ラーメンの海苔に試されている
試されてなんかない。
好きに食べなよ!
と言われてしまうかもしれないけど、1週間振り返って解決できていない問題は、これぐらいしか見つからなかった。だから、今日のテーマは君に決めた。
ラーメンの海苔は、美味しいのだけどね。どのタイミングで食べたらいいのか、わからない。最初はやっぱりスープを一口味わいたいし、そのあとはすぐ麺に行きたい。麺をすすり、時にチャーシューを食べて、丼の中身が減っていくうちに、スープで半分ふやけた海苔と目が合う。
おい、いつになったら俺を食べてくれるんだい。
なんだか、試されているような気になる。麺と一緒にすするにはサイズが大きい。けど、海苔だけで食べるのはなんか違う。そもそも、海苔を一口で一気に食べてしまうのか、何回かに分けて食べるべきか、それすらもわからない。
ただ、海苔のことだけ考えるわけにもいかない。思案している間にも、麺はふやけていく。なるべくふやけないうちにいただきたいので、時間との勝負だ。海苔に気を取られていてはいけない。でも、容赦なく海苔と目が合う。
俺、汁を吸って旨味たっぷりだぞ。
食べるなら、今。
今でしょ。
海苔の視線に林修先生を感じつつ、慌ててスープの中に海苔をぐっと入れると、そのままつかんで口に運ぶ。海苔の香りとスープの旨みが相まって、麺とは別の美味しさを見せてくれる。
美味しい。
でも、これでよかったんだろうか。
海苔の味わい方が正しいかわからない。
そもそも、正解なんてあるのだろうか。
そこで、隣の席を見ると、彼はスープに浸した海苔でご飯をくるんで食べた。
ああ、やっぱりわからない。
だって、ラーメンと一緒にご飯を頼まないもん。
そんなに食べたら、胃袋が悲鳴をあげるから。
ご飯という奥の手を使って、彼は海苔を難なくクリアした。ご飯で膨らむ彼の頬は、幸せオーラを振り撒いている。
ご飯という手を使わず、丼一つの中で完結する、誰もが文句を言ってこない海苔の食べ方とタイミング。これを追求したくて、食べ終わってもなお体がモゾモゾする。
その日の夜、夫に尋ねてみた。
「ラーメンの海苔ってどのタイミングで食べる?」
すると夫は、不思議そうな顔をして答えた。
「ご飯の上に乗っけて食べるよ」
ああ、夫もそういえばオンザライス派だった。ラーメンとともに必ずご飯を頼む男に、こんな質問を投げかけてしまった。私の落ち度である。しかしここで引くわけにいかない。
「じゃあさ、ご飯がないときは、いつ食べる?」
夫は「食いつくねぇ」と苦笑しながら言った。
「知らないうちに食べてて、気づくとないよ。タイミングとか考えたことがない」
「えーっ!考えずに食べてるの?」
「うん」
「私はいつ食べるべきか悩んでる」
「そんなの、いつだっていいんだよ。どうせお腹の中に入るんだから」
そう言うと、夫はぐいっとビールを飲み干した。
確かに夫の言う通り、お腹に入っちゃえば一緒かもしれない。でも、より良きタイミングで、より良い方法で海苔を食べたい。丼の中身全部ベストに食べ尽くしたいのだ。ラーメンの海苔を食べるベストなタイミングって、いつだろうか。
きっと、次にラーメンを食べるときも、海苔と目が合う。
