西勇輝の617日ぶり白星 ただ「久しぶりに勝った」で済ませたくない夜
昨年の西は、かなり苦しかっただろう。
右膝の状態が悪くなり、戻ってきても自分が期待する自分のパフォーマンスが出せない。生々しい言い方をすれば、プロ18年目の投手が自分の終わりを予感するような。そんな時間を過ごしていたのだと思う。
強がりでも何でもなく、不安だったに違いない。
4年契約の最終年を開幕二軍で迎えたベテランに余裕なんてあるわけがない。
その西が、神宮で5回2失点。
完璧な投球ではなかったけれど、ちゃんと試合を作った。
そして勝った。
こういう勝ち方が、いまの西には何だか似合う。
相手の捕手が伏見寅威というのも良かった。
13年ぶりの先発バッテリー。
同級生でオリックス時代を知る仲間。
伏見も打って守って、必死の思いで西に勝ちをつけた。
こういう勝利は、数字の上では1勝でも、当人たちにとってはそれ以上の重さがあると思う。
阪神は4月を貯金8で終えた。
近本が抜け、主力にもアクシデントがあり
それでも若手が出てきてベテランが勝つ。
なんだかんだで、いい4月だったのだと思う。
西勇輝の617日ぶり白星。
ただの「久しぶり」ではない。
あの1勝には、西がもう一度ちゃんとマウンドに立ち直ってきた時間が詰まっていた。
そう思うと、重みのある1勝に見えてくる。
僕は2011年、僕はオリックス担当をさせてもらった。
3年目、21歳の西はいつも明るく取材に応じてくれた。
前途洋々の未来が見えていたはずだ。
そのシーズン、しっかり10勝を挙げた。
シーズン中、どこかの遠征先で食事に出かけたとき
「期待してもらってチャンスをもらっているので、調子に乗らずに、一つ一つ目の前の事に取り組んでいきます。積み重ねていくしかないですから」と謙虚に話してくれたことを覚えている。
もうそろそろ終わりじゃないのか。
もう西は限界だろう。
そんな声を耳にしたり
ネットで目にしたり
することもあったはずだ。
そんなものは言わしておけばいい。
自分の力で結果を残すしかない世界なのだから。
西とて、そんなことは重々承知の上で現役を張っているのだろう。
もう一花なんて言わない。
現役である以上、最後の最後の1球まで上手くなるために必死で戦いに備えて欲しい。
そんな姿を虎党に届けるため
こちらも準備しておく。
このnoteでは、阪神の試合結果だけでは見えない「流れ」「空気」「本当の論点」「現場から見える裏側」を追っていきます。
5月からは、有料記事でさらに一歩踏み込んだ原稿や
過去のエピソードや世に出ることのなかった取材メモなども出していく予定です。
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