【中編】“米だけじゃ生活できない”現実。農家の暮らしは、綱渡り。
こんにちわ。約40haの米農家をしているそらまめです😊
「米価が上がってるね。農家って、今けっこう儲かってるんじゃない?」
そんなふうに言われることが、実際に増えてきました。
でも、前回のnoteにも書いたように
「価格が上がった=手取りが増えた」わけではありません。
むしろ、お米だけで生活を成り立たせるのはかなり難しい、というのが今の現場のリアルです。
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「農家って今、儲かってるんでしょ?」に、ちょっと待ってと言いたい理由
■ お米の収入だけでは、正直暮らせない
たとえば、うちの農園は年間約200tのお米を出荷しています。
でも、その売上だけで生活が安定しているかというと……
そんなことはありません。
資材費、燃料費、人件費はここ数年で爆上がり。
一方で、一等米の価格は上がっているものの、
高温障害などの影響で収量が減り、結果として総売上は下がってしまう年も多いのが実情です。
もちろん、農家の経営状況は一軒一軒ちがいます。
田んぼの広さや地形、水利の条件、家族の労働力がどれくらいあるか――
そういった要素にも大きく左右されます。
だから、「農家」とひとくくりにしても、
みんなが同じように暮らしているわけではありません。
SNSなどでは、あたかも“農家の代表”のように発信している人がいることもありますが、それぞれに規模も条件も背景も違うのが現実です。
発信している言葉がすべての農家に当てはまるとは限らないし、
その逆もまた然り。
だからこそ、農業のことをSNSで検索したり考えるときには、誰かの発言を見て「農家ってこうだよね」と決めつけず、
「そんな視点もあるんだな」と受け取ってもらえたら嬉しいです😊
最初から少し強めの言葉も書いてしまいましたが、
「お米だけの収入では暮らせない」と感じている農家が多いという現状を伝えたかっただけで、中には、地域や条件がそろっていて、米の収入だけでもやっていけている方もいるかもしれません。
農業の形は本当に人それぞれ。
だから、私が書いているこの内容も、
あくまで「ひとつの例」として、参考にしてもらえたら嬉しいです☺️
■ 結局、みんな“何か”で補っている
「お米だけの収入では暮らせない」と感じている農家が、
どうやって生活を成り立たせているのかを、改めて整理してみました。
たとえば――
親世代の年金で生活費を補っている
農業のかたわらで**別の仕事(兼業)**をしている
昔からの土地収入や会社経営、副業がある
蓄えや資産の取り崩しでなんとか続けている
自分で**直販や加工品販売(六次産業)**に挑戦している
国や自治体からの補助金・交付金を活用している
どれかひとつでは足りなくて、
**いくつかを組み合わせて、ようやく“生活できる”**という状態ではないかなと思います。
我が家の場合でいえば、
冬にはキャベツやブロッコリーなどの野菜も栽培しています。(お米より野菜の方が収益率は良いです)
また、両親が年金を受給していることや、保有する土地・株からの配当も、
収入を補う大きな支えになっています。
さらに、補助金や交付金も大切な資金源です。
ですがそれだけで生活が成り立つものではありません。
そもそも補助金の多くは「事業の継続や管理への対価」であり、手続きをしたり要件を満たしたりする手間もあります。
ただ、日本で「補助金」の話をすると、
**「農家は恵まれている」「支援されてるんだから大丈夫でしょ」**という印象で語られることがあります。
たとえばEUでは、農家の所得の半分以上が補助金でまかなわれている国もあります。アメリカでも、価格を一定以上に保つ制度や、災害時の収入補填などがきちんと仕組み化されています。
一方、日本の補助金はあくまで最低限の支援にとどまっており、
このわずかな支えがなければ赤字を避けられない農家が大半なのです。
実際、夫は過去にアメリカで農業を学び、現地の農場で働いていた経験があるのですが、その違いを身をもって感じたようです。
話を元に戻しますが、正直なところ、
お米の収入だけで考えれば、我が家(大人6人、子ども5人)が赤字になるのは間違いありません。
だからこそ、農業を続けるには“農外収入”や“家族の支え”、そして“制度のサポート”など、
さまざまな支えを組み合わせるしかないのが、今の農家のリアルです。
■ 農家の“立派な家”に隠された現実
SNSなどで「農家って赤字って言うわりに、家が大きいよね?」とか、
「いい車に乗ってるじゃん」なんて言われることもあります。(※都市近郊の農業と地方では状況が異なるかもしれませんが)
でも、それには理由があります。
今の親世代が若いころは、お米の価格が今とは比べものにならないほど高く、米だけで十分生活が成り立っていたという時代がありました。
その頃に建てた家や、蓄えた資産が今に残っている家庭も多く、
現在はその蓄えを切り崩しながら、農業を続けているというケースも少なくありません。
つまり、“贅沢してるように見える暮らし”の裏には、
かつての努力と、今をしのぐための必死のやりくりがあるということ。
農業は、今や「収益のある仕事」ではなく、
地域や田んぼを守るために、なんとか続けている“使命”に近いものになっているのかもしれません。
■ 「儲かってるように見える」のカラクリ
中にはSNSで「今年は米価が上がってる!よかった〜」と投稿する農家さんもいます。
もちろん、それ自体は嬉しいことです。
でもその裏には、
「去年は赤字で機械のローンが払えなかった」とか、
「雨で半分以上がくず米になった」とか、
誰にも言えない“しわ寄せ”が隠れていることも多いんです。
だから私は、「儲かってるんでしょ?」と言われるたびに少しだけ、胸が苦しくなります。
■ それでも、農業を続ける理由
ここまで読んでくださって、
「じゃあ、そんなに大変なのに、なぜ農業を続けるの?」
と思った方もいるかもしれません。
答えは、簡単じゃないけど――
「農業が好きだから」
「誰かの食卓に、自分たちのつくったお米が届くのが嬉しいから」
「地域や家族の想いを、守っていきたいから」
そんな気持ちがあるからです。
でも同時に、それだけじゃ生活は成り立たない。
“好き”と“現実”の間で、綱渡りのようにバランスをとっている。
それが、今の農家の暮らしなのかもしれません。
🌾 まとめ:農業=「お米を作るだけの仕事」じゃない
農家の暮らしは、お米だけで成り立っているわけではない
副業、年金、資産、補助金など、さまざまな支えが必要
SNSでは見えない「綱渡りのやりくり」が日常
昔は米だけで生活できた時代もあり、その資産でなんとか踏ん張っている人もいる
「農家は儲かってるでしょ?」の裏には、続けたいから続けている、けれど続けるには工夫が必要という現実がある
次回は、「なぜ農家は利益を確保しにくいのか?」というテーマで、
価格の決め方やコスト構造、気候リスクなど――
一次産業ならではの厳しさや限界について、リアルな視点から書いてみようと思います。
読んでくださって、ありがとうございます😊
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「農家って今、儲かってるんでしょ?」に、ちょっと待ってと言いたい理由
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