どなたですか。夜中の台所にいるのは。
―40年目の夫婦観察日記―
夜な夜な小腹を満たす夫の、ちょっと可笑しい日常です。
我が家には、夜中ときどきネズミが出る。
大きな、大きな、
しかもメガネをかけた大ネズミである。
翌朝、楽しみにしていた大福がない。
お弁当用に多めに揚げた一口カツが、
なぜか一つ足りない。
犯人はわかっている。
夜中に目を覚ました大ネズミが、
小腹を空かせて台所を徘徊するのだ。
独身時代、仕事が忙しく、
職場に寝泊まりして昼夜なく働いていた人である。
その頃の夜食の習性が、
いまだにふと蘇るらしい。
「身体に悪いから、夜中はやめたら?」と言うと、
「あると食べちゃうから、買ってこないで」
と言う。
なるほど。
それならと、お菓子を買うのをやめた。
だが、習性はそう簡単に消えない。
何もないとわかると、
夫は水に砂糖を入れて飲んでいた。
やめて〜。
それを知った日、
私は悟った。
大ネズミは、完全には駆除できない。
ならば、共存である。
今はナッツとチョコレートを
少しだけ常備している。
40年の統計によると、
人は変わらない。
ただ、対策は進化する。
今夜もきっと、
メガネをかけた大ネズミが
静かにキッチンを横切る。
物音がしたら、私は寝たふりをする。
共存40年目である。
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