤災害は、
「補償」がつかない。

療養補償給付は、
指定医療機関なら療養の給付。
指定外なら療養の費用の支給。

休業補償給付は、
休業4日目から。
給付基礎日額の60%。

休業特別支給金は、
20%。

休業の合計イメージは、
60%プラス20%。

業務災害の最初の3日間は、
労基法上の使用者の休業補償。

通勤災害の最初の3日間は、
使用者の労基法上の休業補償義務はない。

給付基礎日額は、
原則として平均賃金相当。

傷病補償年金は、
治っていない重症状態。

障害補償給付は、
治った後に障害が残った状態。

障害は、
1級から7級が年金。
8級から14級が一時金。

遺族補償給付は、
残された家族を支える。

葬祭料は、
死亡関係だが時効2年に注意。

介護補償給付は、
重い障害で介護が必要な場合。

二次健康診断等給付は、
一次健康診断から3か月以内。

特別支給金は、
保険給付そのものではない。
社会復帰促進等事業。

第三者行為災害では、
求償と控除。

時効は、
短期給付2年。
障害・遺族など長期給付5年。

不服申立ては、
労働者災害補償保険審査官、
労働保険審査会。

特別加入は、
労働者ではないが労働者に準じて保護する制度。

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あおば製作所で一気に覚える労災保険法ストーリー

あおば製作所の工場で、
佐藤まことさんが床の油で転倒する。

安衛法では、
本来は油を放置しないように予防する。

でも、事故が起きてしまった。

ここで労災保険法が登場する。

白石なお先生の病院で治療を受ける。
指定医療機関なら、療養の給付。

まことさんが休む。
4日目から休業補償給付60%。
さらに休業特別支給金20%。

最初の3日間は、
業務災害なら青葉社長が労基法上の休業補償をする。

ケガが長引いて、
まだ治っていない重症状態なら傷病補償年金。

治った後に障害が残れば、
障害補償給付。

亡くなれば、
遺族補償給付と葬祭料。

重い障害で介護が必要になれば、
介護補償給付。

木下ほのかさんが自転車通勤中に転ぶ。
これは通勤災害として問題になる。

家と会社の往復か。
合理的な経路・方法か。
寄り道、つまり逸脱・中断はないか。

帰り道にスーパーへ寄ったら、
通勤の糸が一度切れる。

でも、
日用品購入など日常生活上必要な行為を、
やむを得ない事由により最小限度で行った場合は、
道に戻った後に通勤の糸が結び直されることがある。

通勤災害では、
休業補償給付ではなく休業給付。
「補償」という言葉がつかない。

通勤災害には、
一部負担金200円の細かい論点もある。

副業しているほのかさんには、
複数事業労働者の論点が出る。

昼のあおば製作所と、
夜の別会社。

2つの職場の負荷を合わせて、
病気になったかを見ることがある。

交通事故で加害者がいれば、
第三者行為災害。

政府が先に給付すれば、
政府が加害者に求償する。

加害者が先に賠償すれば、
政府はその分を控除できる。

まことさんが不支給決定に納得できなければ、
労働者災害補償保険審査官に審査請求。

さらに、
労働保険審査会が出てくる。

そして、会社員ではない一人親方の橋本げんさんには、
特別加入の道がある。

労災保険法は、
まことさんがケガをした瞬間から、
治療、休業、障害、死亡、介護、家族、再発、通勤、副業まで、
ずっと後ろから支える制度です。

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本試験での意識

労災保険法は、社労士試験ではかなり点にしやすい科目です。

ただし、似た言葉が多いです。

療養補償給付
療養給付

休業補償給付
休業給付

障害補償給付
障害給付

遺族補償給付
遺族給付

葬祭料
葬祭給付

このように、
業務災害か通勤災害かで名前が変わります。

まずは、

業務災害には「補償」がつく。
通勤災害には「補償」がつかない。

これを固定してください。

次に、

休業は4日目から。
60%プラス20%。
業務災害の最初の3日間は事業主。
通勤災害の最初の3日間は事業主補償なし。

ここは最重要です。

さらに、

通勤災害の逸脱・中断。
第三者行為災害の求償・控除。
時効の2年・5年。
特別支給金は保険給付ではない。
特別加入は労働者ではない人を特別に守る制度。

このあたりが択一式で狙われます。

判例・裁判例では、

横浜南労基署長事件
国・羽曳野労基署長事件
電通事件

を、業務起因性、通勤災害、過労・精神障害のイメージで押さえます。

労災保険法は、

「まことさんが、どこで、なぜ、どう傷ついたのか」

を最初に見る。

仕事中なら業務災害。
通勤中なら通勤災害。
複数の仕事の負荷なら複数業務要因災害。

そして、

治療なのか。
休業なのか。
障害なのか。
死亡なのか。
介護なのか。

この順番で給付を当てはめる。

これが、労災保険法の解き方です。

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