空の災害対応インフラを支える「場外離着陸場」一元管理・共有システム構想
■ 概要:
災害時におけるヘリコプターの活用は命を救う重要な手段です。しかし、防災ヘリ・ドクターヘリ・自衛隊など運航主体ごとに場外離着陸場(以下LZ=landing zone)の管理がバラバラで、情報の共有体制も隣県程度しか整っていません。
本提案は、全国の場外離着陸場を一元管理・共有する仕組みを構築し、いかなる水準のパイロット(※)・指揮者でも共通の情報に基づいた安全な運用ができる体制の実現を目指します。
(※)ここでいう、いかなる水準のパイロットとは総務省が定める乗務要件を最低限満たしたパイロットを指す
■ 課題:
災害時に「◯◯小学校に降りて」と指示されても、津波で建物が消失しており視認・着陸できなかった(東日本大震災)
限られた平地に複数機が集中し、空域・地上の干渉が発生(能登半島地震)
各運航会社頼みの現地調査による属人的な判断
他県の応援機による場外活用に不確実性がある
地上支援隊が配置できない初動期では安全確認が困難な可能性がある
■ 目的: 「誰が飛んでも、誰が指揮しても、同じように空から助けられる」社会インフラの整備
■ 事業構想の具体要素:
①全国の場外離着陸場のデータベース化
緯度経度、標高、広さ、地表状態、周囲の障害物、写真・動画情報などを登録
可能であれば360度ビューやドローン映像も活用
②共通プラットフォームの構築
防災ヘリ・ドクターヘリ・自衛隊が共通で使用できる閲覧・更新可能なシステム
管理・更新は事業範囲とする。
実運用は各自治体、運航者
③地上支援隊が不要な“最低限の判断で降りられる場所”の分類
支援人員が不在でも安全確認できる構造的条件付き場外の事前指定
④民間×行政モデルでの推進
自治体とヘリ運航会社が共同でLZを情報管理
防災訓練・地域防災計画との連携(ハザードマップ)
⑤自衛隊向け閉鎖ネットワーク運用案
有事時の展開を想定し、専用ネットワーク内でのLZ検索
例:「UH-60×2機+CH-47×1機が同時に展開できる場所」など機体条件ベースの検索
⑥副次的展開:一般市民向け避難アプリ
「ここに逃げればヘリが迎えにくる」
市民向けの防災教育ツールとしても活用可能
■ 想定導入フロー:
フェーズ1:運航会社・自治体と連携し、LZ情報の試験収集・小規模エリアでの実証
フェーズ2:自衛隊・国との連携による拡張/演習等への導入
フェーズ3:全国展開向けたSOP(標準運用手順)と管理体制の確立
■ 利点(関係者別):
運航会社:現地調査・再確認コスト削減、意思決定の高速化
自治体:防災ヘリの運用力向上、市民への防災PRにも活用可
自衛隊:統一された指揮系統での展開、指揮官交代にも耐えられる情報共有基盤
市民:「どこに逃げればいいか」が明確になる
■ 結び:
これはアプリ開発ではありません。
目指しているのは、「空から助ける」を誰でも平等に受けることができるようになるための仕組みづくりです。 制度や技術が整えば、性能のあるヘリはもっと活かせる。 今ある空を、もっと使えるものにするために、まず“降りられる”を当たり前にしたい── そのための、現場からの提案です。
