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土用は何をして過ごす?暦を使いこなす心構え


<土用は何をして過ごす?暦を使いこなす心構え>

日本には春夏秋冬ともう一つ大切な季節「土用」を含めた5つの季節からなる。土用とは立春、立夏、立秋、立冬の前、約18日間ずつ、一年では計72日間。

この四季は太陽の公転面に対して自転軸が約23.4度傾けながら太陽の周りをめぐるために起きる。また太陽との距離も四季によって違う。意外かもしれないが、地球が最も太陽に近くなるのは北半球では冬で、最も遠くになるのは夏。

また世界中では基本的に雨季と乾季のパターンが色濃いが、東アジアでは四季のパターンがはっきりしている.
これは一年を通して雨に恵まれているからでもあり、複数の気団の集まる場でもあるからだ。巨大なユーラシア大陸の端でもあり、巨塊な太平洋の端でもある。さらに北極と赤道の間である中緯度にある。

その気団の勢力に影響を与えるのが太陽光であり、昼夜の長さ、水の熱性質、偏西風の動きが四季をさらに細かな彩りを加える。そのなかで土用とは四季のつぎはぎの期間でもあり、二つの空気のごちゃ混ぜの期間でもある。季節のピークは極まって転ずるとき、そして次の季節が始まる。土用はその橋渡しの季節であり、エッジの季節。実際に土用の季節は天気の乱れや気圧の上下動が大きくなる時期で、変わり目の季節は心も身体も崩しやすい。

「土用に土いじりは厳禁」といった教えがあるが、その言葉は本来の意味からかけ離れて使われていることがある。もともと、この時期には引越しや家の建て替えなど「大きく土台を変える行為」を控えるという風習であり、田畑でも土を大きく動かすような畝立てや土寄せなどはしない。だからと言って、田畑に足を運ばないわけでもないし、草刈りや剪定など重要なケアを怠ってはいけない。

これは陰陽五行説の土の気が変化するためであり、実際に草の様子や虫の様子を観察してみると彼らの動きもどこかおぼつかない。それはさまざまな空気が入り混じるからでもある。野菜たちもこういう時に調子が悪くなりやすい。だからこそ、観察とケアは怠ってはいけないのだ。それは人間にも同じことが言え、実際に体調を崩す人も多い。

土用は養生の重要な期間でもある。東洋医学の専門家でもあった川口由一は「養生とはいかに滞りをつくらず、いのちの流れを伸びやかに保つかということですし、治療とはいかに滞りの原因にアプローチし、いのちの流れをよくする手助けができるかに尽きます。癒しとは病者の自己治癒力を高め、いのちを開いてあげる行為です。」と述べている。

また「病気の症状が顕著になってからでは対応は遅いと考えるべきです。症状の多くはいのちが不調和を起こしたと後の浄化の営み、不調和を解消しようとするいのちの反応が病気の症状です。」「初期症状で対応することで、不調和を最小限に留めることができます。」という言葉は人間のことでもあり、家畜のことでもあり、野菜のことでもある。

こよみとは「日読み」(かよみ)から来た言葉で、「よむ」は計るとか察するという意味がある。日本人は縄文時代から環状列石をはじめとする日時計で季節を知り、草木虫魚鳥獣の動きで季節の巡りを実感した。

自然暦の中には江戸時代の農書に残された地方暦もあった。会津暦、伊勢暦、薩摩暦、三島暦といった各地域ごとの気候や気象の特色を踏まえた暦がある。

日本の複雑な微気候では季節の訪れはそれぞれ違う。そのため初雪や初霜、遅霜、桜の開花のタイミングを知り、田植えや種まき、稲刈り、ひじき採りや漁の始まりと終わり、里山・里海の恵みの旬、季節行事や祭りの開催時期などを決めていた。

その中心が寺社であり、大きな屋敷を持つ大地主だった。現在でも国や県の重要建築物に指定されている家はもともと豪農と呼ばれ、その地域の中心的な存在であり、人々が集まる場であった。

五季の考え方は陰陽五行説と深く関係している。そのため五季の考え方はマクロビオティックなどの食養生法や民間療法、鍼灸や漢方といった東洋医学などに取り入れられた。

土は生命が生まれる場所でありながら、死んだら帰る場所でもある。一年の中における土用の働きは過ぎ去る季節を終わらせ、来る季節を育成することにあると考えられている。

土用の前後にはお正月やお盆をはじめ、さまざまな季節行事や儀式が営まわれる。お歳暮や暑中見舞いなどの民間風習も現代まで残っている。また土用丑や七草粥、夏越しの大祓えなど養生法も多い。私たちにとって土台は自分自身の心身でもある。

季節のピークは旬の野菜や山菜のピークでもある。それを味わう最後のチャンス。しっかりたくさん噛むことを意識して、味わいたい。胃腸を労わることにもなるし、マインドフルネスの時間にもなる。

土用は土から離れる期間ではなく、土とつながっていることを意識する季節だ。素足になって大地を踏む機会にしてもいいだろう。身辺のこまごまとしたものを整理するチャンス。

これから土用は「次の季節のために準備をする期間」だと考えてもらいたい。衣替えはもちろんのこと、仕事部屋や農機具小屋などの整理をしよう。次の季節に向けての種蒔きや野良仕事の準備に取り掛かる。


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