足るを知る【老荘思想 #名言ノート40】
今回紹介させていただく名言はこちら!
足るを知る
名言というより普遍的な真理を見事に表現した格言として有名なことばですね。成長主義を是とする資本主義とは対極に位置する考え方ですが、知れば知るほど、なるほどこれはまさに真理だな・・・と納得してしまいます。この記事を読むことでちょっとだけ教養がアップすること間違いなしです。

『足るを知る』の意味
『足るを知る』とは、自分の持つものに満足し、不足を嘆かずに、今の状況に感謝し、感謝の気持ちを持つこと、そしてその状態を心の豊かさや幸福につながることを意味します。これは、老子の教え「足るを知る者は富む」から派生した概念です。
『足るを知る』は、決して向上心や成長をを否定する『アキラメ』の言葉ではありません。
目の前の幸せに気づき、現状に感謝することで、より充実した人生を送るためのバランスをとることを意味します。日常生活や仕事、人間関係など、様々な場面で応用できる考え方です。『足るを知る』は自分の状態を客観的に見つめ、現状に満足し感謝するための気づきを与えてくれる言葉です。
言った人
老子(ろうし)

どんな人?
老子(ろうし)は、中国の春秋戦国時代に活躍した思想家で、道家(道教)の祖とされています。儒教の人為的な道徳・学問を否定し、無為自然の道を説きました。老子は、後に「道徳経」と呼ばれる著作を著したとされています。
中国の春秋戦国時代といえば約3000年前とかなり昔です(紀元前770年から紀元前221年までが春秋戦国時代)。約老子の思想はどれも本質をとらえているため、老子が生きた時代から長い年月が経った現代においても、政治、哲学、芸術など、さまざまな分野に影響を与えています。
道家の創始者
老子の思想は、道教の基礎を築くことになります。
無為自然の思想
人為的な行動を避け、自然の摂理に従うことを説きます。
簡潔な格言
『老子』は、簡潔で格言的な表現が特徴で、逆説的な言葉も多く含まれています。
実在の疑い
老子の実在性については、疑問が残っており、神話上の人物説や複数の人物が合わさった説なども存在します。
老子の思想
道:宇宙の根源的な存在、万物の根源を指します。
徳:道に調和した生き方を指します。
無為:人為的な行動を避け、自然の摂理に従うことを指します。
不争:争わない、無為の思想に基づいた行動を指します。
道教のシンボル『対極図』
『老子』や『道教』を知らなくても、タオマーク(対極図、太極図)はどこかで必ず目にしたことがあるのではないでしょうか。
道教における重要なシンボルで、陰陽の二元論を象徴しています。道教では、このマークは万物の根源であり、そこから陰と陽が生まれると考えられています。

陽を表す白いエリアと陰を表す黒いエリアが、特徴的な形で対照的に組み合わさっています。二つの比率は等しく、どちらが良くてどちらが悪いともない、ということを表現しています。
さらに重要なポイントとして、陽のエリアにの中心には陰を表す黒い丸が、そして陰をあわらすエリアの中心には陽をあらわす白い丸が配置されています。
陽と陰はどちらが良くてどちらが悪いというものでもない、むしろ、陽の中には陰があり、陰の中にも陽があるという、深いテーマをたった一つのマークで無駄なく簡潔に伝えることに成功しています。
そしてさらに深読みすれば、それぞれのえりあの中心に据えられた対極の色の円の中にすらも、きっとタオマークがあって・・・そのタオマークの中にもさらにタオマークが・・・。と無限に続く=だからこそ本質的には『無いと等しい』という意味合いも込められているように解釈することもできます。うーんやっぱり深い・・・。
シンボルとしてかなり完成された素晴らしい図ですよね。
けど、このマークなんですが、私が子供のころによく安価で売らているブランドの服についてたんですよね。大人になってからちゃんと道教のことを学ぶまで、格安衣料メーカーのブランドロゴだと勘違いしてました・・・。だから、なんとなく『タオマーク=ちゃっちい安い服のロゴ』という思い込みがいまだに払拭できなくて、タオマークを見ると反射的に『ダサい』って思っちゃうんですよね。
タオマークは本当にいいマークなのに・・・。格安ブランドの記憶を消せるなら消したいです。笑
『足るを知る』の再解釈
今回紹介させていただいた名言はこちらでした!
足るを知る

幸せとは、無限に成長し続けることではなく、今そこにある幸せを認識することだ。というある種の真理を気付かせてくれる言葉ですね。
道教は諸刃の剣?
『足るを知る』をはじめとする、道教の教えは、この世の本質をとらえているものが多く、とても生きていくうえで役に立つものが多いです。
ただ、一時期、道教の考え方にどっぷりハマった私から伝えたいことは、道教は『諸刃の剣』だということです。
自分の役割とか、そもそも資本主義の上に成り立つ社会の上で生活しているいち国民であるという立場を忘れて、老子の言葉の表面だけを盲目的に信じると、えらい目にあいます。『努力しなくてもいいや』という考えに至ってしまう可能性が非常に高いです。
『足るを知る』の使い方
『足るを知る』を例にとって考えてみましょう。『足るを知る』とは、自分の持つものに満足し、不足を嘆かずに、今の状況に感謝し、感謝の気持ちを持つこと、そしてその状態を心の豊かさや幸福につながることを意味します。
『足るを知る』=『努力もしていなくていい。成長もいらない。ありのままの自分を認めてあげよう!』と解釈することもできてしまいます。しかしこれは間違いです。
現在、老子の教えは一言でいうと「何もせず、流れに身を任せる」ことだと解釈されがちですが違います。道教の教えの本質は『いかに自分の身を安全圏に置きながら、物事を成し遂げるかの理論と技術』なんです。
理由はいくつもありますが、中でも大きいのが、老子の教えを伝える書籍『老子』本文の中に、成功するという意味の「功を成す」「功を遂げる」といった表現、あるいはよりスケールの大きい「天下を取る」といった野心的な表現が何度も出てくるからです。
老子の教えが『成功』するためのものであるという軸をぶらさずに『足るを知る』を解釈してみると、「何もせず、流れに身を任せる」という結論には至らないはずです。
『己の能力であったり、状況を冷静に分析すること。高望みはせずに、着実に歩を進めることこそが肝心である。足るを知るということは己を知ることであり、己を知ることができれば成長する過程も楽しめるだろう』という風にも解釈することができます。
結局、偉人が残した言葉に絶対的な『これ!』という正解はないのですが、私個人としては『成功のために』という軸をベースとした解釈がおすすめです。
結局、資本主義の上で生きている

