こうして愛は循環する③
あっというまに2ヵ月もたってしまいましたが、続きです。
あのアートポスターに後ろ髪をひかれ続けて、1週間後の週末にまた家具屋さんに出向きました。
今週でアートポスター展はおしまいとのことで、もし購入するならこの日が最後のチャンスです。
いっそのこともう売れてしまっていたら、仕方がないと諦めがつくかも、と淡い期待を抱きながらアートポスターのある区画に向かいました。
前回訪れたときよりも少し空白の多くなった展示室に足を踏み入れると、
まだいる!!!鎮座していらっしゃる!!!
あの赤い帽子が見えた瞬間、もう売れてしまっていれば自動的に決着がつく、という私の期待は儚く消えました。
1週間ぶりに改めて見てみると、やっぱり素敵。
部屋の一番お気に入りの場所に飾りたいなぁと夢が膨らむけれど、やはりため息が出るような金額についつい足がすくみます。
考えすぎて疲れてしまい、さすがに嗜好品にこの金額はやっぱりやめておこうかな、といつものパターンで決まりをつけようとしたとき、また
私はそれでもいいけど、あなたは本当にそれでいいの?
と言われているような気がして、もう一度じっくりとポスターに向き合いました。
少し挑発するような、それでもはっきりと私の意思を見てくれようとしているような、不思議と嫌な感じのしないこの佇まいに、私は本当にこれでいいのか?ともう一度自分の本心を確かめたくなったのです。
このポスターがとてもほしい。なんなら、新居の一番の特等席に飾りたい。
でも、お金を使う場面がこれから色々待っているのに、必須ではないものにこんなにお金使うなんて贅沢すぎる。
でも、ポスターを買ったからと言って生活に困窮するわけではないことも知っている。
ただ、そんなお金の使い方をしたことがないから怖いのだ、ということが感じられました。
新しいお金の使い方を覚えて、新しい世界が見えるのがなんだかとても怖いような気がしていたのです。
知らないままでいた方がよかったのに、知ったことでタガが外れてしまって人生がおかしな方向に転がってしまったらどうしよう、みたいな。
それに気づいたからと言って、やっぱり怖いものは怖い。
でも、何度も何度も「あなたは本当にそれでいいの?」という問いかけを受け取って、ちょっと試してみたくなりました。
今までだったら絶対に諦めていた。
それが私の王道のパターンでした。
でも、その王道から逸れたら、どんな景色があるんだろう。
今まで選んだことのない道を、選んでみたくなったのです。
自分の心が決まってしまえば後は早いもので、私はさっさとあのポスターをレジに持っていき、散々躊躇していた金額のお会計をあっさりと済ませました。
厳重にポスターを包んでくれるのを待っている間、私はものすごく満たされた感じでいっぱいでした。
怖いという感覚を乗り越えて、新しい選択をすることができた達成感とか。
欲しいものを自分のために選び取ることができた喜びとか。
色々な感覚が一度に湧き上がってきて、なんかもう大声で喜びたい!!みたいな。
なんかすごくこの決断ができた自分が嬉しかったのです。
私は確かにこの日、だいぶ勇気がいる金額を支払ったのですが、自分の決断に対する喜びの中でそのことはもう溶けて消えてしまったように気にならなくなってしまっていました。
支払ってしまった後は、罪悪感も後悔もなく、ただ嬉しいだけがありました。
あんなにこだわっていたのに、とても不思議なのですが。
ちょっと勇気と覚悟がいるけど、今日みたいに自分が本当にしたいと思うほうを選んでいきたいな、という想いが強く自分に刻み付けられた日だったと感じます。
そして、無事新居にお迎えしたポスターは、新居の一番目立つ特等席で私を優しく厳しく見守る存在となりました。
つづきます。
