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唄える茶道家の小唄鑑賞①|言わなきゃよかった〜昭和の傑作小唄

私が師事している松峰派は、(江戸)小唄としては最後発に属し昭和の後期に、先代松峰照師匠によって礎が築かれました。新曲を得意とし、松峰独自の小唄は二百曲は下りません。昭和になって作られた曲らしく、昭和生まれの我々でも共感できる曲が多くあります。その一つ「言わなきゃよかった」


江戸小唄は大半が江戸末期から明治期に作られていますから、歌詞は封建制の世界を反映して「男世界」が前提となっています。しかし、それはそれ。いつの世も男女の中は「男世界」だけでは済まされないのです。その妙を感じ取るのが小唄鑑賞の醍醐味とも言えましょう。しかし、そうは言っても「男世界」。女はいつも待つ身であり、別れ話は男から唐突に告げられます。


しかし、昭和の女は違います。戦火の中、家を家族を子供達を守り通した「女」は強かった。戦後の民主化の中で女性の地位が大いに向上したのは必然でした。そんな女性を主人公とした小唄は、松峰小唄の真骨頂です。「言わなきゃよかった」も、そんな"強い"女性が主人公です。

言わなきゃよかった 一言を 悔やみきれないあの夜の 酔ったはずみの行き違い ごめんなさいが言えなくて 一人で聞いてる雨の音

女性の地位は、男と対等に酒を挟んで痴話喧嘩をするほどまでに向上しました。その挙げ句の捨て台詞。男は立ち去ります。しかし、その態度は前世紀のように女の無礼な態度に腹を立てて・・・ではありません。完全に女に一本取られて、すごすごと場を去る男の姿が浮かびます。そして残された女は、「言い過ぎた」と猛反省するのです。

後悔しつつ一人で酒を煽る。かつては「男」の専売特許でした。それを女性でも絵になる(唄になる)程、昭和において女性の地位は向上したのだと思います。そんな匂いが、松峰小唄にはあります。

他にも小唄について書き連ねています。




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