「絶望の中で見つけた光〜スグル奇跡の物語〜」6話
「リアルな挑戦の始まり」
俺は27年間、小中学校の用務員として働いてきた。
子どもたちの笑顔、先生たちとのやりとり、校舎を磨き修理する日々。
その時間は何よりの宝物だった。
だが、そこにたどり着くまでの道のりは、決して平坦ではなかった。
25歳の頃まで俺は、親父のコネで地元の有力企業に勤めていた。
待遇は抜群で、若手が憧れる部署にも配属された。
だがそれは努力の結果ではなく「特別扱い」だった。同僚が必死に頑張っても報われない現実を目にするたび、俺は自分を許せなくなった。
そんなある日、団地の掲示板に貼られた「公務員募集」のパンフレットを
見た瞬間、胸が高鳴った。
「公平な場所で、実力で勝負したい」と強く思ったのだ。
市職員の知人に相談すると、年齢制限で行政職には入れないと言われたが、「学校用務員なら勉強時間を確保できる」と聞き、挑戦を決意した。
仕事を終えたあと、毎日4時間の勉強。
学生時代は勉強が大嫌いだった俺が、必死で参考書にかじりついた。
眠れない夜も、挫けそうな朝もあった。
だが、不思議と嫌ではなかった。
挑んでいる自分を少しだけ誇らしく思えたからだ。
そして迎えた合格通知。倍率26.3倍を突破したのだ。
震える手で封を開け、涙が止まらなかった。
「俺でもできたんだ」と、何度も心でつぶやいた。
初めて自分を誇れる瞬間だった。
最初に配属された小学校で出会ったのは、先輩用務員の秋山さん。
先生からも一目置かれる存在で、多くを学んだ。
人と真剣に向き合うこと、学校全体を支えることの大切さ。
小さな仕事にも誇りを持つことを教えてくれた。
あの日パンフレットを手に取った決断が、俺の人生を形作った。
子どもたちや先生たちと築いた絆、それが俺のかけがえのない宝物だ。
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