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テレビ局の本当の収入源は、テレビじゃなかった

85歳の社長が「酒を造れ」と言い出した会社の話

ケーブルテレビって、
何をやっている会社なのか。

意外と知らない人、 多いんじゃないですか?


ぼくが17年勤めている
ど田舎のケーブルテレビ局。


今日はその会社が
何で稼いでいるのかという話と、

85歳の社長が繰り出す

「鶴の一声」
の数々について 書いてみようと思います。


ケーブルテレビのビジネスモデル

まず基本的なところから。

ケーブルテレビというのは、
お客様に加入していただいて、
毎月の利用料をいただく

というビジネスです。


普段ケーブルテレビに
加入していない家庭では、

自宅のアンテナで電波を受信して
テレビを見ていますよね。


地域によって 民放が映る数は違いますが、

ケーブルテレビに加入すると、
そこにもう1チャンネル

「自主放送」が加わります。


ぼくたちが地域を取材して作っている、
ケーブルテレビ独自の放送です。

それ以外にも 「区域外再放送」という
メリットがあって、

例えば自宅のアンテナでは
朝日系列が映らない地域でも、

ケーブルテレビに加入すれば
視聴できるようになったりします。


あとは、ぼくの住んでいるような田舎だと、 自治体のお知らせを
音声で届ける仕組みがあったりもします。


テレビだけじゃ食えない

で、ここからが大事なんですが、、、、

今やケーブルテレビは
テレビだけで稼いでいるわけじゃないんです。

最近はどこのケーブル局も
インターネットのサービスをやっています。


通常、光回線を契約する場合は
回線契約とプロバイダー契約を
別々に結ぶ必要がありますが、

ケーブルテレビの場合は
回線事業者とプロバイダーを兼ねているので、一本で済む。

テレビとセットで加入すれば
月々の利用料も割引になる。


さらに最近は 格安スマホ(MVNO)の販売を やっているケーブル局も非常に多いです。

イオンみたいな大手スーパーまで
スマホを売っている時代ですからね。


会社によっては 家庭用電気の契約まで
販売しているところもある。



つまりケーブルテレビ局って、

テレビ・ネット・スマホ・電気と、
生活インフラを丸ごと担おうとしている
わけなんですよ。


社長の「鶴の一声」

さて、ここからが本題です。

うちの社長は85歳を超える高齢で、
普段はほとんど会社に来ません。

臨時の書類にサインしに来るか、
お茶を飲みに来るか、 その程度。

ただ、、、、

たまに来たかと思えば、 思いついたように
「これをやれ」 と言い出すんです。

いわゆる「鶴の一声」。

これが社員にとっては恐怖なんですよ。


ドローン事業、大コケ

数年前、社長の鶴の一声で
ドローン事業が始まりました。


世の中にドローンがだいぶ広まって
落ち着いてきた頃、
かなりの後発での参入です。

1台100万円以上する機体を 2、3台購入。

みんなで資格も取りました。

民間資格から国家資格への
移行時期とも重なっていて、
練習も重ねました。

で、何をやったかというと、

ケーブルテレビの加入者向けに
自主放送でCMを流して、

「あなたのお宅を空から撮影して、
      額縁に飾って残しませんか」

という提案。


、、、、結果は大コケでした。

投資に全く見合わず、
回収なんてできるはずもなかった。


大阪の会社とタイアップして
民間資格の講座を提供する事業も
やりました。


1回20万円ほどの受講料で
体育館で指導するというもの。


ある程度やったところで

「実績を作った」

と社長に報告して 一区切り。


ちなみにぼく自身、 当時は練習していたので
それなりに操作できましたが、

今はもう使い方すら分かりません。

使っていないと忘れるんですよ。


「酒を造りたい」

ドローンだけならまだいい。

実現こそしませんでしたが、
社長が「酒を造りたい」と 言い出したという
噂もありました。

米作りから始めるのか、 誰が田植えをするのか。

笑い話のようですが、
社員にとっては恐怖です。

だって本当にやらされかねないから。


稼働しない支店に毎月25万円

最近の話をします。

隣の市に スマホ事業を展開するための
支店を 作るということになりました。

ただ、順番がおかしいんですよ。


普通は 「こういう事業をやる」と
決めてから 場所を借りますよね。

でもうちは違った。


ある日、社員が1箇所に集められました。

社長も部長もいて、

「隣の市に場所を借りた」 という事後報告

その上で

「何をやったらいいと思うか」
「1人ずつ意見を言え」

と聞かれる。


社員20名ほどが順番に答えさせられましたが、 腹の中では全員

「何をやっているんだ」
「人も少ないのにできるわけがない」

と思っていたはずです。

でも社長に歯向かえるわけがない。


全員が当たり障りのない回答をして、 結局

「スマホ事業ぐらいでしょう」

という話に落ち着きました。


今思えば、あれは

社員に無理やり了解を取らせるための場

だったんだと感じます。


