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源氏物語(一帖〜四帖)|紫式部|※ネタバレ注意※


一帖:桐壺

一の一:桐壺更衣の寵愛と苦悩

いつの帝の御代であったか、多くの女御や更衣が後宮に仕える中に、さほど高い身分ではないものの、帝から比類なき御寵愛を受けている桐壺更衣がいた。他の身分の高い女御たちからは侮られ、同輩以下の更衣たちからは激しい嫉妬の的となった。夜のお召しが続けば恨みは募り、渡り廊下に意地の悪い仕掛けをされるなど、嫌がらせは絶えなかった。帝の寵愛はますます深まり、周囲の批判も意に介されぬ有様であったが、それゆえに更衣の心労は絶えず、父の大納言は既に亡く、有力な後ろ盾もない更衣は、帝の深い愛情だけを頼りに耐え忍んでいた。

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graph LR

    B[光源氏]

    A[桐壺帝] -->|父| B

    A -->|父| C[東宮]

    A -->|寵愛| D[桐壺更衣]

    A -->|寵愛| E[藤壺宮]

    D -->|母| B

    B -->|恋慕| E

    F[右大臣] -->|父| G[弘徽殿女御]

    G -->|母| C

    H[左大臣] -->|父| I[正妻]

    B -->|結婚| I

    J[先帝] -->|父| E

    K[更衣の母] -->|母| D

    

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    class D,E,G,I lady;

