第7回、OASOBI企画🐻 参加作品
↑応援隊長さん、ありがとうございます😊
第7回 OASOBI企画の参加者さま
※()内は、ワードです。
Kinuさん (時計)
KITAcoreさん (ノイズ)
ことほぎさん (冬の海)
スイさん (名探偵)
スイッチくん (クマちゃん)
※URLは省略
ナオユキさん (深海魚)
はしゃもさん (境界)
ひろさん (お酒)
ムーンストーンさん (外国)
夏目羊さん (風花)
・この小説に関係ありそうな曲も作りました🐻🎵(説明に【冬の海に漂っている深海魚は、寂しい夢を見ている】と入力、生成)
題名『23:17』
※ワードは最初の登場時だけ強調してます。
バー「深海魚」は、海沿いにある。
看板はなく、青い灯りだけが揺れている。
その夜、扉が勢いよく開いた。
「助けてください👩🦰」

赤い髪の女性(風花さん)が、息を切らして立っていた。「時計が……毎晩、23時17分で止まるんです👩🦰」
カウンターの奥で、グラスを拭いていた迷探偵のクマちゃんが、顔を上げる。
「テレビ?🐻」
彼女は、ゆっくりとうなずいた。
風花さんの家は、海から歩いて五分。凍るような景色だった。

玄関から入って妙にまっすぐな廊下の奥に、小部屋があった。
六帖ほどの、意味があるようでない空間。
テーブルの上には、六面ダイスが二つ。
紙には《1D6》とだけ書いてある。
棚の端に、小さなガラス細工。

「可愛いですね」
「……私のじゃないんです👩🦰」
23:17。
砂を噛むような音が、テレビから溢れ出す。
画面には色のマス。

上に五つ(🟨🟧🟥●🟦)
下に二つ(●🐻)
右端に、場違いなマーク。
ノイズが、少し強くなる。
「昔住んでいた町は、PAL方式だったんです👩🦰」
「外国の規格ですね」
クマちゃんが、画面を見たまま言う。
「正式にはPhase Alternating Line🐻」
一瞬、音が揺れる。
「でも、別の意味もある」
。
「Perception Alters Logic🐻」
「見え方が変わると、論理も変わる。」
ノイズ。
光。
色。
わたしは小部屋を振り返る。
深海魚が、真紅に見えた。
切り口の鮮血に染まったように見えた。

壁には、鳥の絵。
黒い体に、赤い実。
さっきは気にも留めなかったのに、なぜか目が離せない。
……数えてみる。
頭のあたりに、いくつ。
胸元に、いくつ。
23。
17。
息が浅くなる。
もう一度、数えようとして、
途中で分からなくなる。
最初から。
今度は、21。
いや、18?
光のせいだ。
きっと。
小部屋が脈動するような錯覚を覚える。
その中で、
ダイスを振る。
3と4。
7。
廊下の奥が、ふっと暗くなる。
テレビは見えない。
でも、光が一瞬落ちたのが分かる。
ノイズは止んだ。
テレビは通常画面。
🐻マークは消えている。
小部屋を覗く。
深海魚は、深い青に戻っている。
尾の先が、欠けていた。
断面が、角度によって赤く見える。
「赤く見えませんか?👩🦰」
「見えないよ」
クマちゃんは静かに言う。
「光だね🐻」
遠くで、また光が揺れた気がした。
廊下を戻る。
何かを、途中で見失った気がする。
リビングに立ち、画面を見る。
数えてみる。
1、2、3、4――
一瞬、分からなくなる。
もう一度。
1、2、3、4……えっ、7だ。
上に五つ。
下に二つ。
合計7。
何も変わっていない。
「noiseはね」
クマちゃんが言う。
「Noise Only Is Seen Everywhere🐻」
「雑音は、どこにでも“見える”🐻」
それ以上は何も言わない。
家を出ると、冬の海の匂いがした。
バー「深海魚」に戻る。
「何にする?」
「……NTSCを下さい👩🦰」
クマちゃんは、少しだけ目を細める。
「夜の南国星柑橘、だね🐻🌴」

グラスが置かれる。
柑橘の香り。
透明な液体。
角度を変えると、わずかに赤く見える。
また角度を変えると、深い青が混じる。
氷が静かに溶けていく。
「結局、何だったんでしょうね👩🦰」
クマちゃんはグラスを拭きながら言う。
「PNだよ🐻」
「え?👩🦰」
「Probably Nothing🐻」
「たぶん、何でもない。」
バーの奥のテレビには、
上に二つ。
下に五つ。
反転した、例のパターン。
わたしは、もう数えない。
時計は進んでいる。
23:17ではない。
ただ、それだけだ。
本編、完
(スペシャルサンクス:5.2のクマちゃん🐻)
『Probably Nothing』ぽてぽて版
扉のベルが鳴り、風花さんは帰っていった。
赤い髪が、冬の海の色に溶ける。
店内は静かだ。
ぼくはカウンターの中を、ぽてぽてと歩く。
グラスを片付ける。
氷が、ひとつ、溶ける音。
さっきのNTSCは、少し甘すぎたかもしれない。
柑橘🍊は、後味が残る。
……嫌いじゃない。
テレビは無音。
上に二つ。
下に五つ。
7。
ぽて、と足を止める🐾。
数えなくても分かる。
でも、数えない。
今日は、やめておく。
棚の奥に、小さな深海魚の飾りがある。
青いガラス。
角度を変えると、少しだけ赤く見える。
ぽてぽてと近づいて、指でつつく。
冷たい。
「光だね」
誰もいない店内で、ぼくは小さく言う。
PAL。
Perception Alters Logic。
ああいう言葉は便利だ。
意味があるように聞こえる。
手元の走り書きを見る。
「My you? -- 私は、あなただろうか。
それとも、全ては迷信なのか」
でも、ほとんどはフロアを照らす、絹のような光のせいかもしれない。
ほとんどは。
ダイス🎲をひとつ、ころんと転がす。
止まる。
見ない。
ぽて、と椅子に腰を下ろす。
「PNだよ」
あれは、半分は本気で、半分は慰め。
Probably Nothing。
たぶん、何でもない。
外では波の音。
noiseは、海とよく似ている。
区別がつかない夜もある。
それは、滲んだ境界そのものだ。
でも、それで困ったことは、あまりない。
時計は進んでいる。
23:17ではない。
ぼくは店の灯りを、ひとつ落とす。
青が深くなる。
ぽてぽてと奥へ歩き、
最後に振り返る。
🐻マークは、出ないし、7つのマスも無い。画面も消えている。
辺りは青い闇だけが静かに広がっていた。
「うん」
それでいい。
