#35 跳び蹴りに嫉妬、そして相思相愛。だから恋活観察はやめられない!
「ホーホケキョ」
美しい鶯の鳴き声が聞こえ、淡いピンクの桜が咲き、季節は春、4月になりました。
淡路島モンキーセンターの13代目リーダーだったビッグの旅立ちから、あっという間に2か月が経ちました。
※ビッグの旅立ちについては#34「最後まで勇敢なリーダーでした」に書いています。

ビッグ
2月初旬は、いつもなら発情期特有の賑やかな声が聞こえたり、サルたちが走り回る光景がたくさん見られるのですが、ビッグ不在の寂しさからなのか、どこかモンキーセンター全体が静かで、発情期も終わってしまったのではないか…と思うほどでした。

芝生広場でまったり
中旬になると、少しずつ恋活に励むサルたちを目にするようになりましたが、今シーズンは2024年や2025年の発情期とは何かが違うのです。
何が違うのか、最適な言葉が思いつかないのですが、ビッグがいた頃のような派手な騒がしさがなく、どこか落ち着いて見えるのです。
なんだか物足りない…今シーズンの恋活風景
ワクワクしない要因のひとつは、2年続けて主役のひとりだったビッグの不在です。

1年ほど前の恋活シーン
キトラの背中に寄り添うビッグ
恋の季節になるとビッグがお気に入りのメスの背中にピトッと寄り添い、しばらくして彼女が嫌そうにすると「カッカッカッカッー」と声を上げる。
この絶妙なやり取りは、何度見ても微笑ましい光景でした。

「あんた重たいねん!もうエエやろー」
キトラに怒られるビッグ
ほかの要因としては、1人のメスに対して複数の上位オスが立候補することで起こる「ドキドキハラハラの心理戦」が、今年の観察では見られなかった点も大きいです。
※サルたちの複雑な恋模様については#6・#15・#16・#17・#18・#26・#27・#29などに書いています。

プリコ’09の毛づくろいをするチョウナン
2人の様子が気になる太郎
しかし、ワクワクすることが全くなかった訳ではありません。
少し時計の針を戻して、昨年末のことです。
あの時の初恋から…カノンの成長
2025年12月2日。
坂道を上がっていると、目の前に小柄なメスが歩いていたのですが、私の目はそのメスのお尻に釘付けになりました。

そのお尻は赤みの強いピンク色で、大きな桃のようにぷっくりと腫れているのです。

毎日のようにサルのお尻を見ていますが、こんなに腫れているお尻は見たことがありませんでした。
「ケガでもしているのだろうか…」
そう思いながら後をついて行くと、メスは途中で足を止めて周囲の様子をキョロキョロと見回し始めました。
発情しているようで、顔の赤みも増しています。

この小柄なメスは、2019年生まれのカノン。
2025年12月末に亡くなった、カクの末娘です。

カノンの恋活は2024年1月、まだ4歳だった時に観察したことがあります。
年齢から考えておそらく初恋だったと思いますが、やはり坂道の途中で年上のオスと情熱的なハグをしていて、小さな手でギュッと抱きついていたのが印象に残る素敵な光景でした。
※この時の様子は#10「初恋」に書いています。

カノンちゃん(左)
時々ムギュムギュと動く左手が可愛かったです
初恋から約2年が経ち、6歳になったカノンのお尻が大きく腫れているのは、大人のメスに成長した証なのだそうです。
サルたちのお尻が赤いのは、相手へのアピールだと聞いたことがありますが、こんなに目立つお尻なら確かに「私、恋活中です!」とアピールすることができそうです。
今シーズンのカノンの恋活状況が気になるところですが、残念ながらオスにアピールしたりデートをしている様子は、今のところ見ることができていません。
もしかしたら、私の知らないところで素敵な恋をしているのかもしれないし、彼女の本当の『大人デビュー』はもう少し先になるのかもしれません。
気になる答えは、今年の出産シーズンに分かると思います。
4歳アンズ、恋活デビュー
2021年生まれのアンズは、現在4歳です。

カノンよりも小柄なアンズちゃん
2026年1月20日。
可愛いお顔を真っ赤にして、若いオスに向かって「クゥークゥー」「クゥーグギャッ」と何度も恋鳴きをしていました。

2~3m先にいる若いオスの隣には、アンズより年上のメスがいて、若いオスに気に入られている様子です。
オスはアンズのような幼いメスや、恋活経験が少ない若いメスよりも、経験豊富な大人メスを好むようなので、どんなにアンズが恋鳴きをしても、このオスに相手にしてもらうことは難しいようでした。
1月25日。
ライブラリーの前に座っているアンズは、この日も真っ赤な顔をしていました。
彼女の視線の先には若いオスが背中を向けて座っていて、背後にいるアンズをチラチラと見ていました。

オスに熱い視線を送るアンズちゃん
アンズを気にしてチラチラ見るくらいなら、相手にしてあげて欲しいところですが、野次馬はそっと見守るのみ。
そう思った直後のことです。
「キャッ」と小さな声が聞こえたと同時に、オスの前を若いメスが駆け抜けていきました。

駆け抜けたメスはアンズの3mほど後ろに座り、オスの方を見ています。
おそらく、このメスもオスにアピールしたいのでしょう。
これは三角関係になりそうな予感。
そんなことを思っていたら、若いアンズが先に動きました。
後ろのメスの動きをチラッと確認し、オスが前を向いているのを見定めると、勢いよく駆け出しました。
そしてオスの背中に両手をつくやいなや、そのまま両足で跳び蹴りをお見舞いしたのです。

この直後、跳び蹴り炸裂!
跳び蹴り中も、駆け抜けたあとも「キュキュッ」と高い声を出していたアンズ。
ライブラリーの入口に腰を下ろすと左足で首元を掻いていたので、オスに反撃されないかドキドキしていたのでしょう。

蹴られたオスは下を向き、気まずそうに自分の左腕の毛を触っています。

腕を触りながら前にいるアンズをチラッと見たり、後ろにいるメスを気にして見ているので、2人からアピールされていることは自覚しているようです。
後ろのメスもまだ若いようですが、アンズよりは年上なのでしょう。

ライバルのメスはアンズを気にしながら、さっきまでアンズがいた場所までオスに近づいてきました。

ニホンザルには、ハッキリとした優劣関係があります。
どうやらライバルさんの方がアンズよりも優位なようで、この状況ではアンズは我慢するしかないようです。

負けずに頑張るんだよー
アンズの恋活デビューは、ちょっぴり切ない苦戦の予感がしました。
この時のアンズのように、恋活中にメスがオスに対して叩いたり、跳び蹴りをしている姿はよく見かける行動です。
あくまでも素人の見解ですが、このような行動はオスに対して「ちょっとは相手にしてくれてもええんちゃう?」という自己主張なのだろうと思っています。
つい先日も、アンズは赤い顔をして若いオスにアピールをしていました。
年齢的に今年出産する可能性は低いと思いますが、何年か先に可愛いお母さんになる日が来ることを期待しています。

この日は恋活休日だったアンズ
今年はどうなる?太郎とプリコ’09
今までもnoteの記事に何度も登場している「太郎」。
太郎の恋活の様子は、#6「AWAJIの恋」で触れた2023年2月から毎年観察を続けています。
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