私たちは、一般的な日本人であればなおさらのこと、結局のところ資本主義というルールの上に成り立つ社会で生活してます。
仕事に特化して考えてみると、資本主義という根本的なルールのうえで、売り上げという成果を上げられるかどうかという『企業活動』という競技に何かしらの形でかかわっているプレーヤーだと解釈することもできます。
もし働いていないとしても、学生なら競技のプレーヤーになるために訓練をしている期間だという解釈もできますね。
資本主義というのは、人類が生み出した最大のフィクションである『貨幣』という概念を無限に増殖するために自己拡大し続けるシステムです。
自己拡大し続ける資本主義=日本人にとっての社会、で生き残っていくためには、やはり社会の拡大ないし成長に合わせて、自分自身を成長させる必要があります。拡大する社会の中にいる自分がその場にとどまっていたら、相対的に後退してしまうことになるからです。
「何もせず、流れに身を任せる」ような生き方ができれば、それはそれで幸せでしょう。しかし、人間はどこまで行っても社会的な生き物なので、たとえ働かなくても生きていけるくらい資産があったとしても、やはり社会にあわせて自分を成長させていくことは『人間らしく』生きていくうえで必要不可欠な営みだと思います。
この場合の『成長』は、新しい技能を身に着けたり、勉強して資格を取得したり・・・といういわゆる自己啓発的な成長だけが対象ではありません。時代の変化にあわせて価値観や考え方といったマインドセットを柔軟に更新していくことも『成長』と言えます。
一万円札の肖像にもなった福沢諭吉も『進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む』という名言を残しています。日本の貨幣で最大単価の紙幣の肖像になった人物の言葉・・・というのが資本主義の本質に触れているような気がしてなりません。
非常識な成功法則?

ここまでで、老子の教えを、資本主義というステージの上で生きていかなければいけない状況において、どう解釈していったらいいのかということを解説させていただきました!
最期に一点、資本主義の上に成り立つ社会で『成功』するための、とても使える考え方を紹介させていただきたいです。
それは『非常識な成功法則』です。詳しく書く結構な長さになってしまうので、こちらの記事では簡単なコンセプトだけ紹介します。
『非常識な成功法則』の考え方はとてもシンプルで、『成功』の尺度には『こころ』と『お金』の2軸があり、最も手堅い成功への道は、『まずはお金をゲット』してから『次にこころを充実』させるという点です。

初めてこの考え方を知ったときは衝撃が走りましたね。なんせ、世の中は『お金はなくても幸せになれる、だから哲学や歴史んでこころを豊かにしよう!』という考え方が、あるていど世間一般的には浸透していると思います。
わたしも過去は、そう思ってました。『やっぱりお金よりもこころが大事だよね・・・!』と。
しかし、『非常識な成功法則』は、もっと地に足がついています。豊かさにはやっぱり『お金』が絶対に必要!(だって社会は資本主義の上に成り立っているから)。お金がなくいのに心だけ豊かさを求めると盲目的に宗教を信じる人のようになってしまう・・・。けど心の豊かさがないとお金だけあっても成金になってしまって幸せじゃない。
であれば、まず最初にとっととお金を稼げるだけの基盤(能力や知識や、場合によっては個人事業)を得るためにガッツリと取り組んで、その基盤が仕上がってから、最後の仕上げに心の豊かさを磨いていきましょう。という考え方です。めちゃくちゃ地に足がついていて、理にかなっていないでしょうか?
漫画版もあります
ここまで読み進めていただいたうえで『足るを知る』という言葉を再度考えてみると、だいぶ印象が変わってきませんか?
生きていくうえで『成長』しなければいけないことは避けて通れない。どうせやるのであれば、自分がプレーしている競技のルールをしっかりと見極めて、地に足をつけて日々一歩一歩前進していこう。というメッセージだと解釈することもできます。
決して「何もせず、流れに身を任せてれば万事OK、あとはなるようになる」というような無責任なアキラメを推奨する言葉ではないということが浮き彫りになってきます。
先人たちの残した至言を、どのように受け止め、解釈して、自分人生に落とし込んでいくのかは、結局のところ個々人の自由です。特に私は老子(道教)の考え方が好きだからこそ、もっと好きになれるようあっちやこっちからいろんな理屈を引っ張り出してきて、一人相撲しているだけかもしれませんね。笑
けど、個人的には、老子の言葉にこれだけ真剣に向き合えることができて、満足です。
儒教、道教、仏教といったようなアジア哲学は思い入れがあり、書き始めるとどうしても文字数が多くなってしまいますね。笑
だいぶ長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました!
老子と言えば引き合いに出される、世界三大聖人でもある『孔子』もおすすめです。孔子の言葉も本質をとらえているものが多く、変化が激しい現代を生きていくうえで糧となるメッセージが盛りだくさんです。
関連情報
分かりやすい言葉で書かれていてとても分かりやすいです。
ガッツリ深堀するならこの一冊!
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