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小倉駅南口での学び

駅のお迎えは、タクシードライバーにとって日常の場面です。けれども、その日常の中に落とし穴があることを、あらためて思い知らされたのが先日の小倉駅でした。

小倉駅には南口と北口があります。地図で見れば、線路を挟んでほんのわずかな距離。しかし車にとっては大きな隔たりです。線路は川と同じで、渡れるのは「橋」にあたる踏切や跨線橋だけ。そこを通らねば、向こう岸にいるお客様にはたどり着けないのです。

その日の夕方、空は激しい雨。電車の中からお客様がアプリで呼んでくださり、ナビは南口を示していました。南口は小さな出入口があるだけ。私はその前の駅で「現着」ボタンを押し、車を止めて待機しました。しばらくして「今向かっています」とのメッセージに安心していたのも束の間、「タクシーが見つかりません」とお客様からメッセージ。お客様は電車を降りられてメッセージをくださったのです。慌てて通話ボタンを押してお客様と直接お話をすると、お客様は北口にいらっしゃるとのことでした。

事情をお話しすると、「雨ですし、ここで待ちますから」とやさしく応じてくださる。ありがたい言葉に救われつつ、私はハンドルを切りました。けれども南口から北口へ回るには、伊勢田町大谷の交差点まで戻り、小倉長西山の交差点を東に入り、府道69号線を抜けて駅前ロータリーに出るしかありません。この府道がまた、夕方特有の渋滞で動かない。交差点から交差点までのわずかな道が、雨に濡れた赤いテールランプで埋め尽くされていました。北口ロータリーそのものは近く、渋滞もないのに、たどり着くまでには10分以上を要してしまったのです。

結果的に、お客様をお待たせすることとなり、胸が痛みました。ナビをそのまま信じたこと、確認を怠ったこと、すべて私の未熟さです。駅の南と北――目にすればたやすい距離が、車にとっては大きな壁となる。その事実をあらためて刻み込む出来事でした。

お客様が穏やかであったからこそ、今回の失敗は苦い中にも救いがありました。けれども、毎回がそうとは限りません。線路を川にたとえれば、踏切という橋を渡る覚悟が要るのだと心得ること。小さな油断が、10分の遅れとなってお客様のご迷惑になる。その教訓を胸に、次からは確かめる目と慎重な判断を忘れまいと思います。

雨の夕方、小倉駅の南と北を往復しながら、私は自分の未熟さに深く頭を垂れたのでした。

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