Perplexity、Google Chromeを345億ドルで買収提案 ― 自社評価額を大幅上回る“ムーンショット”的戦略
AIスタートアップ「Perplexity(パープレキシティ)」が、巨大テック企業Googleのブラウザ「Chrome」を34.5 Bドル(約3.4兆円)で買収するという、前代未聞のオファーを持ちかけた。この大胆な動きは、同社の自社ブラウザ「Comet」とともに、AI検索戦略の転換を象徴する提案だ。本記事では、Perplexityの背景、買収提案の内容、法的・市場的影響、さらにはその戦略的意図を整理し、具体例や引用を交えながら専門的にわかりやすく解説する。
1. Perplexityとは何か?
1-1. 会社概要と評価額
Perplexityは、2022年に創業されたサンフランシスコ拠点のAIスタートアップで、AIによる検索応答を実現する対話型検索エンジン「Perplexity」を提供している。2025年7月時点での評価額は約180億ドル、あるいは140億ドルと報じられており、様々な資金調達を経て急成長中の企業である。
1-2. 独自ブラウザ「Comet」の展開
Perplexityは2025年7月、自社開発のAIブラウザ「Comet」をChromiumベースで発表。AIエージェントによる検索支援やスケジュール調整、メール送信など、様々なタスクを支援する統合型プラットフォームとして注目を集めている。注目は、高価格のサブスクリプション(例:Maxプラン)に含まれているという点であり、Googleとの競争姿勢が伺える。
2. Chrome買収提案の内容
2-1. 提案の概要
Perplexityは、2025年8月12日、GoogleのChromeブラウザに対して34.5 Bドルの全額現金オファーを単独で無請求(unsolicited)で実施した。これは市場に衝撃を与える大胆な提案である。
2-2. 提案の具体条件
Chromiumを引き続きオープンソースで維持
今後2年間で30億ドルの追加投資を約束
Chromeの既存のデフォルト検索エンジン(Google)を変更しない:Perplexityが自らの検索エンジンをデフォルトにしないと明言
2-3. 財務と資金調達の見通し
自社の評価額を大きく上回る提案額にも関わらず、複数の投資ファンドが全額ファイナンスを提供するとPerplexityは主張しており、その資金調達体制に注目が集まっている。
3. 法的背景と業界への影響
3-1. 反トラスト訴訟とChromeの位置づけ
米司法省と裁判所は、Googleが検索市場において違法な独占行為を行ったと判断し、ChromeやAndroidの売却を含む是正策を検討中である。裁判所は、Antitrustの救済策としてChromeの分離を命じる可能性を模索している。
3-2. 買収成立の可能性と手続きの長期性
専門家は、Chromeの売却が実現するかは不透明であり、Googleは強く異議を唱えると見られている。裁判は控訴・審理を経て最高裁に至る可能性もあり、数年を要する可能性もあるという。
3-3. 他の潜在的入札者
既に、OpenAI、Yahoo、投資ファンドApolloなどもChromeの可能性に関心を示しており、複数の大型プレイヤーが参入の可能性を秘めている。
4. 事例比較と戦略的意味
4-1. TikTokへの買収提案と戦略パターン
今回の提案は、今年1月にPerplexityがTikTok(米国事業)を買収しようとした動きと類似しており、メディアや規制の注目を集める戦術として位置づけられている。
4-2. DuckDuckGo CEOによるChrome評価
DuckDuckGoのCEOは、Chromeの価値を「500億ドル以上」と見積もっており、今回のオファーがいかに慎重ともいえる価格かを示す発言である。
4-3. マーケティングとブランド戦略としての側面
Axiosはこの動きを「マーケティングの勝利」として位置づけており、実現の有無に関わらず、Perplexityの注目度を大きく向上させたと評価している。Cometへの注目や企業ブランドの浸透、資金調達への間口を広げる狙いも伺える。
5. まとめと考察
買収提案の核心:Perplexityが34.5 BドルでChrome買収を申し出たことは、同社の評価額を大きく超える大胆な戦略。
法的・技術的な対抗シナリオ:司法手続きの長期化可能性、Chromeの分離の実現可能性は依然として不透明。
業界への衝撃:AIとブラウザという、インターネットの基盤的領域での主導権争いへ新たな局面を提示。
広報戦略としての成功:Perplexityが大手プレイヤーとしての地位を確立し、Cometへの注目を劇的に高めた点は、戦略的意図が的中しているといえる。

