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「招き猫①〜依り代〜」

noteを始めて5ヶ月が経過しました。
この記事を書きたくて始めたnoteですが、理由もなく、今日まで投稿を出来ずにおりました。

我が家の招き猫にまつわる不思議な話です。
この不思議な話は長いので数回に分けようと思います。

わたしが、小学校に上がった年に祖父が亡くなりました。
祖父が大好きだったわたしは、思い出のある本家と呼ばれる家で過ごす時間が長くなりました。

平屋のその家は、誰も居ないときでも鍵がかかっていることはなく、庭に面した縁側で本を読んだり、昼寝をしたりすることが、わたしの日常でした。

その日も一人でわたしは本家に遊びに行きました。
庭に入ると大きな松の木があってそれを通り過ぎると玄関が見えます。

玄関の前に誰かがいることに気付いたのと同時に、その誰かが手に持ったカマを振りあげ、走り寄ってくるのが見えました。

振り上げられたカマを怖いと感じたかどうかの記憶はなくて…
立ち尽くしたわたしの前まで近付いた、その人が突然後ろに倒れ込んだ記憶は鮮明です。

倒れたその人は「白い猫がいる」と怯えた顔でわたしを見上げています。

「猫なんていないよ」
そう返すわたしを、ただ凝視したあと頭を抱えてうずくまり、ブツブツと何かを言っている姿を、逃げることを忘れて見つめていました。

何故だろう?
怖かったはずなのに、思い返しても怖さはなく、ただ「猫、いないのに…」と思った記憶だけが蘇ります。

縁側から本家のおばあちゃんが裸足で飛び出してきてわたしに抱きつき、
「大丈夫か?」と泣いていたこと、サイレンが聞こえて、パトカーから人が降りてきたことは、ちゃんと覚えています。

その人がパトカーに乗せられるのを、見ながら「猫、飼ってないよ」ともう一度伝えてみましたが、こちらを振り向くことはありませんでした。

わたしの記憶はここまでです。
なぜ、そんなに「猫はいない」と、伝えたかったのか自分でもわかりません。

その人は、パチンコ代が欲しくて泥棒に入ったこと、
庭にいた本家のおばあちゃんはカマで肩を少し切られたまま、家に逃げ込み警察を呼んだこと、
わたしの声が聞こえて慌てて庭に戻ってきたこと、
これらを、数日後におじさんから聞かされました。

それを、聞かされても、「猫は飼っていないのに…」とそれだけが強く記憶に残っただけの出来事でした。




本家の玄関には、明治維新よりはるか昔に、ご先祖さまが手に入れた大きな招き猫がいます。
代々の長が大事にしていて、最後の持ち主は祖父です。
そして、長が亡くなるとしばらくその猫を依り代として、次の跡取りを守るのだと聞かされたのは、18歳のときです。
跡取りを辞退すると伝えたときに、聞かされた話と招き猫の話は、まだ終わりません…


涼鈴suzu





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