見出し画像

協力できない職員に面談同席して見えたこと「個人の問題」を「職場全体の課題」に変える労務の視点

職員面談に第三者(顧問の社会保険労務士)が同席する意味を考える。

先日、顧問先からのご依頼で、職場の職員同士がうまく協力できていないケースの面談に同席させていただきました。労務担当の方からは、「注意をしたいが、本人が納得しない」「ハラスメントと受け取られないか不安」「現場の雰囲気が悪化している」といった率直なお悩みを事前に伺っていました。こうした相談は、ここ数年で確実に増えています。

今回の面談の主なテーマは、Kさんのコミュニケーションの取り方でした。周囲の職員からは「言い方がきつい」「責められているように感じる」と受け取られており、協力関係が築きにくくなっている状況でした。ただ、面談の場で一方的に問題点を指摘してしまうと、本人は防衛的になり、「自分は悪くない」「周囲が理解してくれない」という気持ちを強めてしまいます。

そこで今回は、まず事実と感情を丁寧に分けて整理することから始めました。どのような場面で、どんな言動があり、周囲はどう受け取ったのか。一方で、Kさん自身はそのとき何を考え、どんな意図で発言していたのかを確認しました。すると、過去に同僚のSさんと深刻な対立を経験しており、「自分が強く言わなければ仕事が回らない」という思い込みが形成されていたことが見えてきました。

さらに、現在の同僚であるTさんとの関係についても、「協力しているつもりなのに評価されない」「誤解されている」という不満や不安が積み重なっていました。ここで重要なのは、これらを「性格の問題」や「本人の資質」に矮小化しないことです。多くの職場トラブルは、人と人との関係性や、過去の経験、職場環境の影響が複雑に絡み合って起きています。

面談では、「誰が悪いか」を決めるのではなく、「なぜそうなっているのか」「職場として何が課題なのか」という視点を共有しました。Kさんにも、「あなた一人の問題として責めているわけではない」「職場全体で改善すべきテーマとして考えたい」というメッセージを繰り返し伝えました。その結果、本人の表情や姿勢が徐々に柔らぎ、自分の言動が周囲に与えている影響についても、少しずつ受け止められるようになっていきました。

最終的には、個人間の対立にとどめず、職場全体としてコミュニケーションのルールや期待値を整理し直すこと、困ったときに相談できる仕組みを整えることなど、環境改善に共同で取り組む方向で合意が形成されました。これは、本人にとっても、周囲の職員にとっても、大きな一歩だったと感じています。

労務担当の方にお伝えしたいのは、面談の目的は「注意」や「指導」だけではないということです。顧問の社会保険労務士さんに第三者が同席することで、感情的な行き違いを整理し、事実と受け止め方の違いを可視化できます。これは、本人を守ることにもなり、同時に職場全体のリスクを下げることにもつながります。

昨年あたりから、こうした面談同席のご依頼は非常に多くなりました。それだけ、人間関係やコミュニケーションに悩む現場が増えているとも言えます。問題が深刻化してから対応するのではなく、早い段階で外部の視点を入れ、整理することが重要です。

人事・労務担当として一人で抱え込まず、「個人の問題」を「職場全体の課題」として捉え直す視点を持ってみてください。その積み重ねが、職員同士が安心して協力できる職場づくりにつながっていくはずです。

いいなと思ったら応援しよう!