汚れを磨き、心を磨く。お金の先にある、本当の豊かさ
昨日は、ある高齢者宅の掃除に行ってきました。
その方は現在入院中で、退院日が迫りつつあります。しかし、部屋はあまりにも汚く、トイレ、台所、玄関、お風呂……すべてがゴミと汚れで埋め尽くされていました。これでは、退院しても満足な生活を送ることができません。
ゴミを処分し、長年放置された汚れを磨き上げる。 退院に間に合うよう、私たちはその場所を本来の「住まい」として機能させるための作業に集中しました。
自社の収益を、対価の支払えない困難な人へ
「メグリ」の循環
私たちは、老人ホーム入居支援、インフォーマルな自費サービス、飲食、これらの事業売上の一部を、独自に「基金」としてストックしています。そして、経済的に困難な状況にある方々の無償サポートに活用しています。
この仕組みは「メグリ」と言います。
私たちの事業は社会保障ではなく、民間事業です。当然、サービスには代金が発生します。 しかし現実には、お金は払えないけれど解決すべき課題を抱えた高齢者はたくさん存在します。本来ならば、国や自治体が手を打つべき部分かもしれません。しかし、行政もすべての課題をカバーすることは難しく、今回のゴミ屋敷のように、高齢者の周りにいる人たちが手を動かして解決するしかない現実があります。
私は、お一人お一人のシニアのお困り事を解決することはもちろん、その周りにいる医療・介護のスペシャリストたちが、本来の仕事に集中できるようにしたいと思っています。彼らが過剰な「シャドーワーク」に心身を疲弊させてしまわないよう、その負担を私たちが引き受けたいのです。
幸いにもこの事業を始めて5年間、収益力も育ってきました。 なので今年1月からはじめた「メグリ」の仕組みを使って、経済的に厳しい方、そしてそれゆえにシャドーワークを強いられている医療・介護従事者の皆さんに、この基金を活用し、暮らしや関係性の豊かさに変換して還元しています。
八つの資本を循環させる。利益追求の、その先へ。
私たちは、単に利益追求のために事業をやっているのではありません。 「ワンダーエイジング」の八つの資本が必要なだけ満たされるように、それぞれの資本をうまく活用する。
つまり、経済的な豊かさ(金融資本)を使って、健康の豊かさ(健康資本)、あるいは医療介護従事者の志の豊かさ(実践資本)に変換して、提供しています。
こうして売上の一部を基金化し無償サービスを提供することは、実に多くの気づきを与えてくれます。 始める前は「無償だから、適当でいいや」となってしまわないか、「どこまで真剣にやれるだろうか」と、心配な思いもありました。
しかし、実際にこの仕組みを使って、私自身も体を動かしてみて思うこと。それは、お金という対価が発生しないその行為にしか存在しない「無限の慈悲」がある。
経済的なメリットはなく、ただただ純粋に相手の幸福を願い体を動かす。その時間を持てている自分はなんて豊かなんだろうと思うのです。
人生が、経済的利益のためだけの時間ではないと気づく。
何時間も、何十時間も、お金を稼ぐためだけに働かなければいけない人生。 そうではなく、そこに全く経済的な利益を伴わない行動を主体的に選ぶことができる。その事実こそが、「自分の人生は今、こんなにも豊かなんだ」と気づかせてくれるのです。
2時間ほどの作業で、お部屋はひとまずきれいになりました。 ゴミを捨て、汚れを磨き上げることで、その部屋に光が戻っていく。 それと同じように、私の心の中も、曇りのない、清々しい気持ちになりました。
目の前の汚れを磨くことは、自分の心を磨くことそのものでした。
今朝のあなたへ、小さな問いかけ
あなたは最近、経済的なメリットや損得を一切考えず、誰かの幸福だけを願って行動した瞬間はありますか?
今日一日、そんな「無限の慈悲」を感じる小さな行動を、あなたの人生に編み込んでみてはいかがでしょうか?
