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唄える茶道家の小唄鑑賞④|対浴衣〜せめて印の対浴衣

まさに松峰小唄を代表する作品です。他流でも「松峰」であることを意識せず“古典“のように扱っています。私がかつて所属した派でも、そうでした。そして、松峰派に移り“正調“を習った訳ですが、その違いに愕然としました。

所帯固めりゃうちの人 他人でいればよその人
どちらでもない貴方と私 せめてしるしの対浴衣
   作詞 伊藤寿観 作曲 初代松峰照(昭和49年)

正調「対浴衣」は驚くほどゆっくりなのです。私がかつて所属した松風派の家元の演奏は1分27秒。それに対して、“正調“は、初代、二代目家元とも2分7秒。2分程度の曲でありながら40秒も演奏時間が違うのです。ここまで違うと、全く別の曲と言えるかもしれません。

それはさておき。「所帯固めりゃ」 つまり、公の仲となること。どんな経緯があったにせよ、婚姻届けを出す、つまり所帯を持てば男は“うちの人“です。これに対して、どんなに気心が通じていようと他人を装っていれば所詮“よその人“なのです。

そして、“どちらでもない“。つまり、公の夫婦と他人の仲との間! この微妙な男女の間柄。ここに小唄の核心があります。この不安定な間柄を受け入れ、心を配る。それが小唄が愛される所以なのです。
世間に許されない男女の仲。陽陰の恋です。その吹けば飛ぶような関係を、せめて“お揃い“の浴衣で繋ぎ止めようという女心。

この女心に、せめて小唄として共感する。これが、世の臆病な男の現実なのです。

他にも小唄について書き連ねています。

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