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    style H color:#000000

    style I color:#000000

    style J color:#000000

    style K color:#000000

```

一の二:光源氏の誕生と帝の喜び

やがて、前世からの縁か、この更衣から類いまれなほど美しい皇子(後の光源氏)が誕生された。帝は早く我が子に会いたいとすぐに母子を宮中に召し返され、その輝くような美しさにご自身の愛子として格別に可愛がられた。しかし、第一皇子(後の東宮)を産んだ弘徽殿女御の嫉妬はますます深まる。皇子の誕生後、更衣への帝の扱いは重々しいものとなったが、宮中での更衣の立場は一層苦しいものとなった。

一の三:更衣の病と死、帝の悲嘆

心労が祟り、更衣は病に倒れる。帝は必死に引き留めようとなさるが、更衣は衰弱しきっており、実家で息を引き取った。「限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり」という、帝への想いを込めた悲痛な歌を残して。

一の四:帝の悲しみと若宮への思慕

帝の悲しみは計り知れず、政務も手につかず、ひたすら涙に暮れる日々を送られた。忘れ形見の皇子を手元に置きたいと願われたが、宮中の慣例により、皇子も実家へ下がることとなり、父子の別れは痛ましいものであった。時が経っても帝の悲しみは癒えず、更衣の面影を求めては、靫負の命婦を使者として更衣の母君と若宮の様子を尋ねさせられた。母君は、若宮が早く御所へ戻りたがっていることを伝えつつも、不幸な自分がそばにいることは若宮のためにならないと、自らが宮中に上がることは固辞した。

一の五:若宮の帰還と東宮決定

数月後、若宮は宮中に戻られた。その美しさは一層輝きを増し、見る者を魅了した。やがて東宮には、外戚の力も強い第一皇子が立たれた。帝は若宮を東宮にとのお気持ちもあったが、後ろ盾のない若宮の将来を案じ、その思いを胸に秘められた。この結果に弘徽殿女御は安堵したが、更衣の母君は失意のうちにこの世を去った。六歳になっていた若宮は、祖母の死を深く悲しまれ、これ以降は宮中で育てられることになった。

一の六:若宮の才と源氏姓の賜姓

七歳で学問を始められると、若宮はたちまち非凡な才能を発揮。その類まれな聡明さに帝は驚嘆される一方、その将来を深く案じられた。折しも来朝した高麗の人相見に密かに占わせると、「帝王となるべき相だが、それが必ずしも幸福な道とは限らない。臣下として帝を輔佐する道もある」という不思議な答えを得る。帝はこの言葉に、かねてからの考えを強くされ、若宮を臣籍に降ろし、国家の柱石とすることが最善の道であると決意され、「源」の姓を与えることをお決めになった。

一の七:藤壺の入内と帝の心の慰め

年月を経ても帝の悲しみはなお深かったが、そんな折、亡き更衣に生き写しと評判の先帝の第四皇女、藤壺の宮が入内される。その高貴な美しさに帝の心は次第に慰められ、新たな寵愛が藤壺の宮に注がれた。

一の八:光源氏の元服と藤壺への思慕

若宮(源氏の君)は常に帝のそばを離れず、藤壺の宮の御殿にもよくお供した。母の面影を知らぬ源氏の君は、母に似ていると聞かされた藤壺の宮に、幼心にも強く惹かれ、密かな思慕の情を抱くようになった。十二歳で元服の儀を迎え、帝自らの差配で盛大に行われた。大人の装束をまとった源氏の君の美しさは比類なく、見る者を感嘆させた。加冠役を務めた左大臣家の娘(葵の上)と結婚するが、年上の正妻に気恥ずかしさを感じ、心は藤壺への憧れで満たされていた。元服後は藤壺の御簾の中へも入れなくなり、琴の音やかすかな声に面影を求める日々を送る。世間の人々はその輝く美貌を「光の君」と称え、藤壺の宮を「輝く日の宮」と讃えたのであった。

二帖:帚木

二の一:品定めの夜

五月雨の季節、帝の御謹慎日が続き、近臣たちは家に帰らず宿直していた。源氏の君も例のごとく御所住まいが長くなっていた。左大臣家では、途絶えがちな婿君を恨めしく思いながらも、贅を尽くした衣服や調度品を桐壺へ送り続けていた。

左大臣の子息たちは、源氏の宿直所への勤めを大事なことのように思っていた。特に宮様腹の中将は源氏と親しく、遊びにも学問にも常に寄り添っていた。その親密さは他の者の及ばぬほどで、謙遜も敬意も忘れるほどであった。

ある日の夕方、殿上役人の詰め所も人影が少なく、源氏の桐壺も静かであった。源氏が灯りをともして書物を見ていると、頭中将が手紙の中身を見たがった。源氏は無難なものだけを見せようとしたが、中将は特色ある手紙を見たいと言い張った。源氏はしぶしぶ同意し、中将は手紙を少しずつ読み始めた。

中将は自身の想像だけで、誰の手紙かを当てようとした。時に上手く言い当て、時に見当違いの推測をする中将に、源氏は面白く思いながらも相手にならないようにしていた。そしてうまく全ての手紙を取り返した。

そんな折、左馬頭と藤式部丞が源氏の謹慎日を共にしようと現れた。中将は喜んで左馬頭を話の中へ引き入れた。不謹慎な言葉も多く出たが、彼らは女性について語り合い始めた。源氏は心の中で一人の恋しい人のことを思い続けながら、うなずいたり微笑んだりしていた。やがて話は女性の品定めへと移り、それぞれが自身の経験を語り始めた。

```mermaid
graph LR
    A[光源氏] --> |恋慕| B[伊予介の妻]
    A --> |世話| C[小君]
    B --> |姉| C
    D[紀伊守] --> |家来| A
    D --> |妹| B
    E[伊予介] --> |夫| B
    F[左馬頭] --> |友人| A
    G[頭中将] --> |友人| A
    H[式部丞] --> |友人| A
    %% 矢印の方向を修正
    A --> |恋慕| I[藤壺宮]

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    classDef sub fill:#BAFFC9,stroke:#000,stroke-width:2px,color:#000;
    classDef other fill:#BAE1FF,stroke:#000,stroke-width:2px,color:#000;

