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【1分間の世界旅行】海がよみがえる島 ─ アポ島、再生の青


― 小さな島が教えてくれる「ほんとうの豊かさ」 ―

フィリピン中部、ネグロス島の南東沖に浮かぶ小さな島、アポ島。
かつてこの海では、ダイナマイト漁が日常的に行われていました。
その結果、サンゴは壊滅し、魚も姿を消し、島の人々は生活の糧を失ってしまったのです。
1982年、そんなアポ島に転機が訪れます。
ドゥマゲッティにあるシリマン大学の提案により、島の海の一部を「海洋保護区」として守る試みが始まりました。
島民たちは話し合いの末、漁場の20%を禁漁区域に、残りの80%では持続可能な方法で漁を続けることに同意。
それは、海と共に生きるための“新しい約束”でした。
年月をかけてその取り組みが実を結びます。
失われた海は少しずつ息を吹き返し、今では見事なまでにサンゴが再生。
枝サンゴ、テーブルサンゴ、ソフトコーラルが海底を覆い、
群れをなすアジやハナダイ、ゆったりと泳ぐウミガメたちが訪れる人を出迎えてくれます。
海の中に潜ると、ここがかつて破壊されていたことなど、もはや想像もできません。
まるで海そのものが健康を取り戻して微笑んでいるかのよう。
この成功例は世界中の注目を集め、シカゴのシェッド水族館には「アポ島」を再現した展示エリアまで設けられています。
アポ島は今、世界の海洋保護の象徴として語られる場所となりました。
さらに島民たちは、海だけでなく陸の環境にも目を向けます。
2021年、アポ島はフィリピン初の「ゼロ・ウェイスト島」に認定されました。
再利用、リサイクル、そしてゴミを出さない暮らし。
観光地でありながら、島の人々は自然と共に生きる知恵を日常に取り戻しています。
透き通る海に漂いながら、ふと思うのです。
本当の“豊かさ”とは、何を持つかではなく、
どれだけ自然と調和して生きられるか――。
アポ島の青い海がそう語りかけてくるようでした。
photo & text: hiromi suzuki

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