右脳モードの大切さを知ったきっかけ
悟り、ワンネスといった時間や空間の感覚が消えてしまうほどの至福の体験には、右脳の働きが欠かせないらしい。近年だとネドじゅんさんが右脳マスターとして、右脳がもつ神秘的で広大な可能性について広く情報発信しておられ、知っている方も多いと思う。他にも七田式右脳教育を広めている七田眞氏など、古今東西、同様の研究者やインフルエンサーは一定数いるようだ。
私が右脳の重要性に気づいたのは、今から約40年前(!)の大学生のとき。
表看板では社会心理学、裏看板ではこっそり超心理学(超能力や霊的現象など目に見えない世界の現象を扱う)を研究していたA先生から、「この本はよかった。感動した」と薦められた本があった。それがこれ。
今と違い当時は、目に見えない世界の話を大っぴらに話せる社会的な空気はなかった。その手の話題に関心のある人は、ちょっと頭の弱い人、ナイーブな人と嘲笑されるのがオチだった。大学というアカデミックな場であればなおさらのこと。だから形而上のトピックは、相手を慎重に選んでこっそり話すのが常だった。
私は、自分の指導教官とはウマが合わなかったので、たまたま取った授業が面白かったA先生の研究室を訪ねていっては、雑談に付き合ってもらっていた。ある日研究室の本棚に「前世を記憶する子供たち(イアン・スティーブンソン著)」を見つけ、「私も前世とかすごく興味があるんですよ~」とカミングアウトしたところ、先生は「おもしろい学生が来た!」と同志認定してくださり、以来ひそひそとあやしげな話をしながら二人で盛り上がっていた。
そのA先生が感動したというのだから、読まない手はない。著者は日系アメリカ人のユング派精神科医、ジーン・シノダ・ボーレーン。
AI による概要 ****************************************************************
ジーン・シノダ・ボーレンの著書『タオ心理学―ユングの共時性と自己性』(原題: The Tao of Psychology)は、日系米人ユング派心理分析家が、タオ(道)とシンクロニシティ(共時性)の関連性を身近な体験から考察した名著です。偶然の一致や夢、予知などの神秘的な体験をユング心理学に基づいて分析し、人生の意味を見出す手法を提示しています。
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「意味ある偶然の一致」が、人間の心理や人生にどのような意味をもたらすかを解説している本なのだけれど、当時の私に衝撃と感動をもたらした「生涯の一冊」といえる。
科学的手法や合理性といった左脳的・理性的・男性的モードがだんぜん優位な現代にあって、シンクロニシティを理解するのに必要なイメージや直感といった右脳的・女性的モードの大切さを謳っている。ボーレーンの言葉は、こどものころから不思議な現象にひかれていた私の心の隅々に沁み入った。
この本をバイブルとして、以来、直感やイメージといった右脳の働きの復権が、現代社会の様々な問題に対する回答になるはずだと強く思うようになった。今ならシンクロニシティとか直感とか聞いてもたいして目新しくはないだろう。しかし、人生を豊かにするためには目に見えない世界を大事にしようよと、アカデミズムの住人、つまり自分より圧倒的に賢い人が世に問うてくれたことが、当時の私にとってどれほど心の救いになったか。こっそり人しれず超心理学を研究していたA先生も同じ思いであったからこそ、私に薦めてくれたのだろう。
余談だが、のちにご縁があってこの本の翻訳者のおひとりと根津の小料理屋でご一緒したことがある。ものすごく早口で話す人だったということと、大将が裏メニューで出してくれた、きゅうりとハムのサラダがとてもおいしかったことだけ覚えている。