    class A main;
    class B,C,D,E sub;
    class F,G,H,I other;
```

二の二:左馬頭の女性論

左馬頭は、完全な女性は少ないと語り始めた。上っ面の感情で手紙を書いたり、理解力があるように見せかける利口な女はいるが、合格点に達する者は稀だと述べた。彼は、少しの知識で得意になり、他人を軽蔑する厭味な女が多いと指摘した。

彼は、親に守られ深窓で育った娘は、男が想像で補って恋をすることがあると説明した。また、一つの芸に秀でた娘も、仲立ちの人間がよいところだけを伝えるため、結婚後に欠点が現れると語った。

左馬頭は、中流階級の女性に個性が見られ、それより下の階級には興味が持てないと述べた。また、家柄と現在の境遇の不一致による階級の判断の難しさについても言及した。例えば、よい家柄でも逆境に落ちた家の娘と、並みの身分から高官に成り上がった家の娘をどう評価するかという問題を提起した。

さらに、受領の家の娘たちの中にも様々な階級があることを指摘し、高官の家よりも、参議にはなれないが世間から認められ、のんびりと暮らす四位の役人の家の娘のほうが朗らかで魅力的な場合もあると述べた。

二の三:理想の妻像

左馬頭は自身の過去の経験を語り始めた。容姿は悪いが献身的な女性との関係を持っていたが、その嫉妬深さに悩まされていた。彼は女性を懲らしめようと冷酷な態度を取ったが、逆に女性の強い意志に驚かされた。

ある時、左馬頭は意図的に冷淡な態度を取り、女性を試した。しかし、女性は泣き出すどころか、反抗的な態度を取り、左馬頭の指に噛みつくほどの激しい反応を示した。左馬頭はこれを機に家を出て、しばらく連絡を絶った。

ある夜、霙が降る中、その女性の家を訪れると、彼女は不在だった。しかし、暖かい衣服や寝具が用意されており、左馬頭は女性の思いやりに感動した。女性は父親の家に移っていたが、左馬頭への配慮を忘れていなかったのである。

この経験から、左馬頭は妻には単なる家事能力だけでなく、夫の仕事の理解者としての役割も重要だと悟った。夫の悩みや喜びを共有し、適切な意見を述べられる妻の重要性を説いた。また、風流好みで多情な女性には注意が必要だとも付け加えた。

左馬頭は、完璧な妻などいないが、長い目で見て育てていくことの大切さを強調した。また、普段はうまくいかない夫婦でも、何かの機会に良い妻であることが痛感される場合もあると述べ、女性の評価の難しさを指摘した。

二の四:頭中将の恋愛談

頭中将も自身の恋愛経験を語った。彼は、長期的な関係を考えていなかった女性に心を奪われていった。その女性は穏やかで、恨みがましいことを言わず、頭中将は将来のことまで約束するようになった。

女性は父親もいない身で、頭中将だけを頼りにしている様子が見えて可憐だった。しかし、長く訪れない間に、頭中将の妻の家から悪い噂を流されたことがあった。それを知らずにいた頭中将は、女性から撫子の花とともに歌を贈られて、ようやく状況を理解した。

再会した時、女性は物思いに沈んでいたが、直接的な恨み言は言わなかった。その態度が小説のようだと頭中将は感じた。彼は女性の機嫌を取ろうとしたが、女性は相変わらず穏やかで、正面から恨むような様子は見せなかった。

しかし、その後、女性は姿を消してしまった。頭中将は、もう少し強く自分にすがりついてくれれば、みじめな境遇に陥ることはなかったのではないかと後悔していた。同時に、この女性のように素直で穏やかな態度を保ち続けることも、完全な妻になるためには不足があると気づいた。

頭中将は、この経験から、風流好みな多情な女性や、本心を見せられない女性にも欠点があると結論づけた。理想の女性を見つけることの難しさを嘆きながらも、それぞれの女性から良いところを取り、悪いところを省いたような女性はどこにもいないのではないかと述べた。

二の五:源氏の夜遊び

話が終わると、源氏は心の中で藤壺の宮のことを思い続けていた。その後、左大臣家に戻った源氏は、中納言の君や中務などの若い女房たちと冗談を言い合っていた。源氏は暑さのため、部屋着姿になっており、その美しさに女房たちは心を奪われていた。

夜になり、方角の障りがあるため、源氏は紀伊守の家に宿泊することになった。源氏は密かに行動したいと思い、親しい家従だけを連れて出かけた。紀伊守の家は地方官級の家としては凝った造りで、庭には水の流れや柴垣があり、虫の音や蛍の光が夏の夜の風情を醸し出していた。

源氏は一人で座敷におり、隣室から聞こえる女性たちの話し声に耳を傾けた。それは伊予守の娘とその弟の会話であった。源氏は興味を持ち、襖を開けて隣室に忍び込んだ。

夜中、源氏はその娘の寝所に近づいた。娘は驚き、拒絶しようとしたが、源氏の熱心な言葉に動揺した。源氏は前世からの縁を語り、自分の真剣な思いを伝えようとした。しかし、娘は最後まで冷静さを失わず、源氏の求愛を受け入れなかった。

夜が明けると、源氏は去らねばならなかった。娘との再会の難しさを悲しみつつ、家に帰った源氏は、この経験を「中の品」の女性との出会いとして振り返った。源氏は娘の態度に感銘を受けながらも、その冷淡さに心を痛めた。この経験は源氏の心に深く刻まれ、しばらくの間、彼の心を占め続けることとなった。

三帖:空蝉

三の一:源氏の夜訪と人違いの一夜

眠れない源氏は、小君に心情を吐露し、再会の機会を作るよう頼む。ある夕方の物の見分けの紛れやすい時間に、小君は源氏を自身の車に同乗させて家へ来た。源氏は妻戸と御簾の間から、恋人と継娘が碁を打つ様子を窺う。継娘は色白で、よく肥えていて頭の形と、髪のかかった額つきが美しい。恋人は少し腫れぼったい目のようで、鼻などもよく筋が通っているとは見えないが、姿態がいかにもよい。夜更け、小君の案内で源氏が寝室に忍び入れば、継娘と取り違えて関係を持つ。空蝉は源氏の気配に気づき、静かに起きて、薄衣の単衣を一つ着ただけでそっと寝室を抜けて出た。

