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【あらすじ・感想】目には目を 新川帆立

「元彼の遺言状」で知られる新川帆立さんの作品。

罪を犯し、少年院に入院した少年たちの物語。

弁護士として働いた経歴のある著者。

専門的知識を交えつつ、少年院の生活や制度など

普段知ることのない世界が描かれている。




あらすじ

少年院への入院時期が重なった6人の少年たち。

無事、全員退院し社会に出たと思ったとき、

大事件が起きる。

6人のうちの誰かが、被害者遺族に殺された。

最初は個人情報保護のため被害少年を、少年Aと記される。

そして、少年A以外の5人には少年Aの所在地を遺族に

知らせた疑いがあった。

殺害した被害者遺族は、事件についてこのように語る。

「娘を殺されたから犯人を殺した。
 目には目を。死には死を。」

この発言により「目には目を事件」と呼ばれる。


一体、誰が少年A殺害に加担したのか。

そして、収容されてきた少年たちの中で

なぜ少年Aだけが殺されなくてはならなかったのか。

日本では復讐は禁止されている。

それでも「目には目を事件」を受け、

世間では娘を殺された母親に同情する声が多く

減刑の署名活動が行われている。


主人公は「目には目を事件」を追いかけている元雑誌編集者。

主人公の視点で、5人から少年院での生活を聞くうちに

衝撃の事実が見えてくる。


少年院のすごさ

少年院に入院する少年たちは、様々だった。

家庭環境が複雑で、親からの愛情が不足している人。

引っ込み思案が災いし、同級生じゃなく下級生に手を出してしまった人。

善と悪の区別がつかず、自分本位の同情で行動してしまう人。

精神的な異常はないものの、猟奇的殺人事件を起こした人。

などなど、何かしらの原因で少年たちは殺人を犯している。

少年院では、自分の犯した罪が遺族にどのような感情をもたらすのか、

話し合ったり考えたりする機会が多く設けられている。

罪の意識を持ち、してはいけないことを認識してもらうためだ。

規則正しい生活、集団行動、私語をしないなどたくさんの制限がある中、

少年たちは少しづつ更生し少年院を退院した。

少年院での生活や少年たちが更生していく様子を読んでみて

「少年院ってすごい」と思った。

これまで、気にも留めたことのなかった少年院。

でも、本書を読んで、少年院で働く人たちの努力や苦労を知った。

犯罪を犯した少年の扱いは難しいと思う。

それでも、一人一人と向き合いしっかり思いを受け止める。

例え、何かやらかしてもしっかり理由を聞き理解しようとする。

すごく、忍耐が必要な仕事だ。

そこには「社会に出てまっとうに生きてほしい」という

強い気持ちがある。

人として、尊敬する。


謝罪とは

罪を犯したことは取り消せない。

ましてや、人の命を奪ったとなるとその人一人の問題ではない。

被害者遺族の悲しみや怒りは計り知れない。

容疑者に謝罪の気持ちを要求するのが一般的だ。

では、法廷や手紙で謝罪の気持ちを伝えればそれで終わりだろうか。

いや、その一瞬、その言葉だけで事件でうまれた悲しみは消えない。

命を奪われたのは「仕方のなかったこと」では済まされないからだ。

だからこそ、容疑者には反省と自戒を忘れずに生きてくことが要求される。

2度と同じような犯罪を犯さないよう、

自分が犯したことと被害者を悼む気持ちを心に刻み込むのだ。

そして、少年法で守られている少年たちは実名報道がされないため、

周りに知られることなく、次の一歩を踏み出す機会がある。


本書で登場する被害者遺族は、犯人を刺し殺した。

少年院で更生し、社会に出て働いている少年を見つけ、

包丁で何度も何度も刺した。

被害者遺族の気持ちはよくわかる。

自分の幼い娘を殺しておきながら、

犯人は社会に出て当たり前のように生きている。

決して許せないだろう。

「目には目を。死には死を。」

一番は犯罪を起こさないことが大前提だ。

でも、そうはいかないのがこの社会。


すごく、いろいろと考えさせられた🦔

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