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第1話『怪奇蜘蛛男』


TV版第1話の映像を脳内で再生しながら、その「裏側」に流れる冷徹な意図を読み解いてください。


仮面ライダー 再構築版:第1話『歪みの種』

【アバンタイトル】

「おやっさん、行ってくるよ」

城北大学のキャンパス、本郷猛は愛車に跨り、ヘルメット越しに快活な笑みを浮かべた。その視線の先には、師であり、兄貴分でもある立花藤兵衛が立っている。

「ああ、猛。新型の計測器を積んである。あの峠の頂上付近でのレスポンス、しっかり取ってきてくれよ」

立花は優しく本郷の肩を叩く。

[本郷の誘拐]

本郷が山道へと消えていく。その後姿を見送る立花の瞳は、慈愛に満ちているようでいて、その奥底は焦点が合っていない。彼は「愛弟子のために最高のテストルートを用意した」と心から信じ込んでいた。

数分後、本郷猛は蜘蛛の巣のような障害物に阻まれ、異形の集団に囲まれる。それが、人類の自由と尊厳が「最適化」という名の下に解体される、長い悪夢の始まりだった。


【やめろ!ショッカー】

眩いライトが本郷の視界を焼く。

体中に走る鈍い痛み。四肢は冷たい金属の拘束具で固定されていた。

「脳改造、最終段階に入ります」

白い防護服を着た男たちの声が響く。本郷は朦朧とする意識の中で、手術室の防弾ガラスの向こう側を見た。そこには、仮面とローブで正体を隠した数十人の男女が立っていた。

いや、本郷の強化された網膜は、その奥にある「真実」を捉えてしまう。

(どこかで見た顔だ…取引をしているのか?…)

彼らは救いを求める本郷の視線を、投資家のような冷酷さで受け流していた。

「待て。脳改造は後回しだ。まずは『意志』という名の負荷を与えた状態での、出力特性を確認する」

首領の、合成された電子音声が部屋に満ちる。

その直後、緑川博士が不自然なほど「隙」を見せて手術室に飛び込んできた。

「本郷くん、今だ! 逃げるんだ!」

血相を変えて緑川博士が飛び込んできた。

本郷は、博士の手引きで地下基地を駆け抜ける。逃走の最中、本郷は自らの異変に直面する。出口を塞ぐ重厚な扉を開けようと手をかけた瞬間、ドアノブは豆腐のように握りつぶされ、数トンの重量がある車体が、本郷の意図せぬ筋収縮によって後方へ投げ飛ばされた。

「なんだ……これは……! 俺の体はどうなってしまったんだ!」

叫び、絶望する本郷。博士はそれを冷徹に観察し、心拍数、アドレナリン放出量、筋電位のすべてをどこかへ送信していた。

「本郷くん、これに乗るんだ!」

アジトの入り口に、没収されたはずの本郷のバイクが置かれていた。

しかし、それはもはやかつての愛車ではない。立花藤兵衛が無意識下でショッカーの技術を組み込み、ラボで最終調整を受けたバッタ怪人専用変身デバイス――サイクロン号プロトタイプである。

本郷は、唯一の「人間としての繋がり」であるバイクに縋るように跨り、博士を乗せて荒野へと疾走した。


テッテレーテテテテ



【逃亡】

追撃の手は緩まない。背後からはショッカーの戦闘員が駆るバイク部隊が迫る。
誘導されたルートは、断崖絶壁へと続いていた。
「本郷くん、そのまま突っ込むんだ!」
「博士、何を!」

蜘蛛男の待ち伏せ。計算されたタイミングでの妨害。サイクロン号は空を舞い、そのまま深い崖下へと転落していく。

「死ぬ……!」

本郷が死を覚悟した瞬間。後部座席の緑川博士が、本郷の腰に巻かれたベルトの側面にある、隠された赤いスイッチを強く叩いた。

[SYSTEM: EMERGENCY BOOT. PRE-CHARGE ENERGY RELEASED.]

