神人事! NASAのベテラン、キャシー・リーダース氏が、宇宙ステーション開発企業Vast(ヴァスト)のアドバイザーに就任
米国の宇宙開発企業Vastが、NASAとSpaceXで30年以上の実績を持つKathy Luedersキャシー・リーダーズ氏をアドバイザーに迎えたと発表しました。これは民間宇宙ステーション開発の重要な局面を示す動きです。Vast Space

リーダーズ氏の役割
リーダーズ氏はVast Advisor(アドバイザー)として、VastのNASAとのプロジェクト参画と、ISS後継機「Haven-2」計画への助言を行います。Haven-2は米国と同盟国の低軌道での継続的な有人活動を目的とした宇宙ステーション構想です。

経歴と専門性
リーダーズ氏はNASAで30年以上にわたり宇宙飛行関連のリーダー職を歴任しました。
・NASAの人間宇宙飛行オペレーションを統括する部門の副管理者として務めた経験。
まだ大学に在籍している間にホワイトサンズ試験施設White Sands Test Facilityに採用され、学士号を取得するまでそこで働いていました。その後、スペースシャトルのRCS(リアクション・コントロール・システム)のデポ(整備拠点)を立ち上げる品質エンジニアとして働いていた当時は実質的に下請け業者(subcontractor)のような立場で働いていたため、「政府機関の中で商業的なやり方(being commercial in a government way)」を学ぶ非常に大きな学習体験になったと振り返っています。この学生時代からの現場経験が、後のNASA商業乗員輸送プログラム(Commercial Crew Program)を率いる上で役立つ背景になったとも述べています。
NASAでは、ISSでのシステム統合と実運用、そして商業乗員輸送プログラムでの民間連携という二つの中核的経験を通じ、責任が分散した大規模システムを動かし続ける現実を学ぶ機会を得ました。軌道上にある要素を含むISS全体を統合管理し、同時にSpaceXと協力してクルードラゴンによる有人飛行を実現した経験は、設計と運用、官と民、技術と組織をつなぐ視点を彼女に与えたと言われています。
・NASAのCommercial Crew Programのマネージャーとして、2020年の米国からの有人宇宙飛行再開を実現。
・ISSへの貨物補給戦略を統合し、輸送システムの実装を主導した実績があります。
その後、SpaceXではスターべースのジェネラルマネージャーを務めました。現在はテキサス宇宙委員会副議長も兼務しています。
動画は、SpaceXの幹部だった当時のキャシー・リーダース氏がスターベースの進展とスターシップの開発状況について語った講演です。彼女は、サターンVロケットの2倍の推力を持つスターシップが、再利用可能な設計によって宇宙探査のコストを劇的に下げ、月や火星への移転を可能にする「ゲームチェンジャー」であると強調しています。施設面では、テキサス州ボカチカに巨大なスターファクトリーや第2発射台を建設中であり、数千人規模の雇用を通じて地域経済に多大な投資を行っていると語っています。また、失敗から迅速に学ぶという同社特有の開発手法や、環境保護、地域コミュニティとの共生についても触れ、スターベースをスターシップの主要な生産・打ち上げ拠点として確立し、人類を多惑星種にするというビジョンの実現を目指していると述べています。
豆知識:この動画で説明されているスターベースの職場内のドッグパーク 3,400人以上が毎日フルタイムで働くスターベースの施設内にはドッグパークが設置されています。これは、従業員が仕事をしている間、連れてきた犬たちが過ごせる場所を提供するためです。リーダース氏は、これが従業員に必要な仕事を遂行させるための環境作りの一環であると説明しており、採用ビデオなどでもコーヒーと共にドッグパークの様子が紹介されていると述べています。
地元の保護施設への支援 スペースXの従業員たちは地域コミュニティへの参加の一環として、地元の犬の保護施設(Bark)を訪れ、建物の塗装や犬を洗うなどのボランティア活動を行いました。リーダース氏は「スペースXの人々について一つ言えることがあるとすれば、彼らは犬が大好きだということです」と述べており、ボランティア活動を通じて実際に犬を自宅に引き取った(里親になった)従業員もいたそうです。
Vastの狙い
Vastは商業宇宙ステーションの開発企業です。2025年の「Haven Demo」ミッション成功に続き、2026年には世界初の商業ステーションHaven-1の打ち上げを目指しています。2030年には複数モジュールによる恒久的な有人拠点に拡張する計画です。
期待される影響
NASAの商業低軌道開発プログラム(CLD)では、2030年のISSの退役後の有人継続が最大の課題です。リーダーズ氏の参画は、VastがCLDプログラムで競争力を強めるだけでなく、民間主導の長期有人宇宙活動の実現に向けた戦略的支援となる見込みです。

