【閑古鳥雑貨店のプク】猫の換毛期と毛玉取り|痛くないペットコームの話
猫の換毛期は、思っているより手ごわい。
抜け毛や毛玉が増えて、「痛くないブラシはないか」と探す人も多い。
そんな季節が、またやってきた。
午後三時。
商店街の端まで、やわらかい春の風。
店のドアベルは、今日は二度しか鳴っていない。
プクは入口近くのラグの上で、ゆるく丸まっている。
冬の名残の毛が、光を含んでふくらんでいる。
そこへ、魚屋の奥さん。
「もうね、毛がすごいのよ」
困ったように笑う。
春。
猫は、季節を脱ぐ。
「痛くないのがいいの」

条件は、ひとつだけ。
痛がらないこと。
私は棚の奥から、一本のコームを取り出す。
けやきの持ち手。
乾いていて、軽い。
刃先は丸く加工されている。
毛玉を断ち切る、というより。
「ほどくんです」
私はそう言った。
まずは、プクで

プクは逃げない。
背中に、そっと。
……す。
……す。
刃が、毛の奥を通る。
ごっそり、ではない。
ほろり、と。
毛玉になりかけていた部分が、ゆるむ。
プクの耳は動かない。
しっぽが一度だけ、ゆらり。
「嫌がらないのね」
「ええ。でも、力は入れません」
正直なこと

良いところも、気になるところも。
◎ 良いところ
・先端が丸く、皮膚を傷つけにくい
・毛玉を“切る”より“ほぐす”感覚
・両面刃で長毛・短毛どちらにも使える
・持ち手が軽く、疲れにくい
△ 気になるところ
・金属なので最初は少し冷たい
・強く引けば当然イヤがる
・換毛期は一度では終わらない
魔法ではない。
でも、毎日少しずつには、向いている。
たくさんある中で、なぜこれか

似たものは多い。
けれどこれは、
先端加工にかなり時間をかけているらしい。
目立たない部分。
でも、猫の皮膚は薄い。
派手さより、地味な改良。
私は、そこが好きだ。
「一本、いただこうかしら」
紙袋を渡すとき、奥さんの肩が少し下がる。
床の毛だけでなく、
“どうしよう”という気持ちも、少し減ったようだった。
閉店前

私は、もう一度プクをとかす。
……す。
……す。
ラグに、ふわり。
プクは小さく喉を鳴らす。
今日は一本売れた。
たった一本。
帳簿をつけるときは、少しだけため息が出る数だ。
でも。
毛玉をほどくみたいに、
心配も、少しずつほどければいい。
けやきの持ち手を布で拭きながら思う。
切るより、ほどく。
急がない道具は、
急げない店にも、よく似合う。
プクの背中は、
少しだけ、軽そうだった。
猫・犬の毛玉取りや抜け毛対策に使える両面刃タイプのペットコーム。
先端が丸く加工されているため、皮膚を傷つけにくい設計です。
長毛・短毛どちらにも対応。換毛期の毎日のケアに。
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