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唄う茶道家の小唄鑑賞⑥|芝居小唄〜誰でも知っている人気の芝居を題材に

小唄(江戸小唄)のジャンルの一つに「芝居小唄」があります。人気の芝居の名場面を小唄に仕立てたものです。誰もが知っている名場面、名セリフがモチーフですから、親しみやすく共感も得やすいということで、小唄の中でもとりわけ人気のあるジャンルです。

川口松太郎作1834年(昭和9年)の短編小説を題材に、1938年(昭和13)年に、花柳章太郎と水谷八重子の主演で明治座で初演され好評を博した「鶴八鶴次郎」。それを題材にして、1940年(昭和15年)春日とよによって作られた小唄「心して」は春日派を代表する曲として今も親しまれています。

鶴八鶴次郎のあらすじ
大正時代の東京、新内節の人気コンビ・鶴八(女三味線)と鶴次郎(太夫)は、互いに惹かれ合いながらも芸事をめぐって衝突ばかりしている。正月興行後の大喧嘩や、後援者・松崎からの縁談をきっかけにすれ違うが、高野山への旅路でついに本心を打ち明け合い、夫婦として生きる誓いを交わす。その後、資金援助をめぐる嫉妬から再び破局し、二年後に再会してコンビ復活を果たすものの、また芸への意地から別れてしまい、互いを深く愛しながらも「芸」と「情」の両立の難しさが浮き彫りになる物語である。

お互い一度は夫婦の誓いをたてたものの、しがない身内流しでいるよりは大店の女将にと、わざと悪態をついて鶴八を大店に女将に収めようとする鶴次郎。別れが決定的となった夜、鶴次郎は場末の居酒屋で一人酒を煽るのです。「心して」はそのラストの名場面を描いた小唄です。

心して 我より捨てし恋なれど
せきくる涙堪えかね
うさを忘るる杯の
酒の味さえ ほろ苦く

  作詞 河上渓介 作曲 春日とよ (昭和15年)

身内節の名手を主人公とした芝居小唄らしく、全編新内調に仕上げられています。新内節らしく上調子が切なくもまた感情豊かに聞かせます。唄は短く「・・・ほろ苦く」で終わりますが、その後は三味線の後弾きが続きます。この後弾きがこの曲の最大の魅力とも思えるほどです。どうぞ、新内調の後弾きをお楽しみください。

タイトルを「唄える茶道家・・・」から「唄う茶道家・・・」に変更しました。「唄える」は、「歌って踊れる◯◯」を意識したものでした。
私の場合、「歌う」ではなく「唄う」。「踊る」のではなく「舞う」なのですが。
その違いは、いずれ。

他にも小唄について書き連ねています。

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