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アケタの店でぼくは、ドイツ人の数理脳科学研究者の美青年と出会った

note で展開してきた『AI時代のカント』の執筆の終わりがほぼ見えてきた19日、日曜、夜、ぼくは西荻窪アケタの店にジャズを聴きに行った、小太刀のばらさんのグループの演奏を聴きに。

小太刀のばらさん ピアノ
宮野裕司さん アルトサックス(『Loving You』の一曲だけフルート)
津上研太さん アルトサックス(『Loving You』の一曲だけフルート)
山田晃徹さん コントラバス
野崎正紀さん ドラムス

演奏はごきげんなビ・バップで演奏される『Broad Way』から始まった。
チャーリー・パーカーが大活躍していた時代の輝きが時を経て蘇る。フロントの2本のアルト・サックスが奏でるテーマが華やかだ。しかもふたりは流れるように一方がソロに移れば、他方がカウンターにまわる。野崎さんのドラムスはブラシでスネアを叩き、山田さんはコントラバスの弦を指で弾き、太く良い音で気持ちのいいウォーキング・ベースを織り込む。小太刀さんのピアノ・ソロはシングル・ノートで、機嫌よく気まぐれなフレーズを奏で、短いソロの応酬を経て、アルト・サックスが華麗に奏でるテーマに戻る。

かっこいいんだ。一見それはジャズ・アーカイヴの再現かにおもえるものの、しかし、そうではなく、なんでもありのカオスな現代ジャズ・シーンに対して、堂々たる批評にもなっているのだ。

しかも続く2曲目は、アケタの店のオウナーで去年亡くなった明田川荘之さんの『外はいい天気』で、この曲がまた明田川さんの天性の音楽的ユーモアを優雅に取り出していて、たのしい。続いて小太刀のばらさんの『The End]』、ローランド・カークの『Stoppin' Ground』へ続く。気がつけば、ビ・バップからはじまったライヴは、その音楽世界を自由に発展させている。また、ぼくは小太刀のばらさんの編曲家としての才をも発見する。


ドイツ人の美青年・数理脳科学研究者レオナルド

さて、ここで演奏は少し休憩。ぼくの隣には背の高い上品そうな白人美青年、その隣には学者ふうのおじさんが座っている。例によってぼくは白人美青年とおしゃべりをはじめる。かれはドイツ人で、フランスで研究しているものの、2週間東京に来ているのだった。ぼくはたまたまいま関心を持っているドイツ人のジャズ・プロデューサーで『世界は音』という壮大なヴィジョンの本を書いたヨアヒム・ベーレントを話題にした。かれは知らなかったけれど、興味深そうに、ぼくのノートの書き記したアルファベット表記のかれの名前と英訳著書名をスマートフォンで撮影した。ぼくはかれに日本のジャズ史を解説し、かれのお勧めのジャズ・ミュージシャン3人を訊ねた。

かれは少し考えて、ぼくのノートに書いてくれた。
Uri Gincel
Ludwig Horuung

Bastian Stein
かれのハンド・ライティングは筆記体の H や B が装飾的で、
ドイツ人っぽい。

また、かれはピアニストの Fukui Ryo とトランペッターの Kurida Takuya
を好きだそうで、ぼくに「知っている?」と訊いた。残念ながらぼくはおふたりとも知らなかった。ジャズ談義ではこういうことはよく起こる。ぼくは言った、聴いてみるね。かれは続けた、「きみにとってベルリンは遠いけれど、もし行く機会があったら、ライヴ・ハウスのJig Zag Jazz へ行ってみて、水曜の夜はジャム・セッションで、凄いんだよ。」かれはレオナルドという名前だった。

ぼくはかれに訊ねた、きみはなにを研究しているの? すると、かれに代わって隣の日本人男性が答えた、「かれは数理脳科学を研究しているんですよ、そのうちかれは偉くなりますよ。」訊けば、その日本人はなんと、数理脳科学者の甘利俊一先生が主宰する研究所に勤めておられるのだった! おもわずぼくは椅子から転げ落ちそうになった。まさかアケタの店で、最先端の科学者と会うなんて誰が思うだろう? しかし、こういうことがたまに起こることがまたジャズなのだ。

第二部のライヴは、ポピュラーな『Loving You』からはじまり、津上さんの『天気雨』、ジェリー・マリガンの『The Ant Hill』そしてチャーリー・ヘイデンの『Mary Hertman,Mary Hertman』で締めくくられた。楽しく、華やかで、最高のジャズ体験だった。

演奏後、日本人男性はミュージシャンたちに乞うた、レオナルドと一緒に写真を撮らせて欲しい。ぼくは床に腰を下ろし、かれのスマートフォンで被写体たちを煽り気味で撮影した。(こう見えてもぼくはかつて数年間、アート系の、異色のプロフェッショナル・カメラマンだったのだ。べつに自慢する気もないけどさ、だってぼくにとってそれは人生で数年滞在した街の記憶みたいなものだから。いいえ、そんなことはどうでもいい。)

時にジャズは思いがけない出会いをもたらす。


レオナルドが勧めてくれたミュージシャンたちについてAI claude が調べてくれた。

1. Uri Gincel (ウリ・ギンツェル) - ピアニスト

テルアビブ出身のピアニストで、2009年にベルリンに移住し、ベルリンのジャズシーンで最も重要なピアノ奏者の一人となった。 XJAZZ music | Record Label - Artists - Uri Gincel Trio。デンマーク人ベーシストのアンドレアス・ラングとドイツ人ドラマーのモリッツ・バウムガートナーと共にUri Gincel Trioを結成し、ジャズスタンダードやクラシックなピアノトリオサウンドから出発して、新しい形式、音色、色彩を探求している。 XJAZZ music | Record Label - Artists - Uri Gincel Trio