```mermaid
graph LR
    A[源氏/光源氏] -->|恋慕| B[空蝉]
    A -->|思い違いで関係を持つ| C[西の対の娘]
    A -->|信頼| D[小君]
    B -->|継母| C
    B -->|妹| D
    E[紀伊守] -->|妻| B
    E -->|娘| C
    F[老女] -->|従者| B
    
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    classDef imperial fill:#FFD700,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000;
    classDef noble fill:#6495ED,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000;
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    class A main;
    class B,C lady;
    class D noble;
    class E,F deceased;
```

三の二:源氏の後悔と空蝉への思い

源氏は継娘と今後の逢瀬を約束し、空蝉の置いていった薄衣を手に持って出た。老女に見つかりそうになるも、小君の機転で難を逃れる。二条院に戻った源氏は小君に愚痴をこぼし、空蝉への思いを和歌に詠む。空蝉の姿を蝉の抜け殻に喩え、なお恋しき人柄を嘆く歌である。源氏は空蝉の薄衣の香りを懐かしみ、そばから離そうとしない。継娘への手紙は書かずにいる。源氏の心は無情な人の恋しさでいっぱいだったが、新しい情人も可憐に思われる点があって、言葉上手にのちのちの約束をしたりしていた。

三の三:空蝉と継娘の思い

小君から源氏の和歌を受け取った空蝉は、小君を叱りつつも心を動かされる。空蝉は蝉の羽に置く露に自らを喩え、忍びに濡るる袖を詠みて返す。一方の継娘は、源氏との一夜を思い出しては恥ずかしい気持ちで過ごす。しかし源氏からの音沙汰はなく、蓮葉な心にも愁を覚える日があった。空蝉は源氏の真実が感ぜられるにつけて、かえらぬ運命が悲しくばかりなって、複雑な思いを抱く。継娘は素直に源氏の言葉を信じ、小君の往来する影を見ても胸をおどらせることが多いにもかかわらず手紙はもらえなかった。

四帖:夕顔

四の一:源氏と夕顔の出会い

源氏が六条の恋人のもとへ通う途中、重病から尼となった乳母を見舞おうと五条へ立ち寄った。大門が閉ざされていたため、従者に呼び出しを頼んだ。待つ間、源氏は車から辺りを眺めていた。

隣家に目が留まる。新しい檜垣に白い簾、高窓から覗く若い女性たちの姿。源氏は風変わりな家だと興味を抱いた。随身に白い花を折ってくるよう命じると、黄色い袴をはいた童女が現れ、薫物の香る扇を渡す。扇には和歌が書かれており、源氏はそれに返歌を送った。

数日後、源氏は再び五条を通りかかる。惟光から隣家の様子を聞く。地方官の細君が住んでいるらしいが、詳しいことはわからないという。源氏は興味を覚え、もっと知りたいと思った。

やがて源氏は夕顔と密会を重ねるようになる。互いの素性を明かさぬまま、源氏は夕顔への思いを深めていく。夕顔の純な性格に惹かれ、貴婦人ではないかもしれないが、どこか魅力的な女性だと感じていた。

源氏は自身で、気違いじみたことだ、それほどの価値がどこにある恋人かなどと反省もしてみるのである。驚くほど柔らかでおおような性質で、深味のあるような人でもない。若々しい一方の女であるが、処女であったわけでもない。貴婦人ではないようである。どこがそんなに自分を惹きつけるのであろうと不思議でならなかった。

ある日、源氏は夕顔を某院へ連れ出す。そこで二人は親密な時を過ごす。月夜に出れば月に誘惑されて行って帰らないことがあるということを思って出かけるのを躊躇する夕顔に、源氏はいろいろに言って同行を勧めた。人目を引かぬ間にと思って源氏は出かけるのを急いだ。

某院に着くと、忍ぶ草の生い茂った門の廂が見上げられた。たくさんにある大木が暗さを作っているのである。霧も深く降っていて空気の湿っぽいのに車の簾を上げさせてあったから源氏の袖もそのうちべったりと濡れてしまった。

