焼き鳥は炭で焼いていない。9割が知らない「本当の火入れ」
「焼き鳥は炭で焼くもの」
多くの人がそう思っているはずです。
僕もこの仕事を始める前は、
そう思っていました。
でも、毎日炭を起こして鶏を焼き続けてきた今、少し違う言い方をするようになりました。
炭は"焼くため"ではなく、
"熱をつくるため"に使う要素が大きい。
実際に鶏に火を入れているのは、
炭そのものではありません。
焼き台の石が蓄えた熱です。
この「蓄熱」が均一に仕上がっているかどうかが、一串の出来を決める。
炭が安定するまで、火は使えない
杉の屋では、営業前に1時間以上かけて炭を起こします。
理由は単純で、
炭が熾火(おきび)になるまで、
焼き台全体の温度が安定しないからです。
炎が上がっている状態の炭は、
むしろ焼くのに向いていない。
表面だけ焦げて中が生のままになる、あの状態です。
熾火になって初めて、熱が均一になる。
焼き台が安定した熱を蓄えて初めて、鶏に「正しい火が入る」状態になります。
だから、炭火焼鳥の9割は、
炭で焼いていない。
正確には、
炭がつくった熱を蓄熱した窯で焼いています。
「焼き鳥」は毎日同じじゃない
焼き鳥はシンプルな料理です。
だからこそ、火の扱いで全てが変わる。
同じ「ねぎま」でも、脂の乗り方、水分量、その日の状態はすべて違います。
仕入れのタイミング、その日の気温、どのくらい冷やして保存していたか、どれぐらいの時間をかけて常温に戻したか。
こういう細かい変数が、焼き方を変えます。
焼く位置、
火の当て方、
返すタイミング。
マニュアルはありません。
毎回、目の前の一本を見て判断しています。
外は香ばしく、中はジューシー。
これは偶然ではなく、技術です。
そして、積み重ねてきた経験です。
飲食は、体験を売る仕事だと思っている
焼き鳥は、見た目以上に繊細な料理です。
こういう細かい積み重ねが、
最終的な一串の味になる。
でも、それは食べた人にしか伝わりません。
どれだけ言葉を尽くしても、
口に入れた瞬間の「あ、違う」という感覚には敵わない。
飲食は、料理を売る仕事ではないと思っています。
人に体験を届ける仕事です。
もし「違い」を体験したければ、
店にいらしてください。
言葉より、食べた方が早いです。
▼次に読む
「焼き鳥は“焼く前”に9割決まっている」https://note.com/suginoya_yt/n/n61d89675b844
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