見出し画像

#毎週ショートショートnote|変身磁器​

博士は完成したばかりの装置の扉を開けた。
そこには青く輝く美しい壺があった。
博士はそれを取り出してしげしげと眺め
満足げにうなずいた。

そこに助手が入って来て言った。
「博士、今度の発明は壺ですか?」
「いやいや、発明はこっちの装置の方だ。」
「大き目の電子レンジにしか見えませんが。」
「これは変身磁器装置なのだよ。」

説明しよう。
変身磁器装置とは、磁器をこの中にセットし
希望する出来上がりのデータを入力すると
なりたい磁器に変えるものだ。
欠けた皿でも安い茶碗でも問題ない。
マイセンでもボーンチャイナでも思いのままだ。

「ちょっと出てくる。
まだ不安定だからくれぐれも扱いには注意してくれ。
特に、磁器以外は入れないように。」
そう言って博士は部屋を出て行った。

ひとり残された助手がじっとしていられず、
信楽焼のタヌキをセットして”ボーンチャイナの人形”と
データ入力し開始ボタンを押した。

装置は激しく震え、煙をあげて止まった。
助手は動揺しつつ扉を開けた。
出来上がったのはすすけた豚の置物だった。
しかも豚の背中には”まい泉”と書いてあった。

助手はそこでようやく気づいた。
信楽焼は、磁器ではなかったのだ。


おわり。



下記の企画に参加させていただきました。
裏お題の「変身磁器」です。
よろしくお願いします。

#毎週ショートショートnote #変身磁器



では、また。
ごきげんよう。



いいなと思ったら応援しよう!