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シーア派の世界観と預言者―『イスラーム文化』を読む(15)

はじめに

井筒俊彦『イスラーム文化 ― その根底にあるもの ―』(岩波文庫、1991年)を読む。本書の内容は、昭和56年の石坂記念講演会シリーズにおいて井筒が行った3回の講演に基づいている。岩波文庫版の底本は、1981年(昭和56年)に岩波書店から出版された同タイトルの書籍である。オイルショックが1970年代にあったが、社会的にもイスラーム圏の社会が意識されるようになった時代であったのだろう。

井筒俊彦(1914–1993)は東洋思想の学者であるが、多くの言語を操り、イスラーム文化・宗教に関する業績によって人文領域で広く知られている。『コーラン』の翻訳者でもある。著作『意識と本質』においては、深い禅思想を普遍的・客観的に、宗教臭くも哲学臭くもなく提示しているが、これは中国思想やイスラーム思想をも含め、広く深い視野を持っていたからであろう。

『イスラーム文化』は、「はじめに」「I 宗教」「II 法と倫理」「III 内面への道」という章立てになっている。今回は「III 内面への道」の p.187 からを読む。


シーア派の現世の世界観とタアウィールによる聖化

シーア派、特に井筒は代表例としてイランの国教として展開してきた「十二イマーム派」を取り上げ、その『コーラン』解釈に、アラビア語の語彙や文法で示される以上の、さらに一段奥にある「内的意味」を探ろうとする特徴があることを示している。『コーラン』解釈は暗号書の解読であり、これをシーア派では taʾwīl(タアウィール)という。神の啓示の原点に引き戻し、『コーラン』の記述を空間的・時間的に次元転換し、内的な空間・時間における事柄として解釈することで、根源的イメージの世界を神の世界、純粋に精神的な聖なる世界の姿であると考えるのである。

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