第348話:頑張ろう!
枕草子に「類聚章段」と言って似たようなものを集めて列挙する話のグループがある。
うつくしきもの(かわいらしいもの)とか、
すさまじきもの(しらけちゃうね、みたいなもの)とか。
ものを集めるので「物尽くし」とも言われる。
有名な「春はあけぼの」の章も、「春はあけぼの、いとをかし」であって、をかしきもの(趣きのあるもの)を集めた章だと言えないことはない。
これをちょっと真似て、僕も「頑張っているもの」を集めてみた。
頑張りたるもの。
必死でネットをつかもうとしている胡瓜のひげ。

ボロボロになったバイクのグローブ。

毎朝、道路脇の花壇の草取りをしているお婆さん。

車のタイヤにしがみついているカエル。

アスファルトの割れ目に咲くたんぽぽ。

里芋の葉の上の水滴の表面張力。

さて、今勤めている図書館で梅雨の日の来館者が少ないということで、雨の日ガチャをやろうということになった。ダンボールで本体を作り、ガチャのカプセルの中にいろいろな景品を入れる。本を借りるとガチャが回せるという仕組みである。
ガチャの中身はユニークな折り紙とか栞とか、その他いろいろ。どうかと思ったが結構好評で子供たちは喜んで帰っていった。

その景品?の中に厚紙と輪ゴムで作ったぴょんぴょんガエルというのがあって、これは輪ゴムの力でひっくり返して置いておくと2、3秒して50センチくらい跳ね上がる仕掛けになっているのだが、この厚紙の表面にカエルが貼られた。
こんな感じのやつである。

それはそれでいいのだが、ある人が作ったこんなやつ。

これを「これ、土屋さんに似ている」と皆が笑う。僕も「ああ、このやる気のなさ、僕そっくりだ」と思うわけで否定もできない。
また、つい先日の昼休み、弁当を電子レンジの中に入れて温まるのを待っていたのだが、レンジが「チンッ」と鳴った途端に何を思ったか、すぐ隣にある男子更衣室のドアを開けてしまった。
「ウッ」と思って視線を上げると、一人の女性司書が「ニッ」と笑っている顔があった。
・・・・見られてしまったのである。
なぜ自分が電子レンジの扉ではなく更衣室の扉を開けたのか不明。その後、事務室での笑いの種になったことは言うまでもない。
65歳。こんな悲惨さに耐えて生きている僕を「頑張りたるもの」の筆頭にあげておきたく筆を取った次第である。
*付記:今日の短歌
ここでないこの世のほかでもない場所に宙ぶらりんに人としてゐる
◾️土竜のひとりごと:第348話