```mermaid
graph LR
    A[光源氏] -->|恋慕| B[夕顔]
    A -->|恋慕| C[空蝉]
    E[頭中将] -->|元恋人| B
    F[伊予介] -->|夫| C
    G[右近] -->|女房| B
    H[惟光] -->|従者| A
    I[夕顔の娘] -->|子| B
    J[小君] -->|弟| C

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    class A main;
    class B,C lady;
    class E,F noble;
    class G,H,J servant;
    class B deceased;
```

四の二:夕顔の死と源氏の悲嘆

夜中、源氏は美しい女の幻影を見る。不安に駆られた源氏は、惟光を呼び寄せる。目を覚ますと、夕顔の体が冷たくなっていた。息絶えた夕顔を前に、源氏は呆然とする。混乱と悲しみに打ちひしがれた源氏は、惟光の助言で遺体を東山の尼寺へ移すことにした。

源氏は空蝉の極端な冷淡さをこの世の女の心とは思われないと考えると、あの女が言うままになる女であったなら、気の毒な過失をさせたということだけで、もう過去へ葬ってしまったかもしれないが、強い態度を取り続けられるために、負けたくないと反抗心が起こるのであるとこんなふうに思われて、その人を忘れている時は少ないのである。

翌日、源氏は宮中からの使いに穢れに触れたと偽って謹慎すると伝える。頭中将が訪れ、事情を聞こうとするが、源氏は詳しいことを明かさない。頭中将は源氏の様子に不審を抱くが、それ以上は追及しなかった。

夜になり、惟光から葬儀の準備が整ったと聞いた源氏は、もう一度夕顔の遺体を見たいと願う。惟光は危険を感じながらも、源氏の強い思いに押され、案内することにした。

東山の寺へ向かった源氏は、静かに夕顔との最後の別れを告げる。遺体は生前と変わらぬ美しさで、源氏の胸を締め付けた。右近の泣き声が聞こえ、僧たちの念仏の声が響く中、源氏は涙を流した。

四の三:源氏の帰還と深まる悲しみ

源氏は帰路につくが、悲しみに打ちひしがれていた。加茂川の堤に差し掛かったとき、源氏は落馬する。意識がもうろうとする中、源氏は自分がこんな場所で死ぬ運命なのかもしれないと思った。惟光は困惑しながらも、何とか源氏を支え、二条院まで連れ帰った。

二条院に戻った源氏は、心身ともに疲れ果てていた。女房たちは源氏の様子を不審に思いながらも、その真相を知る由もなかった。源氏は夕顔との思い出を反芻し、二人の関係が前世からの因縁であったのではないかと考えた。

しかし、その関係の儚さと突然の別れに、深い悲しみを感じずにはいられなかった。源氏の心は夕顔への思いで満ちながらも、その喪失感に苦しんでいた。自分の軽率な行動が夕顔の死を招いたのではないかという自責の念も湧き上がってきた。

源氏は六条の貴女のことも思い出した。自分の不在を気にしているだろうかと想像しながら、夕顔との関係を比較せずにはいられなかった。六条の貴女の高い自尊心と、夕顔の素直で純粋な性格の違いを感じていた。

