第6期致知人間学認定コーディネーター養成講座 第三講を受講して
陰騭録の学びと「問い」の力
本日は、第6期致知人間学認定コーディネーター養成講座の第三講を受講しました。
今回の内容は、『陰騭録を読む』の感想文発表、読書会のコーディネーターとしてワークを進めるポイント、そして私自身の「格別致知」の体験発表でした。
毎回多くの学びがありますが、今回特に心に残ったのは「問いを考えること」の大切さです。
読書会というと、本の内容を理解したり、自分の感想を伝えたりする場というイメージがあります。しかし今回の講座を通じて感じたのは、読書会の本当の価値は「問い」を通じて参加者一人ひとりの考えを深めることにあるということでした。
同じ本を読んでも感じ方は人それぞれ
今回は『陰騭録を読む』の感想文発表がありました。
同じ文章を読んでいても、心に響く箇所は人によってまったく異なります。
ある人は「陰徳を積むこと」の大切さに感動し、ある人は「人知れず善を行う姿勢」に共感していました。また、自分では気づかなかった視点や解釈を聞くことで、新たな学びを得ることもできました。
今回の学びを通じて、改めて心に残ったのが「陰騭」という言葉です。
陰騭とは、人知れず善を積むこと、つまり見返りを求めることなく正しい行いを重ねることを意味します。派手さはなく、すぐに成果が見えるものではありません。しかし、職場においては、こうした日々の誠実な行動の積み重ねが信頼関係を育み、安心して働ける職場風土や強い組織づくりにつながっていくのだと感じました。
挨拶をする、感謝の言葉を伝える、困っている仲間をさりげなく支える、自分に与えられた役割を誠実に果たす。どれも特別なことではありません。しかし、そのような行動を誰に言われるでもなく続けることが、やがて周囲からの信頼となり、組織の力になっていくのではないでしょうか。
私は社会保険労務士として、多くの企業や福祉事業所の相談に関わっています。その中で感じるのは、働きやすい職場や人が定着する職場には、このような「人知れず善を積む人」が必ずいるということです。
制度やルールは組織運営に欠かせません。しかし、それだけで良い職場ができるわけではありません。お互いを思いやる気持ちや感謝の心、そして誠実な行動の積み重ねがあってこそ、制度や仕組みが活きてくるのだと思います。
読書会は「正しい答え」を探す場ではありません。それぞれの人生経験や価値観を持ち寄りながら、互いの気づきを共有する場です。
だからこそ、感想を発表することには大きな意味があります。上手に話す必要はなく、自分がどこに心を動かされたのかを素直に言葉にすることが大切なのだと改めて感じました。
コーディネーターに求められる「問う力」
今回の講座では、読書会のコーディネーターとして場を進行する際のポイントについても学びました。
私が印象に残ったのは、コーディネーターは「教える人」ではなく、「考えを引き出す人」であるということです。
つい私たちは、自分の知識や経験を伝えたくなります。しかし、参加者の学びを深めるためには、知識を与えること以上に、良い問いを投げかけることが重要です。
例えば、
「この文章を読んで何を感じましたか」
「どの一文が心に残りましたか」
「この内容を自分の仕事や家庭に置き換えるとどうなりますか」
という問いは、その人自身の経験や価値観を引き出してくれます。
良い問いには、人の心を開き、自ら考えるきっかけをつくる力があります。そして、その問いがあるからこそ、参加者同士の対話が生まれ、学びが深まっていくのだと思います。
人間学と社労士の仕事はつながっている
今回学んだ「問い」の力は、私たち社会保険労務士の仕事にも通じています。
相談を受ける際、すぐに答えを出すことだけが支援ではありません。
「なぜそう考えるのですか」
「本当はどうなりたいですか」
「その背景には何がありますか」
そんな問いを通じて相手の考えを整理し、本質的な課題に気づいてもらうことも大切な役割です。
私は普段から「労務トラブルは対処より予防が大切」とお伝えしています。
予防のためには制度だけでなく、人と人との関係づくりが欠かせません。その土台となるのが、人間学の学びではないかと感じています。
まとめ
第三講を通じて改めて感じたのは、「問いが人を育てる」ということです。
良い問いは、人を否定することなく、自ら考える機会を与えてくれます。そして、その問いを通じて対話が生まれ、学びが深まり、人としての成長につながっていきます。
人間学の学びに終わりはありません。
問い、考え、語り合い、実践し、また問い直す。
その繰り返しの中で、人は少しずつ磨かれていくのだと思います。
これからも学びを知識で終わらせることなく、日々の実践につなげながら、「人を活かす経営」の支援に活かしていきたいと思います。
