ダイヤモンドネイル創世記 -1-
「この小さなダイヤの良い使い道ないかねぇ。
これ、小さすぎるからジュエリーにも使いづらくてね。」
代官山のジュエリー会社からデザインの依頼を受けた際に、1/300 ( 0.003ct ) カラットの微小ダイヤの " 新しい使い方 " の相談を受けたことがきっかけだった。
「これがそのダイヤだよ」
まるで " 砂のように小さなダイヤモンド "
サラサラと、小さなスコップから煌めきながらこぼれた。
ダイヤモンドに興味はない。
だが、その美しさに見とれている自分に気付く。
・・・・・
早速、帰宅して妻にこのことを相談した。
「ネイルに使うのも良いんじゃない? ネイルはこれから流行ると思うよ。」
その時の私は女性のトレンドに詳しく無かったが、この一言には「イケける」と感じたのだ。
そのジュエリー会社に「渾身の提案書」を持参したのは、それから2週間後。
そこには、きちんとブランディングされた「ダイヤモンドを石のまま販売する路面店」や、「それを取り付けるサービス」としての展開、「ダイヤモンドが贅沢に " 鑑賞 " できるカフェの構想」などをイラスト付きで丁寧に描いた。
そのビジュアルに、5カ年の経営計画書や広告用のキャッチコピーまでを更に添付した。
「うわ。凄いなこれ。うちにはこんな壮大な事はとてもできないな・・・。これさ、自分でやったら?」
実はこの企画書を練っている間、構想そのものに「夢」を感じていた。
でもこれはあくまでも「頼まれた」もの。
自分用にするわけにはいかないな、と思っていた矢先の「申し出」だった。
・・・・・
今でこそネイルサロンの乱立で過当競争にまでなっているが、その頃ネイルサロンと呼ばれるものはほとんど無かった。
ネイルアートは、女性が自分で行うものだったのだ。
一部の店舗で「マニュキュアを塗る」または「アクリル ( スカルプチュア ) を使って爪の長さを出す」サービスがあるにはあったのだが、一般的には知られていなかった。
仮に市場規模が大きくなっても「本物のダイヤモンド」を扱うことで「差別化」を図ることができる。
ダイヤモンド以上に " 価値のある石 " はないからだ。
ビジネス的にも大きいのはこのポイント。
これからの成長が見込める市場で「本物のダイヤモンド」を扱うことを導入期で認知されれば、仮に衰退期を迎えてもブランドとして生き残れる算段がつく。
こうも感じた。
まずネイルにするということは
「ダイヤモンドを繰り返し使う」
ということが条件になる。
ラインストーンなどと同様の「消費材という扱い」は、ユーザーからしたら「とんでもない話」だ。
ということは・・・「ダイヤモンド」をクリーニング ( 洗浄 ) する必要がある。
「ダイヤモンドは永遠の輝き」というフレーズは嘘偽りにしたくない。
そして、この微小なダイヤモンドを入れる「ケース」。
販売するにしても、持ち運びするにしても「紛失しない」ようにするためにはケースが必要だ。
それからの半年間は「ダイヤモンドネイル」のデビューに向けて試行錯誤を繰り返したのだ。
<ダイヤモンドネイル創世記 -2- へ つづく>
それじゃあ、また。
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