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【セルフケア2025/6/4】仕事をやめたい内科医👨🏻‍⚕️ ~カウンセリング編 #3~


社会との距離をとりながら、
少しずつ「好きなこと」や「やってみたいこと」に手を伸ばし始めた方へ。

一見穏やかに見える日々の裏に、
ふと顔を出す焦りや葛藤、誰にも言えない心の引っかかりはありませんか?

本記事では、
好奇心から始まる探求が、思いがけず心の深部を動かしていく様子を、
実例をもとに丁寧に描いています。

気づかないうちに、自分を責めすぎていませんか?

カウンセラー「👩‍⚕️篠原」より


👇 < 本シリーズの前話 > 👇


👇 < 本シリーズの初話 > 👇


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[1]🛋️ 立ち止まる勇気の先に

👩‍⚕️篠原(ナレーション):
黒川さんが初めて「何もしない時間の価値」に気づいたのは、
前回のカウンセリングの終わりでした。


「気の向くままに、語学を楽しみ、散歩をして、本を読む。」

「評価されない時間を味わう」


と語ったその表情は、以前よりも少しだけ穏やかでした。


しかし、休養の日々はまだ始まったばかり。

焦りや不安、そして過去から引きずってきた「べき思考」は、
そう簡単には手放せません。


そして数週間後、彼は再びカウンセリングルームを訪れたのです。



[2]📚 好奇心とがんばりの境界線

👔黒川さん:
前回のカウンセリングで
「収入や結果を求めず、好奇心でやってみたいことを」と言われて、
ひとつ見つけたんです。

それは……一橋大学の世界史の問題を解いてみることなんです。

別に大学受験がしたいわけじゃなくて、
ただ世界史が昔から好きだったんですよね。

医学部では全然使わなかったんですけど、
よく書店で受験本を眺めてました。


特に一橋大学は、なんだか個性的なイメージがあって惹かれたんです。

二次試験では国語・数学・英語・社会が必要で、理科がないのに、
共通テストでは理科が高配点。

「結局、全教科必要じゃん!」っていう妙なこだわりにハマって(笑)


あと、一橋出身の有名人って、ちょっとクセのある人が多い印象で。

勝手な解釈ですけど、そんな「個性的な仲間」に、
自分もなれそうな気がして。


もちろん受験はしません。

でも、論述形式の世界史の問題に挑戦してみようと思うんです。


実は、私は論文とか文章を書くのが苦手で……。

だからこそ、好きな世界史を使って、
苦手な「書くこと」にチャレンジしてみたい。


手元にある4~5年前の赤本を使って、
ネットで調べながら書いてみようかなと。

新しい参考書を買うお金もないので。


……先生、これってやりすぎでしょうか?

がんばりすぎ、ですかね?


👩‍⚕️篠原:
黒川さん、それは素敵な「好奇心」ですね。
私は、がんばりすぎかどうかを判断する基準を、次のように考えています。

「今の自分のエネルギー量に合っているかどうか」です。


世界史が好きで、論述問題にちょっと挑戦してみたくなった。

それを受験という目標にしないまま、
昔の赤本とネットで楽しもうとしている。


そのスタンスなら、「挑戦」ではなく「遊び」の感覚に近いと思います。


ただ、「ねばならない」が出てきたら、すぐに手を止めてくださいね。

・毎日1問解かないといけない

・きれいに書かないといけない

・成果を残さないといけない

そんな「義務」や「完璧」を感じ始めたら、
それは好奇心ではなく自己評価の延長線になってしまいますから。


「苦手なことに、ちょっとだけ好奇心で触れてみる」。

それくらいの柔らかさで、自分を試してみることは、
立派な心の遊びですよ。



[3]🛏️ 気が抜けることの効用

👔黒川さん:
あ〜、よかった……。

今、メンタルをやられている最中なのに、
私、こう見えて結構「頑固」なんです。

もし、せっかく出てきた興味を否定されたら、「なにくそ!」って思って、
篠原先生のアドバイスを無視して、無理に頑張っちゃうところでした(笑)


それでですね、この「世界史の勉強」、
実はちょっと自分を甘やかしてる部分もあるんです。


いくら好きとはいえ、
受験問題を解くには、いろいろネットで調べないといけません。

パソコンを見続けてると、どうしても目も頭も疲れて……
眠くなってしまう。


だからもう、眠くなったらそのまま机で居眠り。

気がついたらおでこが痛くて目覚めるっていう(笑)


それから、家族がいない平日、特に水曜日なんかは一日中パジャマ姿。

パソコンに向かって、ネットで検索して、メモして……

そのまま布団に入って、また2時間くらい寝ちゃうんです(笑)


でも、それがすごく心地いいんです。

昼寝から目覚めたとき、「また続きをやろうかな」って思える感じ。


前回のカウンセリングのあとから、夜の睡眠の質も良くなって、

まるで心の重荷が取れたみたいで……昼も夜もちゃんと寝てるんです。


一日10時間くらい寝てるかもしれません。

こんなに寝てるの、生まれて初めてかも。


……ちょっと気が抜けすぎてるでしょうか?


私、頑張るときと頑張らないときの「差」が激しくて。

高低の波をもっと穏やかにしたほうがいいのかな、
って思うこともあるんです。


👩‍⚕️篠原:
黒川さん、安心してください。

今の「気が抜けている状態」、
それはまさに心と体が求めていた「回復モード」です。


これまでの黒川さんは、常に「高出力」で生きてきました。

医師という責任ある仕事、事務職でのプレッシャー、評価への敏感さ……。

まるで「気が張ったままの人生」だったのではないでしょうか。


だから今は、「抜けててちょうどいい」のです。

昼寝して、パジャマで、世界史を好きなようにいじっている
――それが、今の自分に合ったエネルギー回復のリズムなんですね。


それに、頑張る時と頑張らない時の差があること、

実はこれは「ASD傾向のある方」や「過集中型」の方に
とてもよくある傾向です。


脳の集中力が高い時は突っ走れるけれど、
その反動で電池が切れたように休む――

この「波」は、「意志の弱さ」ではなく、「特性」なんです。


だから、波を無理に小さくする必要はありません。

むしろ、その波に名前をつけてあげることをおすすめします。


たとえば、
頑張ってる時は「探求モード」、ゆるんでる時は「回復モード」

波のどちらかを悪者にせず、
「今はこのモードなんだ」と自分に声をかけてあげてください。

大事なのは、「休んでる自分」を否定しないこと

それこそが、
波の上下を安定した自己理解へとつなげていく鍵になりますよ。




けれど、好転したかに思えた黒川さんの気持ちは、
ふとした話題の転換で、再び揺れはじめます。

ここから先は、
心の奥に押し込めていた本当の痛みとの対話が始まります──。

ここから先は

4,177字
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