モテるチョコチップクッキー。
森永のチョコチップクッキー。
最近、わが家に常備している。
理由は「モテる」から。
しかし、家族からモテるだけが理由じゃない。
子どもの友達に大人気なのだ。
週末になると、子どもの友達がわが家に遊びに来る。
持ち寄ったNintendo Switchで遊ぶのが定番。
ああだこうだとにぎやかに時間を過ごしている。
飲み物やおやつを何も出さないわけにはいかず、合間につまめるように個包装のお菓子を用意するようになった。チョコチップクッキーもそのうちの一つ。「子どもだからチョコ味は食べる可能性高いよね」という安易な理由で私が選んだ。ただ、私一人ではみんなの好みが分からなかったから、子どもにも買い物に付き合ってもらい、お菓子を揃えた。
緊張しながらも準備したお菓子は、順調になくなっていった。
しかし、不思議なことが起きた。
子どもが「みんなこういうの好きだから」と選んで買ったブラックサンダーやチョコレートは残り、私が安易に選んだチョコチップクッキーだけがなくなった。しかも、一番最後に帰った友達が「これ持って帰ってもいい?」と聞いて、本当に持ち帰ったぐらいだ。
チョコチップクッキーの大躍進。
予想もしていなかった事態に、私は驚いた。
何を隠そう、実は私は子どもの頃から森永のチョコチップクッキーが大好きで、よく母親にねだって買ってもらっていた。森永のチョコチップクッキーは、チョコチップが多く入ってて、クッキー生地もチョコの風味がする。他のチョコチップクッキーもおいしいけど、森永が絶対王者だと思っている。価格、見た目、味ともに、森永の右に出る者はいない。だから、私が亡くなったときは、棺桶に森永のチョコチップクッキーを一緒に入れてくれたらうれしい。お供えにおいてくれたら、あの世でもご機嫌でいられる。
私の森永愛が、子どもの友達に伝わったかどうかは定かではない。むしろ、家で出てこないお菓子かもしれない。もしかすると、物珍しさから手に取っているかもしれない。でも、子どもが選んだブラックサンダーよりも、チョコチップクッキーのほうが消費が早かった。それは事実だ。
うれしかったので、さっそく夫に報告した。
「ねえねえ、遊びに来た子たちの中で、私の森永チョコチップクッキーが一番人気だったんだよ」
おそらく私の鼻は、自慢げに膨らんでいた。ただのチョコチップクッキーなのに、「私の」とつけて強調するほど、私は得意げだった。チョコチップクッキーをセレクトした私のセンスを褒めてもらえると思っていた。
しかし、夫はサラッと返事した。
「ふうん、よかったね」
大して興味はなさそうだ。
あまりの無愛想さに、私は舌打ちしそうになった。
まあいいや。
子どもの友達を喜ばせたのは間違いない。
チョコチップクッキー選んで正解だったんだ。
私、グッジョブ!
その数日後、長男がまた友達と遊ぶ約束を取り付けてきた。わが家に招いて遊ぶらしい。
「お母さん、あのクッキーうまいってみんな言ってたよ。また買っておいてね」
長男のひとことに、心の中でガッツポーズした。
うん。夫が褒めてくれなくてもいいや。
母さんは自分のセンスを信じる。
よし、森永のチョコチップクッキー準備するよ。