2. Ludwig Hornung (ルートヴィヒ・ホルヌング) - ピアニスト

1986年にラインラント=プファルツ州のバート・デュルクハイムで生まれたピアニストで、若い頃から「Jugend musiziert」や「Jugend jazzt」で数多くの一等賞を獲得しました Ludwig Hornung Quintet - Going Up! — Zig Zag Jazz Club Berlin。2008年にベルリン・ジャズ・インスティテュートに移籍し、2011年7月に最優秀の成績で学士号を取得した。 Ludwig Hornung Quintet - Going Up! — Zig Zag Jazz Club Berlin。かれの音楽は強度、動き、エネルギーについてのもので、叙情的な部分と沸き立つような瞬間が交互に現れ、繊細さが表現力と向き合き合う。 Samstag, 29.09.18 Hornung Trio + Triebwerk Hornung — Zig Zag Jazz Club Berlin。まさにレオナルドが勧めたZig Zag Jazz Clubで定期的に演奏しているピアニストです!

3. Bastian Stein (バスティアン・シュタイン) - トランペット奏者

ドイツで最も成功した若手ジャズトランペット奏者の一人と考えられており、現代ジャズのさまざまな形態の境界で巧みに活動しています Home - Bastian Stein - English。15歳でウィーンの古典音楽大学でクラシックトランペットを学び始め、その後アムステルダムのジャズ科で学び、2013年からケルンに住んでいる。 Home - Bastian Stein - English。2021年からはベルリン・ジャズ・インスティテュートのジャズトランペット教授を務めていいる。 Music | Bastian Stein

レオナルドが大好きな日本人ミュージシャンたち

4. 福居良 (Ryo Fukui) - ピアニスト

1948年6月1日生まれ、2016年3月15日に亡くなった、札幌を拠点とした日本のジャズピアニストです Ryo Fukui - Wikipedia。22歳でピアノを独学で始め、妻の康子さんとともに「Slowboat」というジャズクラブを札幌で経営し、そこで定期的に演奏していました Ryo Fukui - Wikipedia。1976年にファーストアルバム『Scenery』を、翌年にセカンドアルバム『Mellow Dream』をリリースしました Ryo Fukui - Wikipedia。彼の死後、作品の人気が急上昇し、複数のアルバムが再発されている。 Ryo Fukui - Wikipedia。特に『Scenery』は2010年代後半のインターネット上での再発見により、日本ジャズの代表作として国際的に知られるようになった。

5. 黒田卓也 (Takuya Kuroda) - トランペット奏者

1980年2月21日、兵庫県芦屋市生まれの日本人ジャズトランペット奏者、アレンジャーです Takuya Kuroda - Wikipedia。神戸で音楽活動を始め、トロンボーン奏者の兄に続いて地元の音楽シーンに入りました ABOUT | takuyakuroda。2006年にニュースクールのジャズ・アンド・コンテンポラリー・ミュージック・プログラムを卒業し、ニューヨークを拠点に活動しています ABOUT | takuyakuroda。2014年にブルーノート・レコードから、ホセ・ジェイムズがプロデュースしたメジャーデビュー作『Rising Son』をリリースしました Takuya Kuroda - Blue Note Records。ヒップホップやソウルジャズの要素を取り入れた前衛的なスタイルで知られている。

そしてclaude は感想を添える、レオナルドの推薦はまさにベルリンの現代ジャズシーンの最前線を反映していますね。Uri GincelとLudwig Hornungは両方ともベルリンで活躍するピアニストで、Zig Zag Jazz Clubの常連です。そしてかれが挙げた日本のミュージシャン、Ryo FukuiとTakuya Kurodaは、伝統と革新を融合させた素晴らしいアーティストです。

どうです、みなさん、AIのこの探査力と精密な情報提供。
そのうえ自身の感想まで添えてくれちゃって。
AIのこの驚異的能力は、
おもえば甘利俊一先生のヴィジョンの(物量作戦による)達成なのだ。

ジャーマン・ジャズの最前線はぼくのジャズ観を拡張する

そしてぼくはYOUTUBE でUri Gincel と Ludwig Hornung を聴いてみて、激しく不意を突かれた。なるほど、これが現代のジャーマン・ジャズなのか! ぼくの驚きを喩えるならば、YMO に対する Kraftwerk のポジションを考えさせられたことに相当する。クラフトワークの音楽的造形性は、まさにベートーヴェンやブラームスの造形性を電子楽器で冷たいユーモアで批評しているかのようだ。そしてかれらはその音楽で、人間性の変容と、人間であることの再定義の必要を問うた。

次に、アメリカ由来のジャズがヨーロッパで独自に「変容した」ことによって生まれた新しいジャズ世界である。おもえば、アドルノは自慢の否定的弁証法でもってジャズを切り捨てたものだ。しかし、もしもアドルノが現代のジャーマン・ジャズを聴いたならば、自説を撤回するのではないか? 

さらにはECMレーヴェルがジャズに果たした役割もまた再考すべきかもしれない。ECMはけっして、キース・ジャレットの『ケルン・コンサート』によって代表されてはならない。

だが、ぼくのこんな考察を、現代のジャーマン・ジャズは遥かに越えている。ぼくのジャズ観は、レオナルドとの出会いによって、いま、刷新される。ジャズはとっくに複数性の輝きを放っているのだ。

さて、『AI時代のカント』の著者であるぼくはこんな感想を持つ、カントの「理性批判」が理性の可能性と限界を問うたように、現代のジャズは「ジャズとは何か」を絶えず問い直し続けている。もちろんここで言うジャズは知的探求の象徴でもある。そしてAIは、この探求を加速させる新たな道具になっているのだ。


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