悲しみに暮れる源氏は、周囲の人々に本当のことを明かすことができず、孤独感に苛まれていた。惟光だけが事情を知る唯一の人物として、源氏を支えていた。

源氏は夕顔との別れを受け入れることができず、何度も東山の寺を訪れようとした。しかし、そのたびに自分の立場や周囲への影響を考え、思いとどまらざるを得なかった。

夜になると、源氏は夕顔との思い出に浸った。某院での最後の夜、月明かりに照らされた夕顔の姿、二人で交わした和歌、そして突然の別れ。すべてが夢のように思われた。

源氏は空を行く雁の声も聞いた。秋の悲哀がしみじみと感じられる。庭に近い室であったから、横の引き戸を開けて二人で外をながめるのであった。小さい庭にしゃれた姿の竹が立っていて、草の上の露はこんなところのも二条の院の前栽のに変わらずきらきらと光っている。虫もたくさん鳴いていた。

源氏は自分の心の中で、夕顔への思いを永遠に留めておくことを誓った。同時に、この経験が自分の人生にどのような影響を与えるのか、不安と期待が入り混じった複雑な思いを抱いていた。

夜が明け、源氏は再び日常に戻らなければならなかった。しかし、心の中では夕顔との思い出が鮮明に残り、その喪失感は簡単には消えそうにないと感じていた。源氏は、夕顔との別れを通して、恋愛や人生について深く考えさせられることとなった。

四の四:源氏の病と夕顔の思い出

源氏は自身の予言通り、病に伏せってしまった。重態が数日続いた後、衰弱が見られた。帝も非常に心痛され、祈祷が間断なく行われた。源氏のような優れた人物が短命で終わるのではないかと、天下の人々が関心を寄せるほどであった。

病床にありながら、源氏は右近を二条院に移し、側近の女房の一人とした。惟光は源氏の病を心配しながらも、右近の世話をよくした。源氏の容態が少し良くなると、右近を呼び出して居間の用などをさせた。源氏は右近に、夕顔の身元について尋ね、その子供を引き取りたいと申し出た。

九月も半ばを過ぎ、源氏の病も回復に向かっていた。庭の草木が枯れ始め、虫の声も微かになった頃、源氏は右近と夕顔の思い出を語り合った。源氏は夕顔の四十九日の法要を比叡山の法華堂で密かに行わせることにした。

四の五:空蝉との別れと源氏の心境

空蝉は源氏の病気を聞いて歎き、自分を忘れたのではないかと試すように手紙を送った。源氏はその手紙に珍しく喜び、返事を書いた。しかし、空蝉には深い交渉に進もうという意思はなく、優しい女であったという思い出だけを源氏の心に留めておきたいと願っていた。

一方、軒端荻は蔵人少将と結婚したという噂を源氏は聞いた。源氏は小君を使いに立てて手紙を送り、軒端荻からも返事を得た。源氏はそれぞれの女性の姿を思い出し、心を惹かれるのを感じた。

十月初めになり、伊予介が四国へ立つことになった。源氏は空蝉に餞別品を贈り、夏の薄衣も返した。空蝉は小君を使いにして返歌をした。源氏は空蝉との別れを惜しみ、運命の冷たさを感じた。冬の季節に入る日、源氏は物思いにふけり、秘密の恋をする者の苦しさを知ったのであった。

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