ひらがなに、愛着が湧いてしまった。|創作大賞感想
彩野リィさんのオールカテゴリ部門応募作品『ひらがなに沼って』を全シリーズ読んだ。「いろはにほてと」を一文字ずつ観察するという新しい取り組みに、ワクワクした。
リィさんの見方がとても優しい。例えば、第1回の「い」では、こんな箇所がある。
普段、こんなにも慎重に「い」を書いているだろうか。最後に「い」をちゃんと書いたのはいつだろう。
ひらがな一文字に対して、こんなに思いを寄せることってあるだろうか。普段私は手書きの日記を書いているけど、走り書きしているのでかなり雑に扱っている。ひらがなに至っては、シャシャシャっと流れるように書いてしまう。流しすぎて自分で解読できないのが、悩みの種だ。
「ろ」について、リィさんはこんな見立てをしている。
「ろ」っていうのは、けっこうカワイイと思っていたが、どうやらカワイイだけじゃなく、しっかりと自分の芯を持っている子なのかもしれない。
「ろ」という字に芯を見出しているのが、リィさんならではの見方だ。おもしろい。カワイイだけじゃない「ろ」、私もけっこう好きである。
「へ」がロックという見立てには、思わず笑ってしまった。言われてみれば確かにロックかもしれない。横に展開するひらがなは、「へ」以外に思い浮かばない気がする。
「い」「ろ」「は」「に」「ほ」「へ」「と」の中で私が一番好きだったのは、「と」。他の字の解説に比べて、癒し系な気がする。下手すると、包容力すら感じる。「と」みたいな友達や恋人がいたら、心がスッと楽になれるかもしれない。
多くは語らないけど、スッと隣に来てくれるだけで安心する。「と」みたいな人、いつも傍にいてほしい。
本当にそう思う。「と」って組織をつなぐ要の人みたいだ。リィさんの解説に、うんうんと頷いてしまう。
こうやって一文字ずつ見てみると、ひらがながなんだかかわいらしくて愛おしく見える。気づくと、文字そのものに愛着がわいていた。
