【読書記録 -5】22世紀の民主主義
昨年は政治経済関連の書籍をいろいろ読んだ。
これはその中の一冊だが、さすがの成田節だなあと関心する。嫌いじゃない。
ご存知の方も多いと思うが、成田悠輔はイェール大学准教授を務める経済学者であり、専門はデータ分析、因果推論、マーケットデザインである。東京大学卒業後、米国で博士号を取得した、天才と呼ばれる人の一人だ。彼は学術研究にとどまらず、メディアや著作を通じて日本社会の構造問題を鋭く論じ、民主主義や資本主義の未来像を提示する知識人として知られている。
本書『22世紀の民主主義』は、現代民主主義が制度疲労を起こしている現実を直視し、その延長線上に未来を描く思想書だと言っていいだろう。成田悠輔は、選挙や多数決、政治参加といった従来の仕組みが、人口減少、超高齢化、AIとビッグデータの進展によって機能しなくなる可能性を前提に、全く異なる統治の姿を構想している。

彼が語るのは「無意識民主主義」という発想であり、国民が積極的に政治を考え、判断することを前提とせず、日常の行動データや選好が知らぬ間に意思決定へ反映される未来だ。そこでは、政治的無関心は欠陥ではなく前提条件として扱われ、抽選やアルゴリズムが人間の判断を補完する。また、多数派の声が常に正義となる危うさにも踏み込み、参加しない自由を含めた民主主義の再定義が提唱される。
本書は未来予測の書としてではなく、現在の民主主義を疑うための思考装置として読むべきである。本書によってボクたちは、政治制度が必ずしも不変というわけではないという視点を獲得し、日本の民主主義の行方を考え直すことになるのである。
