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ショートショート:小さな箱のマジック

 公園の砂場の中から、小さな箱が出てきた。僕の手のひらで握れるほどの、小さな箱で、蓋を開けてみると中は空っぽだ。そこら辺の小石を1つ入れて、カラカラと音を鳴らしながら持って帰った。家に着くと、リビングに投げ捨てたランドセルが目に入る。何の考えもなしに、とりあえず、ランドセルの中に箱を入れた。
 翌朝、ランドセルの中身を入れ替えようとしたら、箱が出てきた。昨日、ランドセルに入れたのをすっかり忘れていた。蓋を開けると、小石が2つ入っていた。しかも、色や形も全く同じの小石だ。不思議に思ったが、とりあえず小石はいらないので、窓から放り捨て、教科書と箱をランドセルに入れ、そそくさと学校に向かった。
 1時間目の途中、隣の席の子が「消しゴムを忘れたから貸して。」と言ってきた。筆箱から消しゴムを手にした時、ふと箱のことを思いだし、ランドセルから取り出した。
 「今からマジックを見せてあげる」と言って、消しゴムをちぎり、箱の中に入れて、2.3回振った後、箱の中をみせた。すると、ちぎった消しゴムが2つになった。ドヤ顔で一つ取りだし、隣の席の子に渡したが、あまり驚いた様子もなく、「ありがとう」と言って、何事もなかったかのように、授業を受け始めた。「もう少し驚いてくれてもいいのにな」と不満を覚えつつ、僕も授業に戻った。
 家に帰ってから、家族にもマジックをみせた。最初は「すごいすごい」と喜んでいたが、すぐに、種や仕掛けについて聞いてきた。「そんなものはないよ、この箱に入れて振るだけで、2つになるんだ!すごいでしょ!」と答えるた。
 すると、父はまじまじと箱を見た後、何か閃いて「この箱を貸してくれ!」と興奮気味に言ってきた。箱を渡すと、財布から1万円札を取りだし、クシャクシャに丸めて、箱の中に押し込んだ。箱を振った後、クシャクシャの1万円札を取りだして広げると、2枚になっていた。父は大喜びし、2枚のお札を見せてきた。「お父さんすごいね!キラキラのシールも、小さな数字も全部同じだね!」と言ったら、父の顔が曇った。

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