出産でもらえるお金、申請しないと1円ももらえない。全部まとめた
出産を控えた夫婦の会話で、こんなシーンがあります。「出産って50万もらえるから、実質タダみたいなものでしょ?」。
いいえ、違います。もらえるお金は確かにある。でも、全部自分で申請しないと1円ももらえません。知らなかっただけで数十万円を逃している家庭が、本当に多いのです。
出産に関わる給付金・支援制度を、全部まとめます。
出産育児一時金:50万円

1児につき50万円が支給されます
2023年4月から42万円→50万円に増額されました。健康保険に加入していれば、1児につき50万円が支給されます。
多くの病院では「直接支払制度」を使って、病院が保険組合から直接受け取る形になるので、窓口での支払いは差額だけで済みます。
見落としやすい注意点
小規模な診療所や助産院では直接支払制度に対応していない場合がある。その場合は自分で申請が必要
出産費用が50万円未満だった場合、差額を請求できる(忘れがち)
申請期限は出産日の翌日から2年。過ぎると時効で消滅
児童手当:月最大15,000円(第3子以降30,000円)
2024年10月から所得制限が撤廃されました
全ての子育て世帯が対象に。
3歳未満: 月15,000円
3歳〜高校卒業まで: 月10,000円
第3子以降: 月30,000円
最大の落とし穴が「15日特例」
児童手当は申請月の翌月分から支給されます。月末に出産すると、翌月に申請することになり、支給開始がさらに1ヶ月遅れる。
これを防ぐのが「15日特例」。出生日の翌日から15日以内に申請すれば、月をまたいでも出生月の翌月分から支給されます。
3月30日出産なら4月14日が期限。1日でも過ぎると1ヶ月分(15,000円)を逃します。遡及支給はできません。
鉄則:出生届と児童手当は、同じ日にセットで手続き。
出産手当金:約65万円(月収30万円の場合)

在職中なら98日分が支給されます
会社の健康保険に加入している女性が対象。産前42日+産後56日の計98日間、標準報酬日額の3分の2が支給されます。
退職する場合の3つの条件(全て満たす必要あり):
1. 退職日までに1年以上継続して健康保険に加入していること
2. 退職日が産前42日以内であること
3. 退職日に勤務していないこと
最大の落とし穴は、退職日の出勤
3番目が、最大の落とし穴です。退職日に引き継ぎのため半日でも出勤すると、条件を満たさなくなります。実際に退職日に出勤してしまい、約65万円を逃したケースが報告されています。
退職日は、必ず有給休暇にしてください。
国民健康保険の方は「産前産後保険料免除」を忘れずに
出産手当金は会社の健康保険に加入している方の制度で、国民健康保険には出産手当金がありません。ただし、国保加入者には2024年1月に始まった「産前産後保険料免除」があります。出産予定月の前月から翌々月までの4ヶ月分の国民健康保険料が免除される制度です(国民健康保険法第76条の2)。届出は出産予定日の6ヶ月前から可能なので、自営業・フリーランスの方は早めに手続きしてください。
育児休業給付金:賃金の67%→50%
会社員の方が育休を取得した場合に支給されます。
育休開始〜180日目: 賃金の67%
181日目以降: 賃金の50%
会社の手続きミスにも注意
申請は原則として会社を通じてハローワークに行いますが、会社の担当者の手続きミスで支給が遅れることがあります。育休開始後は、会社に申請状況を確認しておくのが安心です。
乳幼児医療費助成

子どもの医療費がゼロになる制度
自治体によって名称が異なりますが、子どもの医療費の自己負担がゼロまたは大幅に軽減されます。
保険証の発行を待たずに手続きを始める
赤ちゃんの保険証が届いたら、すぐに申請してください。保険証の発行には通常2〜3週間かかるので、出生届と同日に健康保険の加入手続きを始めるのがベストです。
早産・低体重で生まれた場合は「未熟児養育医療」を入院中に
出生時の体重が2,000g以下、または身体の発育が未熟な状態で入院治療が必要な赤ちゃんには、医療費を助成する「未熟児養育医療」があります(母子保健法第20条)。注意したいのは、退院後・精算後では対象外になる自治体が多いこと。必ず入院中に市区町村の窓口へ申請し、「養育医療券」を受け取ってから精算してください。NICUの入院費は高額になるため、数十万円の差が出ることもあります。
医療費控除
出産した年は、確定申告で医療費控除を受けられる可能性が高いです。
対象になるもの:
分娩費用・入院費用(一時金を差し引いた残り)
妊婦健診の自己負担分
通院の電車・バス代
緊急時のタクシー代
入院中の食事代
家族全員の医療費と合算して年間10万円を超えれば控除が受けられます。5年間遡って申告可能です。
帝王切開なら、高額療養費も使える
帝王切開は保険診療の対象なので、高額療養費制度が使えます。事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口での支払いが自己負担限度額までで済みます。
全体を、一覧にまとめました

出産育児一時金:50万円(期限:出産翌日から2年)
児童手当:月15,000円〜(期限:出生翌日から15日以内)
出産手当金:約65万円(期限:産休開始翌日から2年)
育児休業給付金:賃金の67%→50%(時効2年)
医療費控除:所得税の還付(5年以内)
全部合わせると100万円以上になることも珍しくありません。
「知らなかった」で数十万円を逃すのは、本当にもったいない。出産予定の方は、産前に一度このリストを家族と共有しておいてください。産後の体調で、このレベルの情報を自分で調べ直す余裕は、おそらくありません。
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