【閑古鳥雑貨店のプク】花柄のワンピースを着た朝に
春の朝は、ときどき花柄を着たくなります。
四時を少し過ぎるころ、プクを撫でに来るあの子も、この春から一年生。
今日はレジの下に、小さな入学祝いをひとつ用意しています。
桜の花びらが舞いはじめた朝。
少し迷って、今朝は花柄のワンピースを着ました。
春になると、こういう柄に手が伸びます。
似合うかどうかは、あまり考えません。
この店では、そういうことも、たいていそのままです。
店を開けると、棚のすみに朝の光が残っていました。
ドライフラワーの影が床にのびて、
レジの横には、まだ少し冷たい空気。
プクは窓際の椅子の上でした。
ちらりとこちらを見て、また目を閉じます。

四時を少し過ぎるころになると、
小さな靴の音がします。
この春、あの子は
校門の前で記念写真に納まるのだそうです。
ついこの前まで、
プクの背中にそっと手をのせるだけだったのに。

それを聞いた日に、包みをひとつ作りました。
あの子が、少し笑ってくれそうな絵本です。
包む前に机の上へ置いていたら、
プクが近づいてきて、匂いを嗅ぎました。
前足でちょんと触って、それからこちらを見ます。
「こらこら。」
わかっているのかいないのか、
また椅子へ戻っていきました。
包みは、いまレジの下にあります。

三時を過ぎると、光の色が少し変わります。
紙袋をたたんで、棚を少し直しているうちに、
プクが向きを変える。
あまり動きのない棚ほど、今日は妙にきれいです。
今日も、たぶん来るのでしょう。
花柄のワンピースの裾が、
歩くたびにかすかに揺れます。
椅子の上にはプク。
レジの下には、小さな包みがひとつ。

四時を少し過ぎたら、
レジの下が軽くなって、
椅子の上には、プクだけが残ります。
レジの下の小さな包みには、猫たちが出てくる絵本を入れました。
たからものを探して進む、少しにぎやかなぼうけんのお話です。
春から小学校へ上がるあの子に、こんな一冊をそっと渡せたらいいなと思いました。
▶ 今朝のワンピース

▶ 店主の普段着クローゼットをつくりました
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