キーボード入力をやめて約1年|Aqua Voice、Typeless、Superwhisperを全て試してみた話
メールも、記事の初稿も、Slackの返信も、Claude Codeへのプロンプトも、ほぼ全部音声で打つようになって約1年が経ちました。
最初は「音声入力なんて結局話し言葉が混ざって整わないでしょ」と思っていました。でも、いまは1日のテキスト作業時間が体感で1〜2時間減っています。
この記事は「結局どれを買えばいいんですか?」という人に向けて、3ツールをそれぞれ運用してきた個人としての本音をまとめたものです。スペック比較記事は世の中にたくさんあるので、ここでは「私はどう音声入力AIを選んだか」を中心に書きます。

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なぜ3つとも試すことになったか
正直、最初は1つに絞ろうとしました。サブスクが2本も3本も増えるのは精神衛生に悪いからです。
でも、しばらく使い比べて分かったのは、音声入力AIは「合う用途」と「合わない用途」がはっきり分かれるということでした。
たとえば、Claude Codeに「ここをこう直して」と高速にプロンプトを連発したいときに、整形品質が一番高いツールを選ぶと、入力までに2秒待たされて思考が切れます。逆に、長文のメールを音声で書きたいときに、速度最優先のツールを選ぶと、話し言葉のまま吐き出されて推敲に時間が取られます。
サブスクを2本走らせるコストより、毎日「合わない道具」を使い続けるストレスの方が、トータルでは圧倒的に大きい。これが3ヶ月続けてみての結論です。
Aqua Voice|「速さで思考が切れない」体験を作る主役
3つの中で一番長く使っているのが Aqua Voice です。アメリカのスタートアップが作っているクラウド型の音声入力で、独自モデル「Avalon」が「文字起こし」ではなく「編集」を学習しているのが特徴。話した内容そのままではなく、フィラー(「えっと」「あー」)を取り除いて文意を整えた状態で出力されます。
何がすごいのか
レイテンシが約450ms。発話を止めた瞬間にテキストが入ります。「打ち込み終わるのを待つ」感覚がほぼゼロ
Deep Context という画面認識機能で、開いているコードやSlackスレッド、メールの引用部分を読み取ってくれる。関数名や固有名詞の誤変換が劇的に少ない
Pro版で カスタム辞書を最大800語まで登録可能(公式プランページに明記)。会社名・サービス名・人名を一括で覚えてもらえる
弱点も正直に書きます
iOS / Android非対応。スマホでは結局OS純正の音声入力に戻ることになる
クラウド送信前提。機密情報を扱う業務だと業界によっては運用ルールに引っかかる
買い切りプランがなく、長期だと総額は積み上がる
私はこう使っている
Claude Codeに「このファイルのこの関数をこう変えて」と次々プロンプトを投げる場面で、ほぼ専属で使っています。450msのレスポンスは、1日に音声入力を100回以上起動する人にとって、累積で別物の疲労差になります。価格は 月$8(年契約)。PCで毎日30分以上テキストを打つ人なら、迷わず元が取れる金額だと感じます。
Typeless|「言い直しが消える魔法」が長文ドラフトに効く
Typeless はスタンフォード大学出身のチームが作っているAI音声入力で、コンセプトはずばり「Speak, don't type(打たずに、話そう)」。整形済みテキストを返すことに極端なこだわりを持っています。
何が他と違うのか
フィラーの自動除去だけでなく、自己訂正の認識までやってくれる。「あ、違った、こう書きたい」と言い直すと、最終出力には正しい方だけが残る
Mac / Windows / iOS / Android / Web の 全プラットフォーム対応。3ツールの中で、スマホでも同じ環境で音声入力できるのはTypelessだけ
SOC 2認証取得・ゼロデータ保持を謳っているので、企業導入の審査も通しやすい
無料プランが 週8,000語と大盤振る舞い(公式料金ページでクレカ登録不要が明示されている)
ここは正直微妙
月払いだと $30。年払いなら$12/月相当に下がりますが、ChatGPT ProやClaude Proが$20の世界で「音声入力単体に月$30」は心理的にハードルが高い
スマホで使うには「フルアクセス権限」を許可する必要があり、企業支給端末では入れられないケースもある
速度ではAqua Voiceに一歩劣る
私はこう使っている
顧客向けの長文メール、提案書のドラフト、記事の初稿。「読み返してそのまま出せる文章を一気に作りたい」場面は、ほぼ全部Typelessです。話し言葉のまま流し込んでも、出力は推敲済みのビジネス文書に近いところまで来ます。「言い直しが消える」挙動は、ライターにとって本当に推敲時間を削ってくれます。
Superwhisper|「音声をネットに出さない」をMacのローカルで実現