で、その支店。

リフォームもして、 デスクも入れて、
毎月20万から25万円の家賃が
発生しています。

まだ稼働していません。

もう3ヶ月ほど経っているのに、
人一人が雇えるくらいのお金が
ただ出ていっている。

しかも最近は また別の隣の町で
スマホ事業を展開するという話が持ち上がっていて、

毎月25万円の家賃が発生している場所は
放置されたまま。


、、、、よく分からない状況です。


箱物は建てるのに、人には投資しない

社長はケーブルテレビ以外にも
いくつかの事業を手がけています。

便利屋さんのような
工事やリフォームの事業、

会社の隣の空き家を買い取って
撮影スタジオを作ったりと、

とにかく「箱物」が好き。


85歳と高齢で 先も長くないからか、

「何かを形にして残したい」

という思いがあるのかもしれません。


土地を買ったり建物を建てたりすることが
実績やステータスになるという、
昔の考え方なんでしょうね。

でもね、、、、


人件費には全然予算を割かないんですよ。

新しい事業をやるなら
当然人が必要なはずですが、
そこを極限まで削ってやろうとする。

月々の基本給は安いまま。

20年近く勤めても
手取りがようやく20万を超えたくらい。


昇進や昇給にしても、
実態は昔ながらの年功序列
「いかに上に媚を売るか」。

それでは若い人も入ってこないし、
入ったとしても長くは続かない。

実際、大体4年ぐらいで辞めていきます。

「4年経っても給料が上がらない」

そうなれば当然、
「辞めよう」となりますよね。



新人が入ってきても

「こんなおじいさんが
    仕切っている会社で 大丈夫か?」

と不安に感じて辞めていく。

それも一因だと思っています。


監視カメラ事業と、訴求の弱さ


最近また新しい事業が始まりました。

監視カメラのサービスです。


ドローンで失敗しているのに、
懲りずにまたやるのかという印象です。

社内にはすごく行動力のある社員がいて、
自分でプレゼンをして

「こういうサービスをしよう、
    金額はこのくらいにしよう」

と提案する。

普段の仕事ぶりが
評価されていることもあり、

「彼が言うなら」

と企画が通ってしまう。


その姿勢自体は
すごく素晴らしいと思います。

ただ、、、、

出来上がったチラシやCMを見ると、
毎回思うことがあるんです。

訴求が弱い。

ぼくは副業のために マーケティングを
独学で学んでいるんですが、

会社にはそのことを一切言っていません。


マーケティング的な視点から言えば、
訴求ポイントは1つに絞らないと
ユーザーは離脱してしまう。

「結局何が言いたいのか」 が分からなくなるからです。

監視カメラのCMにしても、
2つの価格設定があるのに
「結局いくらなのか」が判然としない。 

チラシにしても、
社内で回覧が回るたびに

「文言はこう変えたほうがいい」
「言い回しはこっちがいい」

と 人それぞれが意見を出して、


結果、
誰の心にも刺さらないものが出来上がる。


学べば学ぶほど、 残念な気持ちになります。

でも、アドバイスしたところで
「なぜそんなことが分かるのか」
と思われるだけ。

回覧で自分なりの修正を出しても
反映されたことはありませんでした。

どうせ聞いてもらえないなら、
もういいやと。

いずれ辞めたいと思っている会社に
わざわざ手の内を明かす必要もないですしね。


マスコミの本当の収入源

少し視野を広げた話をします。

ケーブル局に限らず、
マスコミ業界全体として
本業だけで食べているわけではないんです。

大手新聞社やテレビ局は
都心に大きな自社ビルを建てますよね。


もちろん自社もそのフロアに入りますが、
使っていない階を他社に貸し出す。

好立地であれば 多くの企業が入居して
家賃収入が得られる。


「新聞離れ」が叫ばれる昨今、
新聞社と言いながら

収入の大きな柱が実は不動産賃貸

だったりするのが実態です。


うちは小さなケーブル局ですが、
構造は同じ。


自主放送が屋台骨になっていますが、
加入者はもう増え止まっている。

スマホもネットもいずれ頭打ちになる。



だから

「さらに何かやれ」

と 社長から指示が飛ぶ。


ドローン、酒造り、監視カメラ、、、、


全国のケーブル局も
同じように多角化を進めているようですが、

うちの場合は 計画なき多角化なんですよね。


先に場所を借りてから
「何をやるか」を社員に聞く。

成果が出なくても
「やった」という姿勢だけで評価される。

そのお金はすべて、
毎月ケーブルテレビを見てくださっている
視聴者からいただいたものなのに。

、、、、もう、やりたい放題です。


皆さんの会社にも
「鶴の一声」ってありますか?


トップの思いつきに振り回されて、
現場が疲弊していく。

でも歯向かえない。


そういう構造の中にいると、
自分の力で稼ぐ手段を持つことが
どれだけ大事かを痛感するんですよね。


マーケティングを学んでいるのも、
noteを書いているのも、

全部その延長線上にあります。


SO‑RIN

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