大腿骨近位部骨折。2050年までの疫学
📖 文献情報 と 抄録和訳
1990年から2021年までの高齢者の大腿骨近位部骨折の世界、地域、国の負担と2050年までの予測:世界疾病負担調査2021
📕Tian, Chuwei, et al. "Global, regional, and national burdens of hip fractures in elderly individuals from 1990 to 2021 and predictions up to 2050: A systematic analysis of the Global Burden of Disease Study 2021." Archives of Gerontology and Geriatrics 133 (2025): 105832. https://doi.org/10.1016/j.archger.2025.105832
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar
✅Global Burden of Disease(GBD)2021とは?
・Global Burden of Disease(GBD)2021とは、次のような世界的な健康研究のこと
・世界の病気やけがの影響を調べた大規模調査。どの病気や原因で人々が亡くなったり、健康を損なっているかを数値で示す。
・204の国と地域を対象に、371種類の病気・けが、88のリスク要因(喫煙、肥満など)について分析。
・目的は、世界中の保健政策の改善。各国が健康問題にどう取り組むかを考えるための重要なデータ。
・GBD 2021は「世界中の人々の健康状態を見える化した報告書」。
[背景・目的] 1990年から2021年までの高齢者の大腿骨近位位部骨折の世界的、地域的、国家的負担を、GBD2021研究のデータに基づいて分析し、2050年までの予測を行うことを目的とした。
[方法] 1990年から2021年までの大腿骨近位部骨折の負担の傾向を分析するために結合点モデルを採用した。推定年間変化率(EAPC)を用いて、この期間の時間的傾向を定量化した。社会発展指数と高齢者の大腿骨近位部骨折の負担との関係を評価し、健康不平等分析を行った。さらに、Long-short Term Memory(LSTM)ネットワークを適用し、2050年までの大腿骨近位部骨折の負担傾向を予測した。
[結果]
■ Hip fracture:2050年までの年齢調整発症率

・世界の高齢者の大腿骨近位部骨折の年齢標準化罹患率 (ASIR)は、1990年の10万人当たり781.56から2021年には948.81に上昇した。
・男女ともに発症率は今後も上昇傾向を継続し、2050年には女性で約1,350/100,000、男性で約750/100,000に達すると予測されている。
・予測値では男女差は維持されたまま拡大し続ける。
■ Hip fracture:2050年までの年齢調整有病率

・世界の高齢者の大腿骨近位部骨折の年齢標準化有病率(ASPR)は、1990年の10万人当たり1,535.18から2021年には1,894.07に上昇した。
・男女ともに有病率は今後も上昇傾向を継続し、2050年には女性で約2,634/100,000、男性で約1,288/100,000に達すると予測されている。
・男性においても緩やかに上昇し、2050年には1,300/100,000を超える。
■ 骨折の種類別の年齢調整発症率

・骨折部位ごとの将来予測トレンドを描いており、大腿骨近位部骨折の発症率のみが著しく上昇。
・他の部位(椎体、足、手首、肘など)は横ばいあるいは緩やかな増加に留まっている。
・2050年までに、大腿骨近位部骨折が全身の主要な骨折の中で最も大きな公衆衛生的負担を担うことになると予測される。
[結論] 1990年から2021年にかけて、高齢者人口、特に高齢女性における大腿骨近位部骨折の世界的負担は着実に増加した。人口の高齢化は、早期診断、効果的な予防戦略、地域特有の管理アプローチなど、的を絞った公衆衛生介入と資源配分の緊急の必要性を浮き彫りにしている。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前、大腿骨近位部骨折の有病率の現在までの経過についてを調査した研究の文献抄読をした。
それは、現在までの経過であり、まあ一言でいえば『過ぎ去ったこと』である。
僕たちが行動していけるのは、いまを点として未来に向けた矢印において。
そう考えれば、もちろん過去からの傾向を知ることは大切だが、未来の推測を知ることの方が、より重要度が高いのではないだろうか。
今回の抄読研究は、2050年までの大腿骨近位部骨折者の発症率、有病率の推測を示してくれた。
その結果としては、世界的に大腿骨近位部骨折患者の発症率・有病者は増え続け、それは他の骨折と比較しても顕著な増大であった。
現時点でも、大腿骨近位部骨折は世界的に重大な課題である。
だが、将来的には、それ以上に重要な問題なっていくことが推測されているのだ。
もちろん、大腿骨近位部骨折患者に対するリハビリテーションの需要も、増えるだろう。
しっかりと準備していきたい。
先んずれば則ち人を制し、
後るれば則ち人に制せらる
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
📕大腿骨近位部骨折。2050年までの疫学
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) August 5, 2026
・GBD2021研究のデータ
・2050年までの予測を実施
2050年までの…
🔹発症率:上昇傾向が継続
🔹有病率:上昇傾向が緩やかに継続
🔹骨折の種類別の発症率
└ HFsのみが著しく上昇
大腿骨近位部骨折は将来的に,
さらに重要な課題になりそうです😲#疫学 #骨折 pic.twitter.com/EJqNiWTZmi
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