取材現場での音声が放送に流れて
取材現場でカメラマンが放った一言が騒動になっています。
現場での暴言、未だにそんなことがあるのかと驚きました。
私も若い頃に取材現場に行った時に何度かそうした場面に出会ってショックを受けたことがあります。
あるウインタースポーツの国際大会で取材に行った時のことです。
日本人選手がメダルを取りました。
その選手は報道陣から離れたところで仲間の選手と談笑していました。
報道陣としては一言欲しい、せめて笑顔を撮影したい場面でした。
しかし競技が終わってホッとしているところです。
こちらに来てくれるのを待つしかありません。
一緒に行った若いディレクターとも「メダルを取れて良かった」「とにかく待ちましょう」と話していたところで横にいたカメラマンが
「おい!こっち向けよ‼」
その口汚さに驚愕したものです。
横にいた若いディレクターは怯えた顔をしていました。
離れていたので選手の耳には届いていなかったのがせめてもの救いでした。
せっかくのメダル獲得の場面を思い出すたびにその苦々しい思いも一緒についてきてしまうのです。
もうひとつの苦い思い出があります。
1995年6月の函館ハイジャック事件。
忘れてしまった、あるいは、そんなことがあったのかという人の方が多いかもしれません。
羽田発全日空857便の飛行機がハイジャックされ函館空港に着陸、翌朝日本で初めての強行突入で解決した事件です。
その年は1月に阪神淡路大震災、3月に地下鉄サリン事件などがありこの事件も当初一連のオウム事件ではないかと思われ異常な緊迫感に包まれました。
私は発生直後から羽田空港に設けられた記者会見場に詰めて会見が行われるたびに会場から生中継でリポートをしていました。
いまでは記者会見を生中継で伝えるのは当たり前になりましたが、当時それほど生中継は行われていませんでした。
ですから現場にいる報道陣、特に新聞や雑誌などの活字メディアは、会見は収録されてニュース番組では重要な部分だけ編集されて放送されるものと思っている様子でした。
しかしこの時は重大事件であり会見はそのまま生中継されていました。
事態が膠着した時の記者会見で「事件」は起きました。
新しい情報がないまま会見を終えようとしたその時に最前列にいた新聞記者が
「もっと新鮮なネタ持ってこいよ!」と言ったのです。
さすがに耳を疑いました。
さらにあれこれ毒づきました。
その様子がすべて生中継で放送されたのです。
その記者は自分の発言が全国に生中継されているなど全く頭になかったでしょう。
これが問題にならないわけはありません。
ハイジャック事件自体が解決した後、その記者が上司とともに謝罪に訪れ現場を外されたことがハイジャック事件の記事とは別に小さな記事になって新聞に載っていたのを記憶しています。
あれから30年、また同じようなことが起きました。
「我々の仕事はこういうもの」この思い込みは捨ててもらわなければ。
