【ショートショート】「夜明け前が一番暗い」今回の主人公はアリクイさんです。『ハードボイルド動物園#35』
人間に負けず劣らずのハードボイルドな世界に生きる、動物さんたちのハードボイルドな事件を描いたショートショートです。

友達といっしょにハイキングに行った。
でも、きれいな花を見つけ、摘むのに夢中になっているうちに、はぐれてしまった。
元の道に戻ろうとしたけど、すっかり迷ってしまう。
どうしよう‥‥。
暗くなってきたし、お腹もすいてきた。
ともかく山道を下ればよいだろうと、どんどん歩いていたら、いきなり足を滑らし崖から落ちてしまった。
とっさに、木の枝を掴んだ。
でも足は宙ぶらりん。
なんとかしようともがいて、体をふり、どうにか枝に足を絡ませることができた。
だけどずっとこのまま枝にしがみついているわけにはいかない。夜はどんどん深くなってきた。しがみついているのが辛くなってきた
友達はわたしを探してくれるだろうか。ついそんなことを考えてしまった。
ううん、もちろん助けを呼んで探してくれているに決まってる。
どうしてこんなに暗いこと考えちゃったんだろう。
この闇夜のせいだわ。
‥‥星の一つもない闇夜。
でも、夜明け前がもっとも暗いっていうもの。
友達はきっと助けにきてくれる。
私はそう信じて、朝を待つことにした。
うとうとして、体が枝から離れそうになった。思わず力を振り絞って枝にしがみつく。
東の空が少し明るくなっている。
その時だ、遠くで私の名を呼ぶ友の声が聞こえた。
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一言メモ
「夜明け前がもっとも暗い」とは、ものごとが、良くなる前は最悪なもの。つまり最悪なときこそ、好転のきざしだということです。
そうはいっても、底なし沼のような最悪というのもあって、どこが底なのか見極めるのはむずかしいですよね。
でも「最悪だー!」と思ったときでも、アリクイさんのようにあきらめなければ、その状態を乗り越えることはできますよね。