Superwhisper はOpenAIの「Whisper」モデルをベースに、Apple SiliconのNeural Engineを最大限に活かすように作られたMac中心のツールです(Windows版もβあり)。最大の特徴は、完全オフラインで動かせること。設定次第で音声データを一切クラウドに出さずローカルで処理が完結します。
何で選ばれているのか
オフライン処理ができるのは、3ツールの中でSuperwhisperだけ。機密性の高い業務でも安心して使える
Whisper Large v3 を含む複数モデルから選べて、精度と速度のバランスを自分で決められる
カスタム辞書と置換ルールが強力で、誤認識される単語を機械的に直せる
そして何より ライフタイムプラン$249の買い切りがあります(Superwhisper公式 で公開)。3〜4年使う前提ならサブスク勢を逆転します
30日間の返金保証付きなので、合わなかったときの撤退コストも低い
弱点
レイテンシは1〜2.4秒と、リアルタイム性ではAqua Voiceに譲る
UIが多機能ゆえ、初日にすべて使いこなすのは難しい
macOSの「入力監視」権限を要求するため、心理的に身構えるユーザーもいる
Windows版はβ、Android非対応。エコシステムはMac前提

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観点別の使い分けマップ
「結局どれが優れているのか」を5軸で並べてみると、はっきり3すくみになります。
速度(レイテンシ):Aqua Voice 約450ms > Typeless 約1秒 > Superwhisper 1〜2.4秒
整形品質:Typeless > Aqua Voice > Superwhisper
5年使った場合の総コスト:Superwhisper $249 < Aqua Voice $480 < Typeless $720
モバイル対応:Typeless(全OS)> Superwhisper(iOSあり)> Aqua Voice(PCのみ)
プライバシー:Superwhisper(オフライン可)> Typeless(ゼロデータ保持・SOC 2)> Aqua Voice(クラウド送信あり)
どの軸が自分にとって一番大事かで、ハマるツールが変わります。「全部1位」のツールは存在しないので、自分の業務でいちばん削りたいストレスは何かを最初に決めると選びやすくなります。
1本に絞るなら、どれを選ぶか

「3つも契約するつもりはない、どれか1つに絞りたい」という人への現実的な推奨を、用途別に書きます。
速度・コーディング・チャット中心の人 → Aqua Voice。月$8の価値は、PCで毎日30分以上テキストを打つ人なら確実に回収できる
長文ドキュメント中心、スマホでも使いたい人 → Typeless。年契約前提で月$12を許容できるなら、整形品質の差は1ヶ月で実感できる
機密情報を扱う仕事・買い切りで長く使いたい人 → Superwhisper。$249のライフタイムは3年以上使う前提なら最もコスパが良い
とりあえず音声入力って何?を試したい人 → Typelessの無料プラン(週8,000語)。クレカ登録不要で勝手に課金されないので、入口として一番安全
まとめ
音声入力AIは、もう「導入するかどうか」ではなく導入はマスト
Aqua Voice、Typeless、Superwhisper はそれぞれ得意分野が違う「3すくみ」。自分の用途で選ぶべき
速度ならAqua、整形ならTypeless、プライバシーならSuperwhisper
まずはTypelessの無料枠で1〜2週間試してから、自分の業務でどの軸が一番効くかを体で判断するのがおすすめ
1日に1時間でもキーボードを叩いている人なら、3ツールのいずれかは確実にコストを上回る効果が出ます
私自身はもう、音声入力AI使用前の自分には戻れません。音声入力に投資したサブスク代は、削れた時間の費用対効果から見れば誤差です。
「キーボード入力って当たり前すぎて見直したことがなかった」という人ほど、試してみる価値があると思います。

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