崖下へ落ちていくはずの肉体が、緑色の外殻と紅い複眼を持つ「何か」へと変貌してゆく。

同時に、蜘蛛男が放った糸が博士を釣り上げる。本郷の目には、それが博士の連れ去りに見えた。崖の上の人影に気づいた蜘蛛男、「裏切り者がどうなるか」蜘蛛男の爪が緑川花瀬に迫る。

「やめろ!」崖の上に立つ、風にたなびく紅いマフラー。

蜘蛛男は「おのれ、何者だ!」動揺を隠せない蜘蛛男、数回拳を交えた後撤退命令が出た、本郷に「勝てる」という確信を与えるためだけに撤退した。


数時間後。緑川博士の案内で戸浦埠頭のセーフハウスに着いた。

博士は本郷の肩を抱き、本郷の異形化が解け、人間の姿に戻る。

その頃、立花モータース。

立花藤兵衛は、るり子を車で送り出した後の空っぽのガレージで、ふと自分の指先を見た。

彼はるり子の車の下に、蜘蛛男への信号発信機を仕掛けたことを覚えていない。ただ、「彼女を父の元へ送り届けた」という充足感だけが、彼の深層意識を満たしていた。

「本郷くんは、私たちが守りますよ」

誰もいないガレージで、立花は誰にともなく呟いた。


埠頭のセーフハウスに、再び蜘蛛男が現れる。

今度は「実演」ではない。本郷猛の精神を「孤独」という名の極限状態へ追い込むための、冷酷な処刑劇の始まりだ。

「本郷くん、逃げろ!」

博士の叫び。天井から顔お出した蜘蛛男の毒針が博士の胸を貫く。緑川博士はその場に倒れる。
本郷が部屋に入った時には、蜘蛛男は逃走し、緑川博士の遺体が残った

「お父様ーーーーーッ!!」
到着した緑川るり子の悲鳴が、本郷の脳を焼く。

父の死体の傍らに立つ本郷を、彼女は憎悪の目で見つめる。

「あなたが……あなたが殺したのね! 化け物!」
るり子は部屋を飛び出した。

その言葉こそが、本郷猛の心に、ショッカーが求めていた「怒り」と「絶望」を定着させた。

本郷のベルトの風車が、怒りに呼応して高速回転を始める。もはや外部からの電力供給は不要だ。負の感情が、無限の戦闘エネルギーを生成し始める。

ライダーは蜘蛛男を撃破した。

泡となって消える蜘蛛男。本郷は、その残骸の中に一枚のマイクロフィルムを見つける。

『政??官ショッカー??リスト』

全ては読めない、手を伸ばそうとしたとき、蜘蛛男ごと泡となって消えた。

「ショッカー……俺は許さない……!」

だが、彼は知らない。

そのリストに載っているのは、世界で最も清廉な政治家たちの名前であることを。

夕暮れの埠頭。

本郷は、駆けつけた立花藤兵衛のバイクに寄り添う。

立花は何も聞かず、ただ本郷の背中をさすった。その手のひらの下に隠されたセンサーが、本郷の戦闘後データ(ポスト・バトル・データ)を静かに吸い上げ、ショッカーのメインサーバーへと送信し続けていた。



【次回予告】

「おやっさん、俺の体が、また熱いんだ」

「気にするな猛、それは正義の炎だ。この特製ドリンクを飲め、楽になるぞ」

立花が渡したコップには、蝙蝠男から採取されたウイルス耐性試薬が混入されていた。

次回、仮面ライダー『恐怖蝙蝠男』。

君は、最適化される未来を生き残れるか。


【執筆後記】

今回、第1話を執筆するにあたり、立花藤兵衛の「無意識の悪」を強調しました。本郷にとって彼は唯一の救いですが、ショッカーにとっては「最も優秀な飼育員」です。

読者の皆様、ぜひTV版第1話を観返してみてください。立花が本郷に向ける笑顔が、全く別の意味に見えてくるはずです。


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