#8 【バンコク】聖夜のカオサン。レゲエバーの帰りは警察に気をつけろ!
この旅行記は2011年に書かれたものを大幅にリライトしています。
翌日、私は「民宿日出」をチェックアウトし、カオサン通りに向かった。バックパッカーにとってのベタ中のベタなのでここで改めて詳細を書く必要はないだろう。しかし私は、一度はその洗礼を受けておくべきだろうと思ったのだ。ネットで見つけたタイ・グリーン・ゲストハウスにバックパックを放り込み、そこをしばらくの拠点に決めた。

実際に足を踏み入れたカオサンは、良くも悪くもイメージ通りだった。
欧米人で埋め尽くされたバー、どこにでもある土産物屋、偽造IDを作る屋台。それらは記号的な風景として私の目の前を通り過ぎ、さして興味をそそることはなかった。

むしろ私が惹かれたのは、カオサンからトゥクトゥクで15分ほどの場所にある、アジア最大級のチャイナタウン「ヤワラート」だった。混沌とした路地、剥き出しの食材の匂い、そして圧倒的な熱量。そちらの方が、私にはずっと生気を感じられた。


だが、カオサンにも数回ほど通った場所がある。
正式な名前は知らないが"レゲエバー"と言えば心当たりのある人も多いのではないだろうか。路地裏に潜むその店は、表通りの喧騒から切り離された静寂があり、そして何よりマリファナが手に入ることで知られていた。
ちょうどその日も、数本ビールを空けた後、チェックのついでに耳打ちする。するとバーの青年は慣れた手つきでアメリカンスピリットの空き箱を差し出してくれる。中には丁寧に巻かれたジョイントが三本。
「カオサンの入り口に交番があって、たまに検問をやってるからな。帰り道は気をつけろよ、遠回りして帰れ」
そんな親切とも警告ともつかないアドバイスを背に受け、私は店を後にした。

宿に戻り、安っぽいベッドに身を投じ、ジョイントに火をつける。肺を満たした煙をゆっくりと天井に向けて吐き出した。
ゆらゆらと立ち昇る煙を見ながら私はこの旅の次の一手をぼんやりと考えていた。
ふと携帯の日付を見ると今日は2011年12月25日、クリスマスだった。
2026年の私の補足:マリファナに関してはバンコクは寛容すぎるくらいになりましたねぇ。あと、ちゃんと寺とか市場とかその他色々ベタな観光地は一通り回りました。
