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相対的貧困という“見えにくい問題”


― ひとり親世帯と健康の話 ―

「貧困」と聞くと、
食べるものがない、住む場所がない、
そんな状態を思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし、日本で問題になっている貧困の多くは、
相対的貧困と呼ばれるもの。



相対的貧困とは何か


相対的貧困とは、
社会全体の中で「標準的な生活水準」から
大きく下回っている状態を指します。

日本では、
世帯の可処分所得の中央値の50%未満が一つの目安とされています。

つまり、
生きてはいける。
けれど、選択肢が極端に限られている状態。


これが、相対的貧困の本質。



ひとり親世帯が置かれやすい現実


日本では、ひとり親世帯(シングルマザー・シングルファーザー)の相対的貧困率が高いことが知られています。

・一人で家計と子育てを担う
・働く時間と育児の両立が難しい
・突発的な休みが収入に直結する
・心身の余裕が削られていく
・周囲に相談しにくい

ひとりで背負う構造そのものが、生活と健康を圧迫します。



医療現場から見える「相対的貧困」


相対的貧困による健康の問題。

たとえば、
・受診のタイミングが遅れる
・痛みや不調を我慢し続けてしまう
・予防やメンテナンスの余裕がない
・子どものケガや体調不良を後回しにしてしまう

これは、
健康意識の問題ではありません。

余裕がないと、選べない。

それだけのこと。


相対的貧困の本当の問題


相対的貧困の一番の問題は、
収入の多寡そのものではありません。

それは、
「選択肢」が少しずつ失われていくこと。
・学ぶ
・休む
・相談する
・予防する

当たり前の選択が、
いつの間にか「贅沢」になってしまう。

その影響は、
静かに次の世代へと引き継がれていきます。



医療にできること


医療だけで、貧困を解決することはできない。

しかし、
・早めに相談できる場所になる
・予防のハードルを下げる
・正しい情報を、わかりやすく伝える
・「頼っていい」と思える関係をつくる

これだけでも、
健康格差は確実に縮まります。

地域医療や予防医療は、相対的貧困への静かな介入だと感じています。



相対的貧困は、
特別な人たちの話ではない。

人生のある局面で、
誰もが直面し得る状態です。

だからこそ、
「頑張れ」と言う前に、
選べる環境を整えることが大切。

医療は、人の人生を丸ごと変えることはできない。

それでも、

「ここに来れば、少し楽になる」
「また動ける体を取り戻せる」

そんな場所を、
地域に一つずつ増やしていく。

それが、
健康寿命を延ばすということの
本当の意味なのだと思います。

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