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「できる人」をやめてみた

とうとう、できた。
念願だった週5日出勤を達成した。

健康な人なら当たり前の週5出勤。
しかし、うつ病から復職した私にとっては、難関だった。

実は、忙しかった12月後半にも週5出勤を達成していた。その時は忙しすぎて仕事が終わらない不安に追い立てられ、体調を最優先に考えられなかった。平常心を失いハイテンションで乗り切ったので、年始の仕事始め後に起きられなくなった。

休んだ時に、復職してからの数週間を冷静に振り返ってみた。
すると、色々見えてきた。

まず、必要以上に仕事をしんどいものだと捉えていた。私に充てられた業務は、大小さまざまだ。それらを全部ひっくるめてしんどいと感じ、乗り越えるには気合いが必要だと思っていた。他の人ができるのに私にできないのは、気合いや覚悟が足りないんだと自分を責めようとしていた。

もう、気合いでは乗り越えないと誓ったのに、再びのピンチに際して、また気合いに頼ろうとしていたのだ。メンタルの調子に頼ると大きくブレてしまうから、長く働ける仕組みを作ることが私には適していた。

ここで私は、長く働けるように、平常心で淡々と仕事をすることにした。いつもハイテンションなんて出来ないし、どこかでバテる。何度も繰り返したら、重症化へ逆戻りだ。うつ病からは逃れられないのだから、全部含めて付き合っていくしかない。

ひっくるめるのは、仕事ではない。
体調のほうだ。

だから、平常心で落ち着いて乗り切れることを重要視した。平常心で乗り切れないことは、周りに相談すればいい。人を頼ることが苦手だけど、うつ病を経て、1人では生きていけないことを痛感した。

かつてはプライドが高く、「何でもできる」と思われることに快感を覚えていた。また、「あなたがいないと回らない」と言われることが嬉しかった。でも、仕事を背負い混みすぎてパンクしてしまい、立ち止まった時には、1人では手の施しようもない状態だった。

もう、あんなふうにはなりたくない。
やり方を変えるしかない。

そこで、粉々になったプライドを捨てた。私に必要なのは、プライドじゃない。人を頼る勇気だ。「忙しそうな時に声をかけるなんて申し訳ない」という気持ちもあったが、病気を盾にして人を頼ることにした。冷たくあしらわれるかもしれないと言う不安も、正直あった。

しかし、そんなことは全くなかった。
とんだ思い込みだった。

職場の同僚や上司は、途中で聞けば親切に教えてくれる。それは、1人で抱え込んでいない合図であり、仕事の進捗を周りに知らせる安心材料でもあった。1人で何とかしようとするより、周りの理解を得られた方が、業務が完了した後も協力体制を維持できる。きっと、ビジネスパーソンにとっては当たり前のことなのだろう。しかし私は、20年以上今の仕事に携わって来て、初めて理解した。

昔の私なら、自分の無知を恥じただろう。
気づくのが遅すぎるなどと、自らにダメ出しをしたに違いない。

でも、どうしたって知らないことは出てくるものだし、何より恥ずかしいことではない。むしろ、知らないことを知らないと言えない方が恥ずかしい。完璧主義は聞こえはいいが、本当に完璧にできる人は数少ない。ミスをしたからと言って人生は詰まない。むしろ、ミスした後のフォローが大切なのだ。

私はずっと、「仕事のできる人」になりかった。できる人は他人に頼らずともバリバリ働いている。そう思っていた。しかし、そういうタイプの「できる人」は、希少だ。だからこそ、近づきたくてジタバタしていた。

今の私は、そういう「できる人」にはなれない。憧れは簡単に捨てられないが、私とは違う人種だと感じている。「できる人」を追求するのではなく、「私にできる働き方」を探す方が肝心だ。

そう考えたら、心が少しだけ楽になった。
ギチギチに詰まっていたキャパに、余裕ができた。

すると、物事がうまくいくようになった。もちろん、失敗もある。でも、失敗をしても落ち込まなくなったし、周りからの助言を受け入れられるようになった。何より、私自身の出来よりも、業務全体の出来を重視するようになった。

こう書くと、自分を蔑ろにしているのではないかと思う人もいるかもしれない。

以前なら、一つの業務に関して自分がどれだけの成果を出しているかを考えていた。成果のためにはクオリティにもこだわった。もちろん、そういう考え方が間違っているわけではない。

ただ、今の私が目指す働き方ではないのだ。1人で背負い込んで働けるほどの体力もメンタルもない今、むしろ人の手を借りてでも業務を完成させる方が、負担を少なくできるし職場内の情報共有にもつながる。共有すると、意外なところから助けを得られることもある。

働き方を変えるのは、勇気がいった。これまでのキャリアを捨てるような気がして、悔しい気持ちもあった。ところが、働き方を変えてみて感じたのは、キャリアを活かした上方修正だった。

メンタルのために変えた働き方が、まさかキャリアを肯定してくれるとは思わなかった。これまでの働き方の中で培ったものを活かして、良い方へ上書きできたのは、キャリアの転換点と言っても良いかもしれない。

もちろん、これからも失敗することもあるだろう。飛ばしすぎて、また倒れてしまうことだってあるかもしれない。それでも、今の私には戻れる働き方がある。

だから今は、細く長く働き続けられるようにしたい。
そのためには、感情のジェットコースターに乗らず、いい意味で淡々と過ごしていきたい。

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